
M-1王者として知られるお笑いコンビ「とろサーモン」の久保田かずのぶさんが、約4年ぶりとなる個展を開催しています。
そこで大きな話題になっているのが、なんと6660万円という価格が付けられた作品です。
しかも、その絵は来場者にも公開されていません。久保田さんによれば、作品の全貌を知ることができるのは購入した人だけなのだそうです。オリコンニュース(ORICON NEWS)
「6600万円」と報じる見出しもありますが、実際に設定されている販売価格は6660万円。数字の「666」にも久保田さんなりの意味が込められています。
一見すると芸人らしい“ネタ”にも思えますが、久保田さんは2022年の初個展で作品を完売させ、作品集まで出版しています。
では、久保田かずのぶさんはいつから絵を描き始め、画家としてどのような評価を受けているのでしょうか。
今回は、話題の6660万円作品とともに、久保田さんの経歴やアーティストとしての歩みを詳しく見ていきます。
1.4年ぶりの個展「なぐりがき~猫狂~」を開催

久保田さんの個展は、
久保田和靖個展「なぐりがき~猫狂(ねっきょう)~」
というタイトルで、2026年9月22日から30日まで東京・西武渋谷店A館1階で開催されています。プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES
今回のテーマはタイトル通り「猫」。
本人によると、絵を描くのは、
相方がお芝居をやっていて漫才ができない時
など、ストレスがたまった時が多いのだとか。
つまり「なぐりがき」というタイトルは、単なるキャッチコピーではなく、久保田さんの制作スタイルそのものでもあるようです。テレ朝NEWS
2.6660万円「芸能界が終わる絵」とは?
今回もっとも注目されているのが、
「芸能界が終わる絵」
という作品です。
販売価格は、
6660万円
ただし、普通の絵とは販売方法がまったく違います。
作品は裏側を向けた状態で封がされており、絵そのものを見ることができません。
久保田さんは、
「種明かしはしたくないので、買われた方だけ分かります」
と説明。
さらに、中には「芸能界が終わる地獄絵図」とメッセージが描かれているとしています。テレ朝NEWS
つまり買い手は、6660万円を支払うまで作品の全貌を確認できないという、かなり異例の作品なのです。
なお、9月26日時点で確認できる主要報道では、この6660万円作品が実際に購入されたとの発表は確認できません。「6660万円で売れた」のではなく、正確には6660万円という価格で販売されているという段階です。
3.なぜ「6660万円」なのか
6660万円という金額も偶然ではありません。
久保田さんは価格について「666」という数字を意識したことを明かしています。
また、自身が芸能界に26~27年ほど関わり、炎上や批判を受けてきた経験にも触れながら、
「ぜひマスコミの方に買っていただきたい」
と発言しています。テレ朝NEWS
666という数字は一般に不吉な数字として扱われることがあり、会見に同席していた野性爆弾のくっきー!さんも「悪魔の数字や」と反応しました。Fany Magazine
ここまで来ると、単純にキャンバスに描かれた「絵」を6660万円で販売しているというより、
「中身を見せない」
「芸能界の真実が描かれている」
「6660万円という異常な価格」
まで含めて一つの作品になっている、と見ることもできそうです。
まさに久保田さんらしい、アートと笑い、挑発を組み合わせた仕掛けです。
4.久保田かずのぶとは?意外に長い苦労人の経歴
久保田かずのぶさん、本名・久保田和靖さんは1979年9月29日生まれ、宮崎県宮崎市出身。
大阪NSC22期生で、村田秀亮さんと2002年に「とろサーモン」を結成しました。吉本興業
現在ではM-1王者として知られていますが、優勝までの道のりはかなり長いものでした。
コンビとしては、
- 2006年「ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞
- 2006年「オールザッツ漫才」優勝
- 2008年「NHK上方漫才コンテスト」最優秀賞
- 2017年「M-1グランプリ」優勝
などの実績があります。吉本興業
特に2017年のM-1では、和牛、ミキとの最終決戦を制して優勝。
審査員7人のうち4票を獲得し、結成15年目で悲願の王者となりました。M-1グランプリ 公式サイト
久保田さんの芸風は、毒舌やひねくれた視点、自虐、社会や芸能界への皮肉などが特徴です。
そして実は、この部分が現在の絵にもかなりつながっています。
5.ラップやデザインも――もともと表現の幅が広かった
久保田さんは漫才だけをしてきた芸人ではありません。
「MCサーモン」の名前でラップ活動を行い、MCバトルに参加したほか、アパレルのデザイン、映画・ドラマ出演などさまざまな分野で活動してきました。テレビガイド
つまり絵画だけ突然始めたというより、
言葉、漫才、ラップ、ファッション、絵
と、もともと自分の感情や考えをさまざまな方法で表現するタイプの芸人だったことが分かります。
その意味では、絵画も久保田さんのもう一つの「表現手段」なのかもしれません。
6.本格的に絵を描き始めたのは2022年
意外なのは、画家としてのキャリアがそれほど長くないことです。
2022年のインタビューでは、久保田さんは同年1月ごろから本格的に絵を描き始めたと語っています。装苑ONLINE
美術大学を卒業したり、長期間絵画を専門的に学んできたりしたタイプではありません。
久保田さん自身も、
「基本落書きしている感じ」
としており、抽象画を中心に、自分が好きなものを自由に描いていると説明しています。装苑ONLINE
ところが、始めてからわずか数カ月後には初個展を開催。
ここから予想以上の展開になります。
7.2022年の初個展では57作品が完売
2022年5月、東京・渋谷モディで初個展「なぐりがき」を開催。
公式発表によれば、
1円から100万円まで価格を付けた全57作品が完売
しました。プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES
中でも話題になったのが、100万円の作品「解放の終戦」です。
当初は買い手が付かなかったものの、最終的には高級理髪店の経営者が購入。
購入者は、作品から「世界平和という願い」が伝わったことや、色使いなどに惹かれて購入を決めたとコメントしています。スポーツニッポン
芸能人の絵には「ファンだから買われるだけでは?」という見方も当然あります。
しかし100万円という価格の作品を含め、初個展で全作品に買い手が付いたという事実は、少なくとも作品を所有したいと思う人が実際に存在したことを示しています。
8.作品集『なぐりがき』も出版
初個展の反響を受け、2022年11月にはイースト・プレスから初の作品集
『なぐりがき』
も出版されています。
未発表作品を含む全60作品が収録され、久保田さん自身による作品解説も掲載されました。イーストプレス
単発のテレビ企画として絵を描いたのではなく、
個展 → 原画販売 → 完売 → 作品集出版 → 4年後に再び個展
と活動が続いているところは注目すべきでしょう。
9.画家・久保田かずのぶの作品はどんな絵?
久保田さんの作品には、鮮やかな色を大胆に使ったものが多く、人物や動物、文字、抽象的な形などが入り交じっています。
きれいに整った写実画というより、
勢い
感情
毒
ユーモア
ポップさ
不穏さ
が同居するタイプの作品です。
野性爆弾のくっきー!さんは2022年の作品集刊行時、久保田さんの絵について、ポップさの中に「狂気」を感じる趣旨の評価をしています。プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES
今回の個展でも、くっきー!さんは自身にはないタッチだと評価。
南海キャンディーズのしずちゃんも、4年前と比べて精度が上がり、ポップ感や背景との切り分け方などについて感心したと語っています。Fany Magazine
2人とも自身で絵を描き、個展などの経験を持つ芸人だけに、身近な表現者からの評価としては興味深いところです。
10.では「画家として高く評価されている」と言える?
ここは少し分けて考える必要があります。
久保田さんには、
①作品が実際に売れている
②初個展が完売している
③100万円の原画にも買い手が付いた
④作品集が出版された
⑤4年後に百貨店で再び個展を開催している
という実績があります。
その意味で、単なる「芸能人の余興」の段階はすでに越えていると言ってよさそうです。
一方で、現時点で確認できる範囲では、美術館による収蔵や著名な現代美術賞の受賞、主要ギャラリーによる継続的な取り扱いなど、一般的な現代美術市場で作家の評価を測る指標が十分に積み上がっているわけではありません。
したがって、
「6660万円の値段が付いた=美術市場で6660万円の価値が認められた」
という意味ではない点には注意が必要です。
価格はあくまで作者側が設定できます。
本当に市場評価を見るなら、その価格で第三者が購入するか、さらに将来二次市場でどの程度の価格が付くのかまで見る必要があります。
11.むしろ6660万円の作品は「売ること」だけが目的ではない?
筆者として特に面白いと感じるのはここです。
6660万円という金額は、普通に考えれば極端です。
しかも、
「作品を見せない」
という条件まで付いています。
本気で高額販売するためだけなら、作品そのものを公開して魅力を伝える方が一般的でしょう。
ところが久保田さんは逆に隠しました。
これによって、
「いったい何が描いてあるのか?」
という疑問そのものがニュースになっています。
考えてみれば、これは久保田さんが漫才でやってきたことにも少し似ています。
普通なら言わないことを言う。
触れにくいものに触れる。
「それを言って大丈夫なの?」というところまで踏み込む。
今回の「芸能界が終わる絵」も、単なる高額絵画というより、久保田かずのぶという芸人そのものを使ったコンセプチュアルな仕掛けとして見ると、かなり興味深い作品です。
追記記事としてそのまま使える形にまとめます。前の記事の後半に差し込めるよう、**「6660万円という価格の意味」と「買い手側のビジネス価値」**を中心にしています。
追記|6660万円の絵は本当に高い?YouTuberやメディアなら元を取れるのか
「売れなくても成功」「6660万円の絵ではなく6660万円のネタ」
とろサーモン・久保田かずのぶさんが6660万円で売り出した「芸能界が終わる絵」。
しかも、作品の中身は購入した人にしか分からないという異例の販売方法です。
ここで少し違う角度から考えてみると、この6660万円という価格は、単純な「絵画の値段」として見るだけではない面白さがあります。
もしかすると、この作品を買う人が手にする最大の価値は、
「誰よりも先に中身を知ること」
なのかもしれません。
有名YouTuberが買ったら、企画として成立する?
例えば、登録者数が数百万人いる人気YouTuberが6660万円で作品を購入したとします。
そして、
「6660万円の絵を買ってみた」
「芸能界が終わると言われた絵を公開します」
という動画を出せば、タイトルだけでもかなり強い企画になります。
さらに月額1000円のメンバーシップ限定で、
「購入者しか見ることのできない絵を公開」
とした場合はどうでしょうか。
単純計算では、
6660万円 ÷ 1000円 = 6万6600人
となります。
実際にはYouTube側の手数料などがあるため、6万6600人でそのまま購入費を回収できるわけではありません。
それでも、数百万人の登録者を抱えるYouTuberであれば、数万人から10万人規模の有料視聴者を集められる可能性はゼロではありません。
もちろん、かなり大きな賭けではあります。
しかし、
「6660万円の謎の絵を買った」
という話題そのものが動画再生や登録者増加、広告収益、テレビ出演、ネットニュースへの露出につながる可能性まで考えれば、単純な視聴料金だけでは測れない宣伝効果もあります。
雑誌やネットメディアが買う可能性は?
これは出版社やネットメディアでも同じです。
例えば、
「独占公開 久保田かずのぶ6660万円の絵、その全貌」
という有料記事を配信すれば、かなり目を引く見出しになります。
仮に記事を1000円で販売するとすれば、6万6600件売れれば単純な売上は6660万円です。
ただし現実には、ネットメディアの記事一本で6万人以上から1000円を集めるのは簡単ではありません。
そのため、出版社であれば、
・雑誌の部数増加
・電子版の売上
・サブスク会員の獲得
・テレビやSNSでの二次的な話題
・別の記事へのアクセス増加
などを合わせて考える必要があります。
つまり6660万円の絵を買うというより、
「6660万円を広告宣伝費として使う」
という発想に近くなるでしょう。
ただし最大の問題は「賞味期限」
ここで重要なのが、この作品には普通の絵画とは違う弱点があることです。
それは、
話題には賞味期限がある
ということです。
今は、
「何が描かれているの?」
「本当に芸能界が終わるような内容なの?」
という謎があるからニュースになります。
しかし誰かが購入して内容を公開すれば、その瞬間から秘密ではなくなります。
例えば夜8時にYouTuberが作品を公開したとしても、
数分後にはSNSで内容が書かれ、
数十分後には画像や感想が拡散し、
翌朝にはネットニュースが一斉に報じている可能性があります。
つまり、この作品を情報コンテンツとして利用する場合、
価値が最も高い時間は公開直後の数時間から数日
ということになります。
しかも中身を見た人たちが、
「思ったほどでもなかった」
と感じれば、その瞬間に話題が終わってしまう可能性もあります。
逆に、
「これは確かにすごい」
「よくこんなものを描いたな」
となれば、さらに大きなニュースになるでしょう。
そう考えると、6660万円という金額はかなり大きなギャンブルでもあります。
買った人が自由にネット公開できるとは限らない
もう一つ注意したい点があります。
絵を購入したからといって、その作品をインターネット上で自由に公開できるとは限りません。
通常、絵を購入すると所有権は買い手に移りますが、著作権まで自動的に移るとは限りません。
つまり、
「6660万円で買ったから、YouTubeで全面公開します」
という使い方をするのであれば、作品の撮影や公開について久保田さん側との契約や許可が必要になる可能性があります。
むしろ本当にメディア企業や有名YouTuberが購入するのであれば、
作品の購入だけでなく、公開権や独占公開期間までセットで交渉する
必要がありそうです。
そうでなければ、せっかく6660万円で購入しても、自由にコンテンツとして利用できない可能性があります。
そして一番気になるのは「久保田本人がいつか公開するのでは?」
個人的に一番気になるのがここです。
もしこの作品が長期間売れなかった場合、久保田さん本人が、
「誰も買わなかったので公開します」
としてYouTubeやテレビ番組などで披露する可能性はないのでしょうか。
もちろん、現時点で久保田さんが将来公開すると発言しているわけではありません。
これはあくまで考察です。
しかし、お笑い芸人として考えれば、
「6660万円の絵を出品」
↓
「誰も買わない」
↓
「何年も中身が話題になる」
↓
「ついに本人が公開」
という流れそのものが、ひとつの長期的なネタになります。
逆に、最後まで公開しないという選択もあります。
その場合、
「あの6660万円の絵には結局何が描かれていたのか?」
という謎が残り続けます。
芸人として考えれば、こちらの方がネタとして長持ちする可能性もあります。
実は「売れなくても成功」なのかもしれない
ここまで考えると、今回の6660万円作品は少し不思議です。
普通の商品であれば、
「売れた=成功」
「売れなかった=失敗」
となります。
しかし今回の場合はそうとは限りません。
久保田さんが、
6660万円の絵を出品した
というだけでニュースになりました。
さらに、
「中身を見ることができない」
「芸能界が終わる絵」
「買った人だけが分かる」
という設定によって、作品そのもの以上に大きな話題を作っています。
仮に誰も買わなかったとしても、
久保田さんの個展が全国ニュースで紹介され、
「6660万円の絵」という言葉だけが独り歩きすれば、宣伝効果としてはかなり大きなものになります。
つまり久保田さんにとっては、
6660万円で売ることそのものが唯一のゴールではない
のかもしれません。
「6660万円の絵」ではなく「6660万円のネタ」
そう考えると、この作品は非常にお笑い芸人らしい作品にも見えてきます。
普通の画家が6660万円という価格を付ければ、
「なぜその価格なのか」
という作品価値の議論になります。
しかし久保田さんの場合は、
「誰か本当に買うのか?」
「中には何が描かれているのか?」
「買った人は公開するのか?」
「結局誰も買わなかったらどうするのか?」
と、次々に新しい話題が生まれます。
つまり、
絵そのものだけでなく、値段も、秘密も、売れるかどうかも含めて作品になっている
とも考えられます。
そして最大のポイントは、
この作品の本当の価値は6660万円なのかではなく、「中身を知りたい人が何人いるのか」ということ。
さらに言えば、
その興味がどれくらいの期間続くのか
が、この作品の価値を決めるのかもしれません。
美術作品というより、芸能ニュース、ネット文化、YouTube、広告、そしてお笑いを組み合わせた一種の実験。
そう考えると今回の6660万円作品は、久保田かずのぶさんだからこそ成立する、かなり面白い「ネタ型アート」と言えそうです。
保田かずのぶは芸人なのか、画家なのか
とろサーモン久保田かずのぶさんの4年ぶりとなる個展「なぐりがき~猫狂~」。
そこで登場したのが、
購入するまで中身を見ることのできない6660万円の「芸能界が終わる絵」
でした。
最初は「芸人がまた面白いことをやっている」と感じてしまいます。
しかし調べてみると、2022年の初個展では57作品が完売し、100万円の絵にも買い手が付き、その後作品集まで発売されています。
そして4年後に再び個展を開催しました。
もちろん、現代美術界における評価と「芸能人としての知名度を背景に作品が売れること」は同じではありません。
それでも、作品を実際に買う人がいて、再び個展を開けるだけの需要が存在することもまた事実です。
そして何より興味深いのは、久保田さんの絵には、漫才で見せる毒、反骨精神、ひねくれた視点、笑いがそのまま入り込んでいること。
「芸能界の真実」を描いたという6660万円の作品が果たして誰かに購入されるのか。
そして、本当に買われた時、その中身は世の中に公開されるのか。
“見えない絵”だけに、今回もっとも気になる作品になってしまった——。
そこまで含めて、久保田さんの狙いなのかもしれません。オリコンニュース(ORICON NEWS)
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