「シン・ゴジラ」立体商標に 東宝の主張認める判決 知財高裁 

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大ヒットした「シン・ゴジラ」の第4形態について、東宝が立体商標を申請していましたが、今まで認可されていませんでした。

この度、ゴジラは圧倒的に認知されているということで、知財高裁が東宝の主張を認める判決を出しました。

特許庁は控訴せず、認可される見通しとのことです。

立体商標とはなにか?「シン・ゴジラ」認可のための東宝の主張と、それを認めた理由について解説しています。

目次

「シン・ゴジラ」第4形態 立体商標登録認可へ

怪獣特撮映画「シン・ゴジラ」に登場するゴジラの形状について、知財高裁(宮坂昌利裁判長)は、「立体商標」と認めなかった特許庁の審決を取り消した。製作・配給元の「東宝」の主張を認めた。

中略

10月30日付の知財高裁判決は、16年の映画「シン・ゴジラ」の劇場公開前から、無数のひだが刻まれ、岩肌のような複雑な陰影を醸し出す体形はゴジラのキャラクター形状として消費者に広く、認識されていた」と指摘。映画シリーズは60年以上にわたり新作を公開していることなどから、圧倒的な認知度がある」として立体商標と認めた。

 判決が不服の場合、最高裁に上告できるものの、特許庁は判決を受け入れ、商標登録を認める可能性が高い。

毎日新聞2024/11/7より

東宝は2020年9月に、シン・ゴジラの進化最終段階「第4形態」のゴジラ形状をフィギュアやおもちゃなどに使用するとして立体商標を出願していましたが、特許庁より拒絶されていました。

拒否理由は「恐竜や想像上の動物をかたどった形状の一類型に過ぎない」(商標法第3条第1項第3号)。

また、「シン・ゴジラ」が実写邦画ランキング1位とヒットしたとしても、本願商標を使用した商品の販売期間が永年とはいえず、需要者に広く認識されるに至っていないとして(商標法第3条第2項の要項を満たさない)登録を拒絶しました。

東宝は5月、これを不服として審決の取り消しを求めて提訴していました。

知的財産高等裁判所は、上記のニュースのように、ゴジラの形状は60年以上、ゴジラとして消費者に広く認識され、圧倒的な認知度があるとして立体商標を認めたわけです。

ゴジラはゴジラであって、
恐竜など想像上の動物ではないということでしょうか?

立体商標とは

立体商標とは、立体的形状(文字等との結合を含む)に付与される商標権のことです。

立体商標の対象となるもの

1/ 商品そのものの形状 ・・・・・・・・・・例、ひよこ(まんじゅう)、サイコロキャラメルなど
2/ 商品のパッケージの形状 ・・・・・・例、コカコーラのボトル、カップヌードルの容器など
3/ サービスの提供のために用いられるものの形状 ・・・・・・例、航空機のデザインなど
4/ 商品やサービスに関する広告の形状 ・・・・・・・・例、ペコちゃんは日本の立体商標の第一号です

出展:日本ネーミングリサーチ

ぺこちゃんのように、形状を見ただけでそのブランドと判るもの自社と他社を識別する力を自他商品識別力)ということです。

意匠権との違い

商品を守る権利として、商標権のほか意匠権というのがありますね。

意匠とは製品のデザイン(外観)のことです。意匠権とは工業製品のデザインを保護する制度です。

企業努力によって生み出された新しい工業製品を保護するのが目的で、意匠権の存続期間は、登録日から20年間です。(2007年の改正以前は15年間)

意匠権に対して、立体商標は形状自体ではなく、その形状に蓄積された「業務上の信用」を保護している点で、「物品のデザイン(形状)」自体を保護することが目的です。

意匠登録の要件は、新規性や独創性(オリジナリティ)などですが、立体商標はその形の新規性や独創性は関係なく、その形状が商標としての機能を有する、つまりは広く認識されているか、今まである登録された形状と似たものではないかが要件となります。

立体商標の有効期間は10年間ですが、任意で金銭を支払い続ける限りは半永久的に更新できます。

簡単に言うと、特殊な形状そのものを守りたいのなら意匠登録。商標のブランド力を守りたいのであれば立体商標登録ということになりますね。実際には同時に登録していることが多いようです。

ゴジラにおける知財高裁の判断

◎昭和29年から令和5年までの69年間に、映画「ゴジラ」シリーズ30作品において「ゴジラ」は、少しずつ形状を変えているものの、その基本的な形状はほぼ踏襲され、体形、顔・頭部等の特徴は、同種の怪獣キャラクターの中でも際立った特色となっている。

◎「シン・ゴジラ」の中で第4形態ゴジラは、それ以前のゴジラの基本的形状をほぼ踏襲しており、映画「シン・ゴジラ」の公開以前から広くゴジラとして認識されている。

◎映画「シン・ゴジラ」は、観客動員数569万人、興行収入82.5億円(同年の実写邦画部門第1位、日本映画歴代22位)という記録的な大ヒットとなり、同年の流行語大賞候補にも「シン・ゴジラ」がノミネートされた。ゴジラキャラクター商品は、平成28年から令和6年までの売上数量及び売上額(上代ベース)は、それぞれ約102万個、約26億5000万円である。

◎令和3年9月2日~3日に全国、15歳~69歳までの男女を調査対象にしたアンケートによると「ゴジラ」又は「シン・ゴジラ」と答えた者が64.4%に及び、特に男性では70.8%と、極めて高い認知度が示された

以上の結果、本願商標については、その指定商品に使用された結果、需要者である一般消費者が原告の業務に係る商品であることを認識できるに至ったものと認めることができる

つまりは、「シン・ゴジラ」が「ゴジラ」の変形で実質同一でないとしても、その立体形状がゴジラとして認識されているのであれば、指定商品における売上の多寡を問わず、特別顕著性により商標登録が認められるということです。

ゴジラは単なる映画の登場キャラクターとしてではなく、キャラクタービジネス(商品展開)により、コンテンツとしての知財価値を高めてきた企業努力が認められたのですね。

マークス商標ニュースレター参照

このような理解で合っているのかな?
なんだか難しいですが、
ゴジラはゴジラとして圧倒的に認識されており
シン・ゴジラもゴジラとして認知されているよってことですかね。

まとめ

東宝の島谷能成会長の指示で、「シン・ゴジラ」公開の1916年、17年頃、ゴジラの商品化権を数年前に買い戻し、全世界で東宝がゴジラの権利を持っているそうです。

今回は「シン・ゴジラ」の立体商標登録が認可されたことで、ブランド価値が保護されたということのようです。

2022年の「ゴジラ-1.0」が世界的なヒットを受け、新作の制作も発表されました。

東宝としては、『ゴジラ』は単なる映画キャラクターとしてではなく、ディズニーの『ミッキーマウス』のように広く世間に認知されたコンテンツであると認められたことで、優位にキャラクタービジネス(商品展開)ができるというところでしょうか。

ゴジラの著作権問題では、東宝と映画『ゴジラ』(1954年)の監督を務めた故・本多猪四郎氏の遺族との和解が成立しているそうでが、権利問題はなかなか難しいですね。

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