映画『とおいらいめい』地球最後の日をどう迎えるか?高石あかり主演

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この世の終わりの映画です。でもSFでもなく、パニック映画でもない。静かに過ぎていく日常・・・。

映画『ベイビーわるきゅーれ』や舞台『鬼滅の刃』で話題の高石あかりが、全く違う静かな演技を見せています。映画のあらすじとキャスト、評価の紹介と考察をしています。

2022年8月27日公開

目次

あらすじ

父の葬儀のために久しぶりに瀬戸内海の町に戻ってきた絢音(吹越ともみ)花音(田中美晴)。実家には父と暮らしていた腹違いの妹・音(髙石あかり)がいた。

時は2020年、隕石が衝突し人類が滅亡するまであと数か月に迫っていた。絢音は最後の時を家族三人で暮らすことを提案する。

音は幼いころに家を出た姉たちとは一緒に暮らした記憶がなく、うまく二人と打ち解けることができないでいた。馴染みの店の店主も最後の時を息子と共に過ごすために町を離れるという。

絢音はシェルター建設の仕事をしている。タイムリミットが迫り、不穏な空気が増し、絢音のクライアントや同僚が殺される事件も起こる。

一方、花音は同級生の良平と再会する。良平には5歳の息子がいた。世界が終わることを承知で産んだ子だったが、妻との関係は上手くいっていない。花音にとって良平との時間は拠り所になっていた。

絢音と花音は、1999年の世紀末、ノストラダムスの大予言を信じ箱舟を探して家出をしたことがあった。

あれから20年。今度は本当の世界の終わりを迎える。三人は本当の家族になれるのだろうか・・・。

原作・脚本・監督・キャスト

映画の原作 は長谷川朋史作の戯曲「とおいらいめい」です。

2004年に上演された舞台を長谷川朋史さんが大橋隆行監督に映画化をオファーしたことがきっかけだそうです。

映画化にあたっては、舞台では双子の姉妹の設定を三人姉妹に変更しています。これには腹違いの妹(三女)の高石あかりさんとの出会いがあってのことだとか。

当時、17歳の高石あかりさんは若いのにしっかりした子との印象で、「使ってみたい」と脚本を変えてまでオファーするってすごいですね!!これからも楽しみな女優さんです。

その他のキャストにはドラマ『半沢直樹』鈴木莉乃役で注目の 吹越ともみ が長女役に。

日仏合作『MINORI』ミノリ役でフランスで話題になった 田中美晴 が次女役で出演しています。

本作は俳優、藤田健彦・しゅはまはるみ・長谷川朋史らで結成された自主映画製作チームルネシネマによって制作されました。

評価・感想

高い評価
  • SF要素が強くなく、穏やかに進む日常。美しいエンディングの映像。好きな人は好き。
  • 高石あかりが抑えた演技で違った一面を見せている。
低い評価
  • 盛り上がりもなく、何を言いたいのかわからない。
  • 映像は美しいが長過ぎる。特にエンディングは退屈した。

感想・考察(ネタバレあり)

『ベイビーワルキューレ』の高石あかり主演で、終末映画ということで鑑賞しました。

隕石が地球にぶつかるという映画は『ディープインパクト』だとか『アルマゲドン』とか、結構ありますね。

音(髙石あかり)がひとりごはんを用意して食べている。そこに家を離れていた姉二人、彩音(吹越ともみ)花音(田中美晴)が帰ってくるところから始まります。「はやく着替えて」と長女が急かし、そして、場面はお寺の境内に変わる。

ああ、父親が亡くなって葬儀に帰ってきたのだと、その後、三人姉妹は近くの店に行く。店主が「大きくなったね」という。二人の帰郷はしばらくぶりだったのだとわかる。「昔、二人が家出して大変だったんだよ」と店主が言う。音は「知らない」という。音と二人の姉は年齢も離れていて、あまり共通の経験がないことがわかる。

店内に品物はほとんどなく、街に人影もない。彩音が実家で三人で暮らそうと言う。

たまに、「隕石」だの「世界の終わり」だの、そんな言葉が出てくるが、物語は淡々と進む。

現代は2020年。姉妹がノストラダムスの大予言を信じて、方舟を探しに家を出たのが1999年。2つの時間軸が交差する。

物語の中に少しずつ終末が近いことを予感する事柄が挟まれてくる。

彩音はシェルターの設計の仕事をしている。シェルターは秘密の場所にあるが、秘密は暴露されるもので、「差別だ!」などと書かれた看板が壊されていたり、同僚が襲われたりしている。

彩音と同僚の会話

シェルターはどのくらい持つんですか?

10年ぐらいだって聞いている

それまでに人が住めるようになってるんですかね

まだ氷河期かもね

生き延びたいとシェルターに群がる人々。経済的差別、暴力の横行。

彩音はシェルターで助かるとは思っていない。

花音は同級生の良平と親密になっていく。良平は妻帯者で5歳になる息子がいる。「こうなることが分かって、すぐ妊娠が発覚した。随分迷ったけど、どうにかなると思ってたんだ、あの時は」と良平は終末が知っていて子供を生んだことを語った。

花音と良平

姉の彩音から、「大人になることが出来ないのが分かっていて子供を生むなんて普通じゃない!!」と良平と会うことを反対されてから、二人は廃墟になった学校へ行く。

頼みがあるんだ

なに?

お姉さんはシェルターの仕事をしているんだよね

良平は花音に土下座をして頼む。

場面変わって、良平が死んだと良平の妻が知らせに来る。

良平の妻が花音に言う。

子供のことで頭がいっぱいなの。
子供のために死ねるなんて幸せじゃないの?

花音は良平とは家族でないことを思い知る。

は一緒に暮らした記憶のない姉たちと打ち解けずにいた。そんなとき、酒を飲むために集まっているグループと知り合いになり、未成年だがバーに通うようになる。

音と人々

馴染の店主との会話

店を閉めて、息子と一緒に暮らすことになった。

よかったね。家族と一緒に終りを迎えるのがいいと思う。

そして、知り合いのバーに向かうと、グループの人々が亡くなっているのを目撃する。

泣きながら歩いていると、1999年の姉たちに出会い、過去の時間を共に過ごす。

目を覚ますと、現代の姉たちがそばで寝ていた。喧嘩を始める二人を見て、音は初めて本音で話すことが出来た。

ふたりとも普通だね。

音は「怖い」と初めて感情を表に出す。

少しずつ家族になっていく三人。そうして美しい夕日の海岸で音についてとりとめもなく語り続ける。

波の音。台所の音。足音。花音のいびきの音。音の鼻歌・・・・エンディング。←このシーンが長い。

大橋隆行監督は、隕石が地球にぶつかるまでの間を6年と設定している「この世の終わりが確定して、世の中がパニックになって、少しずつ落ち着くのまでを6年と設定した」と語っている。

6年・・・・。

逃れられない終末を知って6年は、短いのか?長いのか?

終末思想といえばキリスト教っぽいけど、『アルマゲドン』では救世主が現れ、『ティープインパクト』ではノアの方舟で救われる。

誰かがどうにかしてくれると思っているうちに時は流れ、あと数ヶ月。その時私はどうしている?

この映画の撮影はコロナの時期と重なったそうです。あんな事が現実で起こるなんて信じられなかったけどね。

そんなことを映画を観たあとに思ったりもします。確かに最後のシーンは長すぎるけど、美しい景色が静かに暮れていく。

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