絵本作家のせなけいこさんが10月23日、老衰のため亡くなったことがわかりました。
告別式は近親者のみで執り行われたそうです。喪主は長女で絵本作家の黒田薫さん。
絵本「ねないこ だれだ」で親しんだ方も多いですね。
せなせいこさんを偲んでプロフィールと作品を紹介します。
せなせいこプロフィール
絵本作家 せなけいこ(本名:黒田 恵子)
生年月日:1932年12月3日 東京都出身
夫:6代目柳亭燕路(落語家)1991年 53歳で死去
娘:黒田かおる (絵本作家)
息子:黒田龍之助(言語学者)
経歴
19歳(1951年)童画家の武井武雄に弟子入りして絵を学び、「貼り絵」を習得。
37歳(1969年) 『いやだいやだの絵本』(全4冊)で絵本作家デビュー
38歳(1970年)『いやだいやだの絵本』第17回サンケイ児童出版文化賞受賞
85歳(2017年)『ねないこはわたし』で第5回ブクログ大賞のフリー投票部門大賞を受賞
『いやだいやだの絵本』シリーズ(全4冊)
『いやだいやだ』シリーズは、当時3歳の息子に読み聞かせするために、ディック・ブルーナの絵本の続編として自作した絵本が元だそうです。
当時は、絵本は静かな雰囲気のものが主流でしたが、子どもはだだをこね、喧嘩するものですから、現実の子どもを出したほうが子どもが喜ぶと思って作ったそうです
3歳の幼児はだだをこねるものですからね。
せなけいこさんの絵本は説教したりしないところが素敵です。
絵本の材料は家にあったデパートの包装紙やチラシ、画用紙の切れ端でした。以来、ずっとその手法ですね。だってもったいないじゃない。
子どもたちとは「うさこちゃん」シリーズをよく読んでいましたね。ディック・ブルーナの絵本が私も好きで、「にんじん」は「うさこちゃん」と同じサイズにしたんです。
そうやって手作りした本をたまたま出版社の方に見せたら「本にしましょう」と。新人にもかかわらず「ねないこ だれだ」「もじゃ もじゃ」「いやだ いやだ」とともに4冊同時に出してもらえたのですから、今思えばとてもラッキーでした。
ただ、子どもたちは絵本のモデルにされるのが嫌だったみたい。だから「いい子にしていないと、ママに絵本にされちゃいますよ」とよく言っていましたね(笑)。
『いやだいやだ』
いやだ、いやだってルルちゃんはいうよ。
それなら、
お母さんも
おいしいおやつも
お日さまも、いやだっていうよ。
ルルちゃんは何でも「いやだ、いやだ」といいます。
でも叱ったり、説教したりはしません。
「それならどうするの?」といっしょに考えます。
『ねないこだれだ』
こんな時間におきてるのだれだ?
ふくろうにどらねこにどろぼう・・・
「いえ いえ よなかは おばけの じかん」です。
いつまでも寝ない子どもに読み聞かせ。
こんな時間まで起きていると
おばけになって飛んでいくよ~
『もじゃもじゃ』
もじゃもじゃなのは、
庭の木と犬のころとほどけた毛糸、
それにルルちゃんの頭。
さあどうしたらいいのかな……。
「もじゃもじゃ」という音の響きが面白い!!
何度も読んでいるうちに、子どもたちも
「もじゃもじゃ」と言って喜びます☆
『にんじん』
「にんじんの好きな子だあれ」
うまもきりんも、
さるもかばも
みんなおいしそうに食べます。
では一番すきなのだれ?
にんじんが大好きな動物たちがいっぱい出てきます。
みんな元気です!!
「にんじん食べろ」と言わないところがいいですね。
よくお母さんたちから「子どもにどんな本を読ませたらいいですか?」と聞かれますが、それぞれの生活環境やら個人差があるでしょう。
第一、親がダメっていうものを、子どもは見たくなるもの。感想文を書かなきゃと思うと面倒くさくなる。
だから自由に興味を広げてもらうほうがいいんじゃないかしら。
私もお説教は苦手だし、何よりおばけは小言を言わないからいいんですよ(笑)。
せなけいこのおばけの絵本
『いやだいやだの絵本』の『ねないこだれだ』に出てきてから、たくさんのおばけが登場しました。
白いおばけは、せなけいこ作品のトレードマークになりました。
せなさんは、水木しげるさんの『ゲゲゲの鬼太郎』が大好きだったそうですから、ろくろっくびやからかさおばけも登場しますね。
この本を出した時、「子どもが怖がって寝てくれてよかった」と言われたのですが、しつけのために描いたつもりはまったくなかったんですよ。
息子が小さかった頃、親子で夢中になったのは水木しげる先生の「ゲゲゲの鬼太郎」でした。
子どもにとっておばけは怖い。でも見てみたい。
「おばけのテレビ、見せて」とせがむ息子の姿に、子どもの友だちになれるおばけを描こうと。そうして生まれたのが「ねないこ だれだ」でした。
めがねうさぎシリーズ
大らかでマイペースなうさこと、
いたずら好きだけど、どこかおっちょこちょいなおばけのコンビで人気のシリーズです。
かわいい貼り絵と、親しみやすいキャラクター。
そして、子どもが大好きなちょっぴり怖いおばけ。
誕生から約50年。愛され続けているシリーズです。
うちのうさぎも老けてきたのね(笑)。
『めがねうさぎ』は、息子が小学校に入って、先生からめがねをかけた方が良いといわれて、めがねを買ったの。でも、クラスでめがねをかけている子が少ないから、気分が落ち込まないように、めがねは楽しいんだよというおはなしを作ろうと思ったのがきっかけ。
めがねうさぎ40周年インタビューより
『ねないこはわたし』自伝的絵本
37歳、遅咲きの絵本作家は子育てを楽しみながら子どもたちと絵本を作っていきました。
もちろん子育ては楽しいことばかりじゃないですね。
せなさんの絵本への愛情が詰まった一冊。
原画の写真や、デビュー前の雑誌の写真などせなワールドが満載です。
子育てをした人、子育てをする人、絵本が好きなこども、すべての人へ贈る、自伝的絵本。
『ねないこだれだ』は、子どもを寝かしつけるしつけの本ではなかった、という驚きの告白からはじまる本書は、せなさんが初めて「自分のことを書いた絵本」。
作品概要より
各章では、デビュー4冊の『にんじん』『いやだいやだ』『もじゃもじゃ』『ねないこだれだ』などを入り口に、その独特すぎる世界、画風、文体やアイデアの源泉、そして本と絵への愛情をつづっていきます。
まとめ
絵本作家のせなけいこさんが亡くなられました。92歳、老衰のためとのこと、天寿を全うされました。
37歳でデビューと遅咲きではありましたが、ご自身の育児経験を元に作られた作品は、多くの人々に親しまれてきました。
晩年は目が思うようにならなくなり、文章に専念されたそうですが、絵本への情熱は衰えませんでした。
トレードマークのおばけやめがねうさぎはこれからもたくさんの子供たちを喜ばせてくれますね。
素敵な作品をありがとうございました。
御冥福をお祈りいたします。
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