兵庫県知事選挙 斎藤元彦元知事X戦略で巻き返し 再選はあるのか?

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元知事・斎藤元彦氏の辞任による兵庫県知事選挙の投票日は11月17日に迫ってきました。

最新の状況では、立候補者7人のうち、元尼崎市長の稲村和美氏がややリードし、元知事の斎藤元彦氏がこれを追う展開となっています。

そもそもこの知事選挙は、斎藤元彦元知事のパワハラ疑惑などにより兵庫県議会から全会一致で不信任を突きつけられて辞任したことから始まります。

いったい何が起きているのか動きを追ってみました。

目次

5期20年の井手体制

2021年、5期20年を務めた井戸敏三知事が退任しました。

阪神淡路大震災から10年、2001年の知事就任時には震災復興の借金が多くあり(最終総額約1兆3千億円)「改革の断行なくして兵庫の再生はない」を合言葉に、2008年度に新行革プランを策定。

膨大な負債を抱えた県財政の再建に向け、井戸県政では職員数の3割削減・給与カットや助成事業費削減などの行財政改革を11年間続け、2018年度決算では震災後初めて基金の取り崩しや借金をせずに「収支均衡」を達成、19年度決算では県債残高を3,229億円まで減らしました。

井戸県政の震災復興について、兵庫県立大学大学院の室崎益輝教授は「借り上げ復興住宅の退去問題などで対応がやや不十分な面もあったが、被災者復興支援会議で声をくみ上げて政策化する仕組みをつくり、兵庫の取り組みを全国に伝えるなど大きな役割を果たした」と評しています。

しかし、コロナ禍では「うちわ会食」を打ち出し予算700万円でうちわを配布しようとしましたが、批判を受けて撤回しています。

また、知事公用車センチュリーの乗り換え問題など長年に渡った井手体制に批判の声もあります。

自民党兵庫県議団の分裂

2021年7月の兵庫県知事選では、井手元知事の後継者として金沢和夫副知事擁立に対して自民党兵庫県議団が割れたということです。

金沢氏を推す井手派と斎藤氏を推す反井手派の対立が始まりました。

当初は金沢氏優勢だったところ、総務省から大阪に出向していた斎藤氏を推すことで大阪維新の会が斎藤支持にまわり「県政一新、改革」を打ち出して斎藤元彦氏が圧勝しました。

井手氏と大阪維新の会

大阪都構想には当初、反対していたが、2020年には「二重行政の廃止という狙いがはっきりしている。関西広域連合としても、関西圏として(東京中心の)首都圏に対抗する大きな要因になり得る」として「東京に対抗できる行政システムができることは歓迎したい」との考えを明らかにした。

2014年10月14日、橋下徹大阪市長・松井一郎大阪府知事が進める統合型カジノ構想に対し、「依存症の弊害がある中なぜ今解禁なのか」「地域振興のために手段を選ばないのは基本的に間違い。関西広域連合として議論していないが私は大反対だ」と反対を表明。

井戸路線との決別

斎藤知事は「脱・井手県政」を推し進めます。

井出県政からの脱却のための方針案
  • 県庁建て替えの中止、予算削減の方針
  • 分収造林事業見直しのための委員会の設置
  • 県立大学無償化の方針
  • 地域整備事業見直しのための委員会の設置
  • 県の外郭団体役員に対して、定年規定を「厳正適用」

これらの斎藤知事の方針について、県庁職員の反発が広がったと2024年11月02日号「週間現在」が、『兵庫県知事はなぜあきらめないのか?』という記事で書いています。

齋藤氏が進めようとした改革は、方針としては井戸県政の既得権益にメスを入れるものであり、多くの県民の意に沿っていたと言えるだろう。ただ、保守的風土の兵庫県で20年かけて築かれた権益に切り込むには、「権力基盤が固まっていない1期目なのに、改革のスピード、量ともにあまりに性急すぎた」(前出の県幹部)印象が否めない。

週間現在より

そしてある県OBの話として、斎藤知事辞職のシナリオがあったのではないかと書かれています。

「Aさんは不遇な人事をきっかけに告発文を書いたが、それを利用して反齋藤の『ヒーロー』に仕立て上げ、不信任案提出、さらには齋藤知事の辞職までつなげるシナリオを描いた勢力がいるのではないか」

週間現在より

これらのことを選挙戦では県政改革しようとしていた斎藤知事に対し、既得権限を死守するために「斎藤潰し」が行われたとSNSなどで発信されるようになります。

20年続いた井戸県政では、県内を知り尽くした井戸氏のトップダウンで知事の顔色ばかりをうかがう組織体質を改革し斎藤は「知事が大きな道筋を示し、そのほかは各部局に任せる」というボトムアップ型の県政行うとしました。

しかし、それは斎藤肝煎りの「新県政推進室」のわずか11人で県政の方向性を決定するもので「密室」と揶揄されもしました。

また知事のコミュニティー不足は各面で影響を及ぼしていたのは事実のようです。

斎藤前知事への告発文

当時の西播磨県民局長(渡瀬康英)は、斎藤を告発する内部告発文書を作成し、2024年3月12日に兵庫県警、国会議員、県会議員、報道各社の計10箇所に匿名で送付しました。

3月下旬に告発文書を一般民間人の情報提供で、斎藤知事が知るところとなり内部調査を指示。

人事課は元西播磨県民局長が文書作成者の疑いが高いと特定。片山らは元西播磨県民局長の職場にアポなしで訪れ、公用パソコンを押収し、元西播磨県民局長に聴取を行いました。

3月末、県は不正行為が確認されたとして、懲戒処分を見越して元西播磨県民局長の3月末の定年退職を取りやめ保留することを発表。

斎藤は記者会見で、「事実無根の内容が多々含まれおり、職員の信用失墜や名誉毀損など法的課題がある」として、「業務時間中なのに嘘八百含めて文書を作って流す行為は、公務員としては失格。被害届や告訴などを含めて法的手段を進めている」と発言。

これら「告発者探し」や「懲戒処分」が公益通報者保護法に違反すると指摘されています。

4月4日、元西播磨県民局長は「調査方法があまりに非常識・不適切で、真相究明を期待することは到底できない」として、県庁内の公益通報窓口へ改めて実名で告発文書を提出しました。

百条委員会と斎藤知事失職までの経緯

兵庫県の元西播磨県民局長が作成した4ページの告発文書「斎藤元彦兵庫県知事の違法行為等について(令和6年3月12日現在)」をめぐり、兵庫県議会は、真実の解明のために地方自治法100条に基づく調査権限を発動して、「百条委員会」を開催しています。

「公益通報者を保護する体制」とは

2022年改正の後の公益通報者保護法では、兵庫県は事業者として「公益通報者を保護する体制」を整備しなければならないと義務づけられています(公益通報者保護法11条2項、指針第4、2)。

具体的には、以下のような措置を義務づけられています。

公益通報者が不利益な取扱いを受けていないかを把握する措置をとり、不利益な取扱いを把握した場合には、適切な救済・回復の措置をとる。

不利益な取扱いが行われた場合に、当該行為を行った労働者及び役員等に対して、行為態様、被害の程度、その他情状等の諸般の事情を考慮して、懲戒処分その他適切な措置をとる。

通報者の探索を行うことを防ぐための措置をとる。

通報者の探索が行われた場合に、当該行為を行った労働者及び役員等に対して、行為態様、被害の程度、その他情状等の諸般の事情を考慮して、懲戒処分その他適切な措置をとる。

◎6月14日、県議会は「文書問題調査特別委員会(百条委員会)」の第1回目の会合

百条委員会での確認事項として原則公開とし、インターネットによるライブ中継及び録画を行う。ただし個人のプライバシーに関わるとき等は、委員会の議決により秘密会とするとしました。

◎6月20日、斎藤前知事は定例記者会見で文書の各項目について初めて説明をし、7項目の疑惑をすべて否定しました。

◎6月27日、県議会は百条委員会の2回目の会合を開催。7月19日予定の3回目の会合に、元西播磨絵県民局長に証人出頭を求めることなどが確認され、押収されたパソコンに残っている他の文書も含めて百条委員会で開示しようとする意見が出ました。そのため元西播磨県民局長の代理人が県人事課に、プライバシーに関わる資料については十分に配慮するよう申し入れています。

◎7月7日午前10時頃、元西播磨絵県民局長は、県議会事務局宛てに、百条委員会が提出を求めた書類を添付し、百条委員会への出頭に前向きな内容のメールを送っています。

◎同日。元西播磨絵県民局長死亡、自殺と見られる。「一死をもって抗議する」「百条委員会は最後までやり通してほしい」という内容のメッセージとともに陳述書と音声データが遺されていた。

◎7月10日、兵庫県職員労働組合は「もはや県民の信頼回復が望めない状況になっている」として、斎藤前知事に辞職を求める申し入れ書を提出。

◎7月11日、片山前副知事は「県政が停滞している。自分も責任を取るので、一緒に辞任しませんか」と斎藤前知事に迫ったが、斎藤前知事は「辞めるという選択肢はない」と否定。

◎7月12日、片山前副知事は7月末付で辞職する旨の辞表を斎藤前知事に提出。

◎7月16日、百条委員会の非公開の理事会が開催。「おねだり体質」の証拠の音声データと陳情書が提出。辞職を求めるなどの問い合わせが1000件以上相次いでいることなどを発表。

◎7月20日、県の公益通報委員会は「パワハラ疑惑については一部で強く叱責されたと認識する職員もいたが、認定には至らなかった」との見解を表明。

◎8月20日、斎藤知事は定例記者会見にて、告発文を「公益通報」として扱わなかった根拠となる元局長の「うわさ話を集めたものと説明した」との証言について改めて問われると、「記録は存在する」と話したものの「条例で開示できない」と回答。

◎同日、兵庫県警は県議会警察常任委員会において、黒田一美県議の「議会関係者・警察・マスコミなどへ提供されたとされる(3月12日の)文書は兵庫県警へ通報されたのか。2号通報(公益通報者保護法第3条第2号の権限を有する行政機関等への通報)に該当すると考えるが、公益通報として受理しているのか」との質問に対し、「3月15日付けで受領している。文書については記載内容や匿名の文書であることなどを総合的に考慮した結果、現状においては公益通報(2号通報)としての受理には至っていない」と答えた。

◎8月23日、百条委員会にて非公開で実施した証人尋問が行われた。奥谷謙一委員長らは終了後に記者会見し、6人の職員の証言内容を明らかにした。いずれも明確に斎藤から「パワハラを受けた」とは証言しなかった。

◎8月30日、斎藤前知事が初めて百条委員会に出席し自身の疑惑について証言した。

◎9月2日、優勝パレード巡る背任容疑で、東京都の男性が斎藤前知事と片山前副知事を大阪地検特捜部に刑事告発した。

◎9月5日、委員会に出席した公益通報に詳しい奥山俊宏・上智大教授は、県が告発を公益通報として扱わずに告発者を懲戒処分としたことは、公益通報者保護法に違反するとの見方を示した。同日の尋問で、原田剛治産業労働部長は、斎藤が3月に側近を集め、文書作成者の特定を指示したと証言。

◎9月6日、委員会に出席した公益通報者保護法に詳しい山口利昭弁護士は、元局長がことし3月、県議会議員や報道関係者などに告発文書を送ったことは、県が公益通報者保護法で定められた公益通報に対応する体制整備の義務を果たせていないとして「県は法令違反の状況が続いている」と指摘。また、山口弁護士は、3月27日に元西播磨県民局長が、片山前副知事に「しっかり調査してください」と言っていたことに注目し、4月4に内部通報窓口に通報した日よりも前の、3月27日のこの時点で、「外部通報から内部通報に変わった」と指摘。

公益通報者保護法に基づく保護対象の認識についての見解(百条委員会)

片山元副知事・・斎藤政権にダメージを与える、転覆させるような計画で、選挙で選ばれた知事を地方公務員が排除するのは不正な目的なのでちゃんと調べなくてはいけないと考えた。

斎藤知事・・「瑕疵(かし)はない」と証言した。専門家は県による法令違反を指摘したが、斎藤は「公益通報に該当するとは思っていない」と述べた。

◎9月9日、日本維新の会が斎藤の辞職と出直し選挙を求める申し入れ書を提出。12日には自民党と公明党、ひょうご県民連合、共産党の4会派と無所属議員4人が共同で辞職の申し入れを行い、全議員86人が辞職を迫る事態となった。

◎9月19日、兵庫県議会に提出された斎藤知事不信任決議案は投票の結果、県政史上初めて全会一致により不信任決議が可決された。斎藤知事は10日以内に県議会解散もしくは辞職、あるいは10日経過による知事失職のいずれかを選ぶことになった。

◎9月26日、斎藤知事は、記者会見で、県議会を解散せず、不信任決議可決から10日経過後の同月30日付で知事を失職した上で、その後行われる出直し選挙へ立候補を正式表明

出直し選挙

10月31日、2024年兵庫県知事選挙が告示され、斎藤は出直し選挙に出馬しました。

斉藤陣営は街頭演説を積極的にSNSやXに投稿し、無党派層の支持を集め、フォロワー数は知事を失職した直後の9月末(約7万人)から倍以上の約16万人となっています。

メディアで見慣れた鉄仮面ぶりとは全く違う笑顔で選挙戦を戦っています。

「メディに騙された、斎藤がんばれ」の声も多く、日に日に支援者が集まっている様子も配信されています。

N国 立花代表が斎藤候補応援!?

兵庫県知事を選ぶのは県民の方々なので、しっかりと考慮して投票してほしいと思います。

ただ、「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏が兵庫県知事線に立候補しています。

しかし、自身の当選ではなく、斎藤候補の応援であることは明らか。

しかも、演説の内容は、元西播磨県民局長のプライベート暴露と攻撃に終始しているようなのです。

あれ?百条委員会の秘密会で元西播磨県民局長のパソコンの内容は公開しないことになっていましたよね。

どこから?ある委員から受け取ったと動画で証言しています。

この件について、元副知事、片山安孝氏の代理人弁護士は『立花氏が街頭演説や立候補者討論会で言及した内容の一部について、「元副知事と面談して聞いた」あるいは副知事から聞いたとうかがえるような発言をしているとした上で、「面談したこと及び話をしたことは一切ありません。誤解を招くことがないよう、ご連絡差し上げる次第です」と報道機関宛に書面を送っています。

まとめ

ここまで読んでくださってありがとうございます。これらの記事は、ニュースやまとめ記事から集めたものです。

メディアが大々的に取り上げて、斎藤=悪の構図ができていたのも確かです。

しかし、その反動なのかメディア=悪に急転換しているのも何か異様な感じがします。

斉藤派と反斎藤派の対立、善と悪の対立構造を作り上げてネットを通じて宣伝をするのは、東京都知事選で大躍進をした元広島県安芸高田市市長の石丸伸二氏の手法に似ているような気もしますね。

様々な情報戦がSNSやX、動画サイトで繰り広げられています。

誰を選ぶかは兵庫県民の方々ですが、雰囲気に踊らされないで冷静な判断をされますように。

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