『隣人X 疑惑の彼女』Xは誰なのか? あらすじ・キャストと感想を紹介

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隣人X 疑惑の彼女
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映画『隣人X 疑惑の彼女』は惑星の紛争によって難民化した異星人のこと。でも人間をコピーして見分けがつかない!!

隣の人はXかも?と疑念が渦巻く・・・。あらすじとキャスト・評価を紹介、考察(ネタバレ)・感想を載せています。

目次

あらすじ

『X』とは何者?

故郷の惑星の紛争で難民として宇宙から地球にやってきた生命体のこと。

Xは人間をコピーしてそっくりになることができる能力を持っているが、人間に危害を加えることはない。

世界中に溢れるXの対処に各国は苦慮する中、アメリカは受け入れを決定した。もちろん日本国はアメリカに追随することになった。

しかし、『X』に対する疑念はぬぐえない。人々は『X』探しに躍起になっていく。それを煽るマスコミ。

主人公の笹憲太郎(林遣都)は映画『大統領の陰謀』を見て、巨大権力に対抗する報道に憧れて新聞記者を目指したが挫折。今は週刊誌の記者としてラーメン特集のページを担当している。

報道を目指しているが使えるネタを書くことが出来ず、クビもちらついている。

そんなとき、X探しの企画を編集部あげて取り組むことになった。なんとしても特ダネをモノにしたい笹は立候補してXではないかと疑いのある女性二人の調査をすることになる。

一人は台湾からの留学生リン・イレン(ファン・ペイチャ)、もう一人は36歳独身の柏木良子(上野樹里)

宇宙船に乗った宇宙人

笹は柏木良子にターゲットを絞り張り込みをすることに。すると彼女の後ろからレジ袋がフワフワついてくるのを目撃してXと確信する。編集長に告げると、「それだけではエビデンスがない。体を張って調査しろ」と怒鳴られてしまう。

笹は良子に近づき、なんとか交際をスタートさせた。

良子とデートを重ねるうちに、笹は本気で彼女に恋愛感情を持つようになってしまう。

けれど、特ダネを挙げて痴呆症の祖母の施設入居費を払わなければならない。

彼女への思いと罪悪感に苛まれながら、笹はある記事を書いてしまい・・・。

2023年公開

原作

第14回小説現代長編新人賞を受賞したパリュスあや子の長編処女小説「隣人X」(Xは10のテンと読むそうです)

小説では3人の女性にスポットが当てられています。

映画では男性の笹目線で描かれているので、原作とは随分違った感想を持ちそうですね。

処女作とはいえ脚本も手掛ける筆者ですから、一気に読破したとレビューもありました。一度手に取ってみてはいかがでしょうか。

ちなみに楠本 哲作の漫画「隣人X」とは別物です。

監督・キャスト

監督・脚本・編集:熊澤尚人

主な作品に「心が叫びたがってるんだ。」「ユリゴコロ」その他ミュージックビデオや小説「おもいで写真」

「おもいで写真」は、自身の小説を映画化しています。

キャスト

笹憲太郎:林遣都
柏木良子:上野樹里
リン・イレン:ファン・ペイチャ
仁村拓真(リンの恋人):野村周平
柏木紀彦(良子の父):酒向芳
柏木麻美(良子の母):原日出子
小池(笹の勤める雑誌社の編集長):嶋田久作
月村祐一(笹の勤める雑誌社の上司):バカリズム

考察・感想(ネタバレあり)

映画のタイトルと予告編は、かなりのミスリードです。SFモノを期待すると拍子抜けするけれど、色々と考えさせられる映画であることは間違いないですね。

笹憲太郎は「報道で不正を暴く」という映画に憧れて新聞記者を目指したが挫折した。なんとか滑り込んだ週刊誌で記者をしているが、報道記者には向かない気の弱い男。

「X」に対しては「違和感が拭えない」との恐怖心から、得体のしれないものに襲われる悪夢を見ている

Xの疑惑をもたれる二人の女性、リン・イレンは留学生で日本語が上手く話せないために侮辱を受けている。柏木良子は「30過ぎて結婚もしないでバイトなんておかしい」と言われている。

若い女性が歩いていると、中年男性がわざとぶつかってくるという話はよく聞きますね。読んでくださっている方が男性なら、「そんなことはないよ」と思われるかもしれませんが、若い女性「あるある」なんですよ。

もちろん差別や偏見は女性だけの問題ではありません。

この映画でも笹はかなりのパワハラを受けています。編集長の命令で記事を書いたのに、匿名の約束がホゴにされフェイクニュースだと世間からバッシングを受けると、笹個人の責任にされてしまいます。これも「あるある」ですよね。

二人の恋愛について見てみると。

リンと拓真。地震予知の専門家になりたいリン。ロックミュージシャンを目指す拓真。

ギターを弾く男性

拓真はバンド仲間にリンを「恋人」と紹介するけれど、上手く話せないリンに「何言ってるのか分からない」と笑う友人に同意してしまいます。

その帰り道、リンは涙をためて訴える「分からないなんてヒドイ!!私を分かろうとしない」拓真はリンを抱きしめて、共に夢に向かって歩みだします。

良子と笹の場合。

笹はやっぱりヒドイ男です。

夢を諦め、祖母の介護施設の支払いに追われている笹。バイト掛け持ちの今の生活が楽だと満足している良子。

笹は良子のことは好きだ。「心で見て」と言われても、まだXを受け入れられない。だから悪夢で白髪の男を見ただけで、良子の父親がXに違いないと思い込む。

笹は良子のことが好きだ。だけど良子と生きる決心はついていない。彼女を傷つけるのを承知で記事を書いてしまう。

笹は両親がいなくて育ててくれた祖母が認知症で介護施設に入所しているが、お金がなくて滞納していて退所を迫られている。上司からはネタが取れなかったらクビだと恫喝されている。

もともとは正義を貫く新聞記者に憧れている常識人だが、得体のしれないものには恐怖を抱いている気弱な普通の男で、お金が欲しくて彼女を傷つける行動をとり罪悪感に苛まれる男。林遣都が好演しているので同情をそそられるけど・・・。

結局、笹は最初から最後までXへの疑念(偏見)を持ち続けているのです。

笹「フェイクニュースじゃないですか!」

月村「金を受け取っただろう」

そう、分かっていたはずです。良子の両親がマスコミに追われるのも。そしてフェイクニュースと世間に手のひらを返すように糾弾されるのも。

罪悪感で自分がXだという悪夢を見て、「Xは笹憲太郎だ」と告白記事を書いて退社します。しかし、これも偏見が見せた夢にすぎない。

やはり、笹は最後まで偏見から抜け出せないでいるのです。

良子は部屋を引き払い故郷でブックカフェを開いて、子どもたちに読み聞かせをしています。

星の王子さま「大切なものはいつだって目に見えないんだよ」

そしてエンディング。映画は3つの点をスクリーンに一瞬映し出す。

印は拓真の手首にはあり、リンにはない。良子の手首にはあり、笹にはない。

私達は思う。印はXなのかと。

しかし、印がXなどとは一切語っていない。それなのに一瞬、Xの印だと感じてしまう。

気づかないうちに偏見や差別は自分の中にあるのです。

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