野田サトルの人気漫画「ゴールデンカムイ」の実写映画です。ファンもうなる原作の再現度で大ヒットを記録しました。
でもまだまだプロローグに過ぎない?続編はWOWOWオリジナルドラマで放送されます。
ここでは、映画のあらすじやキャストを紹介、映画の評価や考察をしています。
2024年1月19日公開
あらすじ
日露戦争最大の激戦地、二百三高地でロシア軍との壮絶な戦いの中。「不死身の杉元」と呼ばれた杉元佐一(山﨑賢人)は捨て身の戦いを繰り広げていた。両軍とも多くの犠牲を出したが最終的には日本軍が勝利した。しかし、杉元の幼馴染剣持寅次(泉澤祐希)はこの戦いで戦死した。
2年後、除隊した杉元は北海道で一獲千金を狙って砂金を探していた。寅次の遺言により寅次の妻梅子(高畑充希)の眼を治すための資金を稼ぐためだ。そんな時、酔っぱらいの後藤竹千代(マキタスポーツ)からアイヌの金塊の話を聞く。
後藤の話では、「5年前、アイヌの埋蔵金をある男がアイヌを皆殺しにして奪った。男は捕まり網走監獄に収監されたが、決して金塊の隠し場所は吐かなかった。脱獄を阻止するため男は足の腱を切られた。どうやって金塊のありかを仲間に知らせたと思う?」
「24人の囚人に刺青を施したのさ。刺青は暗号になっていて、全員がそろわなければ金塊の在りかは解けないようになっている。男は、今も監獄の中にいる。」
そして、囚人たちは護送中に屯田兵を殺して逃走した。今は北海道中に散らばっていると語った。
酔いが覚めた後藤は秘密を洩らしたことに気づき杉元を襲うが返り討ちされ逃げ出した。その時、突然、杉元はヒグマに襲われる!!
杉元を助けたのはアイヌの娘アシㇼパ(山田杏奈)だった。死んでいる後藤を見つけた二人は、後藤の体に刺青があるのを見つける。後藤は逃げ出した囚人の一人だったのだ。アシㇼパは体の刺青を見て皮を剝ぐことが前提で描かれていることを見抜いた。
アシㇼパに後藤から聞いた話をすると、「その話を信じる。父を殺したのがその男だ」と。アシㇼパは狩りや山での知恵に長けていた。「金塊の在りかが分かれば男は用済みで処刑され、父の恨みは晴らせる」と共に金塊を探すことを持ち掛けた。
条件がある。人殺しはなしだ。
こうして杉元とアシㇼパのアイヌ埋蔵金探しの旅が始まった。
しかし、アイヌの埋蔵金を狙っているのは杉元たちだけではなかった。金塊を使い北海道征服を画策する第七師団所属の情報将校・鶴見篤四郎中尉(玉木宏)。網走監獄からの護送中に囚人たちを脱獄させた元新撰組鬼の副長土方歳三(舘ひろし)。
アイヌ埋蔵金の在りかを探すため、刺青囚人を狩る三つ巴の戦いが始まる・・・。
原作
原作は、野田サトルの人気漫画「ゴールデンカムイ」です。
2014年より「週刊ヤングジャンプ」で連載され、2022年に全31巻で完結しました。
映画は、原作マンガを忠実に再現されており、1巻から4巻までの序章部分です。2024年1月実写映画化に続いて、10月からWOWOWオリジナルドラマとして続編が全9話で放送されます。
キャスト
杉元・アシㇼパ関係
杉元佐一 | 元軍人 主人公 | 山崎賢人 |
アシㇼパ | アイヌの娘 | 山田杏奈 |
白石由竹 | 刺青脱獄囚 脱獄の天才 | 矢本悠馬 |
剣持寅次 | 杉元の幼馴染 | 泉澤祐希 |
剣持梅子 | 寅次の妻 杉本の初恋の相手 | 高畑充希 |
アチャ | アシㇼパの父 | 井浦新 |
フチ | アシㇼパの祖母 | 大方斐紗子 |
大叔父 | アシㇼパの大叔父 | 秋辺デボ |
オソマ | アシㇼパのいとこ | 永尾柚乃 |
刺青脱獄囚
後藤竹千代 | 杉元にアイヌ埋蔵金の話をする | マキタスポーツ |
大日本帝国陸軍第七師団 鶴見一味
鶴見篤四郎 | 第七師団所属の情報将校 | 玉木宏 |
尾形百之助 | 第七師団上等兵 凄腕スナイパー | 眞栄田郷敦 |
月島基 | 第七師団軍曹 鶴見の側近 | 工藤阿須加 |
二階堂浩平/洋平 | 第七師団一等卒 | 柳俊太郎 |
谷垣源次郎 | 第七師団一等卒 マタギ | 大谷亮平 |
土方一味
土方歳三 | 元・新選組副長 | 舘ひろし |
永倉新八 | 元・新撰組二番隊隊長 | 木場 勝己 |
牛山辰馬 | 柔道の達人「不敗の牛山」 | 勝矢 |
ナレーション 津田健次郎
主題歌 ACIDMAN – 輝けるもの
映画『ゴールデンカムイ』主題歌は、ロックバンドACIDMANの4年ぶりのシングルCD「輝けるもの」です。映画の主題歌として書き下ろされました。
映画『ゴールデンカムイ』評価
マンガ原作の場合、いかに原作に忠実で原作ファンを納得させられるかで評価が分かれますね。今作の場合、原作の序章部分の映画化で、続編はドラマへと続きます。そのため、端折りすぎとの批判は見られません。キャラクターの再現度も高く、高評価になっています。
高い評価
- 原作を忠実に再現されていた。
- キャラクターが魅力的。
- 北海道の美しい景色と、アイヌ文化への尊重が見られた。
- エンタメとして面白い。アクションや爆破シーンもよかった。
低い評価
- 続き物と説明してほしかった、人物説明だけで不完全燃焼。続きはWOWOW配信のみというのも残念。
- 漫画原作とは言え、あり得ない設定で入り込めなかった。
- 北海道の自然は美しいが、衣装や特殊メイクがコスプレっぽくてリアリティがない。
- マンガ原作はやはり無理だと感じた。
考察
マンガ、アニメ未読。それゆえか? 私は面白かった!!
映画はエンターテイメントを堪能できました。北海道の美しい自然と、スピード感のあるアクション、アイヌの知恵、間に挟まれるコメディで息抜き。戦争の体験や、病気や人種の差別など重たいテーマも暗くなりすぎず、エンタメとして凝縮されて一気に鑑賞できました。
確かに突っ込みどころは色々とありました。
二百三高地の敵の塹壕での戦いシーン、なぜ群がる敵は銃を撃ってこないのか。
アイヌの村にアシㇼパと共にやってきた杉元を余りに容易に受け入れすぎ。「アシㇼパがなつくならいい人なんだろう」って人が良すぎませんか。
恋人との回想シーンで、「一年たって発症しなかったら必ず戻る」とモノローグ。なぜ口に出して言わないのか?あんな別れ方をしたら捨てられたと絶望して結婚しちゃうよね。
北海道の自然の風景は美しいし、当時の街並みは北海道開拓の村でロケを行ったとかで昔の風景が再現できています。ヒグマや白オオカミはCGとのことだけど、なかなかの出来だと思います。白オオカミの毛並みがふさふさして暖かそう★
アイヌ文化の考証はしっかりしているそうで、興味深く見ました。杉元は病気(結核?)で家族を亡くし村八分にされた経験があるので、アイヌが差別されていることに憤慨する。この映画をつくるにあたって、「アイヌの悲劇ではなく強いアイヌとして描いてほしい」と要望されたそうです。自然と生きるアイヌの知恵に尊敬を抱きました。
ただし、今後の展開はサイコパスやらシリアルキラーやら強烈なキャラクターがでてくるようです。金塊を探すサバイバルゲームで、主人公の杉元一行に感情移入するには、初恋の人で亡くなった親友の妻の病気を治すためとか、アシㇼパの父の仇とかいうバックグランドは必要ですが、ドラマ部分に重きを置きすぎる必要もないと私は思います。
アクション満載のエンタメ映画でスカッと楽しみたい!!
映画の楽しみ方は人それぞれだけど、俳優のかっこいい姿を観るのも楽しみの一つ。今作で一番かっこよかったのはアシㇼパの山田杏奈ちゃん。
スズキのテレビCMで「嘆かわしい~」がツボで、かわいい子だなと思っていました。
馬車で鶴見の追手から逃げるシーンで、背後の杉元がしゃがんだ瞬間、手綱を握っていたアシㇼパが鶴見に向かって矢を射る。かっこいい~!!
WOWOWオリジナルドラマで続編の放送が始まりました。今後、続々と登場人物が出てくるようですが、第1話は映画に比べるとスピード感が欠けているのが気がかりですが・・・。
エンターテイメントとして、飛んでも設定を楽しめる映画です。ドラマを楽しむなら、プロローグの映画版『ゴールデンカムイ』は必見だと思います。
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