「税金って、やっぱり重たいなぁ…」
スーパーでレジを通るたびにそう感じているのは、私だけじゃないはずです。
2025年6月、静岡県沼津市での自民党集会で、石破首相が消費税減税に対して疑問を呈する発言をしました。
その中で語られたのは「高所得者ほど減税の恩恵が大きいのでは?」という問いかけ。
一方で、低所得者や子育て家庭に向けた現金給付の必要性も訴え、選挙のためだけではない“本当の支援”の姿を問い直しました。
今回は、一市民の視点から「消費税の逆進性って、どうなの?」「本当に困っている人に届く支援って何だろう?」という素朴な疑問をもとに、石破首相の発言を軸に考えてみたいと思います。
1.消費税減税への疑問とその理由

社会保障財源としての消費税の重要性
私たちの暮らしを支える「医療」「年金」「介護」といった社会保障は、高齢化が進む日本にとってますます重要な存在となっています。
これらの制度を支えるための安定した財源として、消費税は大きな役割を果たしています。
所得税や法人税と比べても、景気に左右されにくく、広く公平に徴収できるという特徴があります。
たとえば、働いていない高齢者や主婦も買い物を通じて税を支払っており、幅広い世代から少しずつ負担を集めることが可能です。
石破首相が「消費税は本当に大切な財源です」と語ったのは、こうした背景を踏まえてのことです。減税によってこの財源が減れば、社会保障の安定にも影響が及ぶ可能性があります。
制度変更にかかる時間とコストの問題
消費税の減税は、単に「税率を下げるだけ」の話ではありません。
たとえば、スーパーのレジシステムや企業の会計処理、請求書の書式変更など、事務的な手間と費用が全国的に発生します。過去に実施された軽減税率導入の際も、レジの更新や表示変更などに多くの企業が頭を悩ませました。
加えて、国会での法改正手続きや、自治体のシステム対応にも時間がかかります。今すぐの減税は現実的ではなく、効果が出るまでに時間差が生じてしまうのです。
その間、物価高に苦しむ人たちに対しては、即効性のある支援策が届かなくなってしまうリスクもあります。
消費額に比例する恩恵と逆進性の矛盾
消費税を下げると、たしかに全ての人が何らかの形で得をします。しかし、その「得の大きさ」は消費額に比例します。
たとえば、1カ月で30万円の消費をする家庭は、3万円の税率が1%下がるだけでも3,000円の節約になりますが、10万円しか使わない家庭では1,000円しか減りません。
このように、支出の多い富裕層ほど減税の恩恵が大きくなるため、結果的に「逆進的」な性質を持つことになります。
石破首相はこの点に注目し、「本当にそれでいいのか?」と問題提起しました。公平な制度を目指すなら、誰にどのように恩恵が届くかをしっかり見極める必要があるのです。
「逆進性」は説明なのか、言い訳なのか?
たしかに、収入が多い人のほうがたくさん消費をして、結果的に多くの消費税を支払っているのは事実です。
けれども、私のような普通の生活をしている人間にとっては、「生きていくために最低限必要なもの」にまで課税されているという実感があります。
たとえば、収入が月20万円の家庭が生活必需品に10万円使えば、そのうち1万円が消費税。つまり収入の5%です。
一方で、月100万円の人が30万円消費して3万円の税を払っても、割合で言えば3%。生活を圧迫しているのは、圧倒的に前者の方です。
このような状況を経済学では「逆進性」と説明しますが、その言葉を使って「仕方ない」と済ませてしまうのは、どこか引っかかります。
説明ではなく、“構造的に不公平な現実を正当化するための言葉”になっていないでしょうか。
私は専門家ではないけれど、日々の買い物やレシートを見て「税金って重いな…」と実感することがあります。だからこそ、ただの言葉ではなく、「じゃあどう補うの?」という行動が政治に必要だと感じます。
たとえば…
- 食料品などの軽減税率をもっと広げる
- 所得が少ない人への税の一部還付(給付付き税額控除)を導入する
- 子育て家庭や高齢者への現物支給やクーポンの活用
など、“逆進性を認めた上で、どう対処するか”に本気で取り組むことこそが、今必要とされているのではないでしょうか。
2.現金給付政策とその意義

自民党の給付金案とその対象者
物価高に苦しむ人々に対して、石破首相が重視するのは「的確で迅速な支援」です。
その具体策として、自民党は1人2万円の給付金を基本とし、子どもや低所得者には4万円を支給する案を打ち出しました。単身世帯でも生活が厳しくなるなか、家計を少しでも支えるための“即効性のある”政策です。
たとえば、ひとり親家庭でパート収入のみで生活しているAさんにとって、4万円の給付は、家賃や食費、学用品の購入などに直結する現実的な助けになります。
消費税の減税のように「後から効いてくる」政策ではなく、すぐに口座に振り込まれる支援であることが重要です。
物価高騰と賃金上昇のギャップ
現在の日本では、電気代やガソリン代、スーパーの食料品など、あらゆる物価がじわじわと上がっています。一方で、働く人たちの賃金は、それに見合うほどには上がっていません。
とくに中小企業で働く人々や非正規雇用者は、昇給の機会が少なく、実質的な生活水準が下がってしまっています。
石破首相が言及したように、「物価上昇を上回る賃金上昇」が実現しない限り、人々の生活は改善されません。とはいえ、賃金政策には時間がかかるため、当面の間は“今”を支える給付金が必要とされているのです。
物価高を実感している家庭にとって、1万円の差は非常に大きく、「助かった」「これで今月を乗り切れそう」といった声が多く聞かれます。
緊急支援としての位置づけと限界
ただし、現金給付が万能かというと、そうではありません。たとえば、1回限りの支給では生活の抜本的な改善にはつながらず、「すぐに消えてしまった」「根本的な不安は解消されない」といった不満の声もあります。
また、収入の把握が難しい自営業者や、制度から漏れてしまう人たちへのフォローも課題です。
石破首相が強調するのは、「困っている人にこそ支援を届ける」という公平性の原則です。
逆に言えば、広く薄くではなく、必要な層に集中的に届けることで、限られた財源を有効に活用しようという姿勢です。
減税のような“一律の恩恵”ではなく、“的を絞った支援”のほうが、いまの日本に求められているのかもしれません。
誰がどれだけ負担すべき?いま見直すべき「公平な税のあり方」
消費税は「みんなが少しずつ負担する公平な税」と言われていますが、本当にそうなのでしょうか?
私たちのような普通の家庭では、毎日の食費や生活必需品の中に必ず消費税がかかっていて、レジでの合計金額にため息をつくこともしばしばあります。
しかも、いまは物価が上がっても給料がなかなか上がらない時代です。スーパーで買う食料品や電気代、ガソリン代など、毎日の暮らしに直結する出費が増えるばかり。
その中でさらに「広く国民に税を」と言われても、生活がギリギリの人にとっては、追い打ちのように感じられることもあります。
一方で、報道などで目にするのは、大企業への税優遇措置や、高額所得者が投資や資産運用によって得た所得に対して低い税率が適用されているという現実です。
さらには、高級車や高級時計などの贅沢品に対する消費税は、日常品と同じ10%。「それって、同じ“消費”でも、本当に平等?」と疑問に思う人も多いのではないでしょうか。
もちろん、経済を回すためには企業活動も大切です。
でも、苦しい状況にいる人が「さらに我慢」し続けなければならない制度では、信頼も希望も育ちません。
だったら、本当に負担能力のある人や企業に、今こそ“責任ある税のかたち”を求めるべきではないかと思うのです。
3.「選挙目当ての政策」への警鐘

ポピュリズムと政策の持続可能性
近年、選挙が近づくたびに「票を得るための一時的な政策」が打ち出される傾向が強まっています。
減税や給付金といった“わかりやすい支援策”は、多くの有権者にとって魅力的に映りますが、それが本当に長期的な視点に立った政策かどうかは別問題です。
石破首相は、こうした一時的な人気取りを「ポピュリズム」と呼び、警戒感をにじませました。
たとえば、選挙のたびに繰り返される「ガソリン価格対策」や「定額給付金」も、根本的な構造には触れず、その場しのぎで終わることが少なくありません。
持続可能な社会保障や財政再建という視点を抜きにして、目先の利益だけを追う姿勢は、結果的に次の世代へツケを回すことになります。
石破首相の「政治家の責任」論
石破首相が沼津の集会で語った「その時だけウケればいい話をすればいいのではない」という言葉は、非常に重みのあるものです。
政治家の仕事は、単に票を集めることではなく、国民生活の将来を見据えて責任ある判断を下すことにあります。
たとえば、「消費税を下げます」と言えば多くの人に歓迎されますが、その裏で社会保障の支え手が細っていけば、高齢者や弱者が真っ先に打撃を受けます。
政治とは「痛みを伴う決断」を避けず、説明責任を果たしながら、国民に納得してもらうプロセスを大切にすべきものだと、石破首相は訴えています。
有権者が問うべき政策の本質とは
私たち有権者にも、問われていることがあります。それは、「目の前の得に飛びつくのではなく、その政策が本当に必要な人に届くものか、持続可能なものかを見極める視点を持てているか」ということです。
たとえば、SNSで話題になる「今すぐ給付を!」といった声に共感するだけでなく、その財源がどう賄われ、将来的にどう影響するのかを冷静に考える必要があります。
石破首相のように、選挙の熱気の中でも冷静に本質を語る政治家がいることは、むしろ健全な政治の証といえるかもしれません。ただ、言葉だけでなく実行を伴うことを期待します。
その場の人気ではなく、将来を見据えた政策と、それを見抜く有権者の眼差し――これこそが、これからの政治に求められる姿ではないでしょうか。
3.「選挙目当ての政策」への警鐘
ポピュリズムと政策の持続可能性
近年、選挙が近づくたびに「票を得るための一時的な政策」が打ち出される傾向が強まっています。
減税や給付金といった“わかりやすい支援策”は、多くの有権者にとって魅力的に映りますが、それが本当に長期的な視点に立った政策かどうかは別問題です。
石破首相は、こうした一時的な人気取りを「ポピュリズム」と呼び、警戒感をにじませました。
たとえば、選挙のたびに繰り返される「ガソリン価格対策」や「定額給付金」も、根本的な構造には触れず、その場しのぎで終わることが少なくありません。
持続可能な社会保障や財政再建という視点を抜きにして、目先の利益だけを追う姿勢は、結果的に次の世代へツケを回すことになります。
石破首相の「政治家の責任」論
石破首相が沼津の集会で語った「その時だけウケればいい話をすればいいのではない」という言葉は、非常に重みのあるものです。
政治家の仕事は、単に票を集めることではなく、国民生活の将来を見据えて責任ある判断を下すことにあります。
たとえば、「消費税を下げます」と言えば多くの人に歓迎されますが、その裏で社会保障の支え手が細っていけば、高齢者や弱者が真っ先に打撃を受けます。
政治とは「痛みを伴う決断」を避けず、説明責任を果たしながら、国民に納得してもらうプロセスを大切にすべきものだと、石破首相は訴えています。
有権者が問うべき政策の本質とは
私たち有権者にも、問われていることがあります。
それは、「目の前の得に飛びつくのではなく、その政策が本当に必要な人に届くものか、持続可能なものかを見極める視点を持てているか」ということです。
たとえば、SNSで話題になる「今すぐ給付を!」といった声に共感するだけでなく、その財源がどう賄われ、将来的にどう影響するのかを冷静に考える必要があります。
石破首相のように、選挙の熱気の中でも冷静に本質を語る政治家がいることは、むしろ健全な政治の証といえるかもしれません。
その場の人気ではなく、将来を見据えた政策と、それを見抜く有権者の眼差し――これこそが、これからの政治に求められる姿ではないでしょうか。
まとめ
石破首相の発言は、単なる減税や給付金の是非を問うものではなく、「本当に誰を助けるべきなのか」「今の制度をどう持続可能にするか」といった深い問いかけに貫かれていました。
消費税の逆進性に対する疑問、財源としての重要性、そして迅速かつ的確な支援としての現金給付の意義――これらはすべて、単なる人気取りではなく、社会の仕組みをきちんと維持しながら困っている人に手を差し伸べるという視点から出発しています。
今、政治に求められているのは「すぐ得する話」ではなく、「続く社会をつくるための選択」です。
そしてそれを実現するには、有権者一人ひとりが“聞こえのいい言葉”に振り回されず、どこに軸があるかを見極める力を持つことが欠かせません。
私たちは、誰かにとっての“人気政策”ではなく、未来を支える“責任ある政策”を選ぶ時代に生きています。
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