はじめてのタイ旅行、楽しみだけど「寺院では何に気をつければいい?」「SNSに上げても大丈夫?」と不安になりますよね。
TKO木下の「僧侶コスプレ」炎上は、文化や信仰への敬意を知らないまま振る舞う危うさを示しました。
実は、服装やポーズの選び方、ひと声のかけ方を知っているだけでトラブルはほぼ回避できます。
本記事では、寺院の服装と所作、王室への配慮、撮影と同意の取り方、ドローン・VAPE・喫煙のルールまで、現地でそのまま使える形で解説します。チェックリストと短いタイ語フレーズも用意しました!
はじめに
僧侶コスプレ炎上から見える「文化と信仰への敬意」
9月に話題となったTKO木下の“僧侶コスプレ”は、タイでは宗教や王室に深い敬意を払う文化を無視した行為として受け止められました。
僧衣は単なる衣装ではなく、出家者の誓いを表す「宗教的な印」。境内でのふるまいも同様で、たとえばバンコクの寺院で肩や膝の出る服装のまま入場しようとすると、入口でサロン(布)を借りるよう促されます。
仏像に触れたり、台座に座ったり、飛び跳ねるポーズで撮影するのも不敬とされます。
また、屋内で座る際に足裏を人や仏像へ向けない、僧侶に触れない(特に女性は物の受け渡しに注意)など、体の向きや距離感にも配慮が必要です。
日本の「つい、うっかり」が現地では強い否定的反応を生む——このギャップを埋めることが、トラブルを避ける第一歩です。
本ガイドの目的:失礼と違法を避けて安全・快適に旅する
本ガイドは、観光や撮影、SNS投稿の場面で「やってよいこと/ダメなこと」を具体例で示し、現地で迷わないための実用書として作成しました。
たとえば、王室を冗談半分で話題にすることは厳禁、電子タバコは所持・使用ともに違法、人気ビーチでは喫煙自体が禁止——といった“法律まわり”を簡潔に整理します。
加えて、ドローン撮影の登録や保険、寺院での服装・所作、街中での同意取得(子どもの顔出しは保護者同意が必要)など、旅行者が実際に直面しやすい場面を想定してチェックリスト化。
読めばすぐに行動へ落とし込めるよう、境内での一言のかけ方、サムネ・タイトルで避けるべき表現例、万一注意を受けた際の簡単なタイ語フレーズまで用意しています。
安全と敬意をベースに、気持ちよく旅を楽しむための「現場で役立つ」指針としてご活用ください。
1.寺院と宗教に関する必須マナー

僧衣は宗教的象徴――「模倣・コスプレ」は不敬と受け取られる
僧衣(サフラン色の袈裟)は、出家者の誓いと修行を表す宗教的シンボルです。観光客が面白半分で羽織る、撮影小道具として使う、パロディ化する——いずれも「信仰心を踏みにじる行為」とみなされます。寺院前でのコスプレや“映え”狙いの演出は避けましょう。
具体例
- 境内でオレンジや黄色の布を肩に掛けて写真を撮る → NG(僧衣の模倣)
- 托鉢用の鉢・数珠を小道具にして笑いを取る → NG(僧具の軽視)
- 僧侶の読経や儀式を背景にダンスを撮影 → NG(礼拝の妨げ)
服装と所作の基本――肩・膝を覆う/帽子・サングラスを外す/足裏を向けない
寺院は観光地である前に礼拝の場。肩・膝を隠す服装が基本で、入口の掲示に従って帽子・サングラスを外す、土足禁止エリアでは靴を脱ぐのがルールです。露出が多い場合は入口でサロン(腰巻き布)を借りることもできます。
境内での“足”のマナーも大切です。タイでは頭=尊い/足=不浄という身体観があるため、人や仏像・僧侶の方へ足裏を向けないのがマナー。撮影待ちや休憩で座るときは、
- あぐらよりも足を後ろに流して座る(正座・片ひざ立ては避ける)
- 仏像の正面では立ち上がって姿勢を正す
具体例 - ノースリーブ+短パンで本堂へ → 入口でサロンを借りてから入堂
- 大型リュックを床に置いて仏像に寄りかかる → 荷物は脇へ、仏像・仏塔に触れない
僧侶への接し方――女性は直接手渡しを避ける・近接撮影は事前にひと言
僧侶は敬意をもって接する対象です。肩に触れる、肩を組む、ハイタッチといったスキンシップは避けましょう。
特に女性は僧侶の身体に触れない配慮が必要で、何か渡す際は台の上に置く/布越しにするのが無難です。
撮影は「近距離=必ず声かけ」が原則。読経や参拝中はカメラを下ろし、フラッシュや大声のディレクションは控えます。
使える一言
- 「近くで撮ってもいいですか?」 → ขอถ่ายใกล้ๆ ได้ไหมครับ/คะ(コー ターイ クライクライ ダイマイ・クラップ/カ)
具体例 - 托鉢中の僧侶に自撮り棒を伸ばして接近 → NG(儀式の妨げ)
- 僧侶へ寄付を現金で手渡し → 台に置いてから合掌(ワイ)で会釈
2.王室・法律・規制で“やりがち”なNG

王室関連は厳格に保護――冗談・皮肉・サムネ演出も避ける(不敬罪対策)
タイでは王室は特別な存在で、冗談や皮肉、軽いノリの表現も問題になります。旅行者のSNSや動画タイトル・サムネ・テロップの一言でもトラブルになり得ます。街中の肖像画やイベントの様子を撮るときも、茶化したキャプションはつけないのが安全策です。
具体例
- 「〇〇王妃の衣装“いじり”」系のタイトル → NG
- 王室行事の列に割り込んで自撮り → NG(行列の進行を妨げない)
- 紙幣(国王肖像)を足で押さえて拾う → NG(紙幣は丁寧に扱う)
ポイント:王室関連は“触れない・いじらない・写したら説明のみ”が基本。迷ったら編集段階で削除。
電子タバコ・大麻・喫煙エリア――所持や使用の可否とビーチ禁煙ルール
電子タバコ(VAPE)は、旅行者でも所持・使用・輸入が違法扱いです。空港で没収・罰金・拘束の例もあるため、持ち込まないが正解。
喫煙は屋外でも指定場所のみ。一部の人気ビーチは全面禁煙で、砂浜での一服や撮影中の喫煙演出も避けましょう。
大麻は観光客の娯楽使用はNGと考えてください。街中の看板やショップを見かけても、購入・吸引・PR投稿はトラブルの元です。
具体例
- 空港でVAPE機器・リキッドを荷物から出す → NG
- ビーチで缶ビール+一服の“映え写真” → NG(喫煙所を探す)
- 大麻入りの食品を「試してみた」企画で紹介 → NG(撮影・拡散も避ける)
ポイント:喫煙は「灰皿マーク」を探してから。ホテル敷地でも禁煙のことがあるのでフロントで確認。
ドローンと施設許可――NBTC/CAAT登録+保険+場所許可の三点セット
ドローンは通信(NBTC)と航空(CAAT)の登録に加え、対人・対物の保険と場所ごとの許可が必要です。
寺院・遺跡・国立公園・ビーチ上空などは、掲示で禁止されていることも多め。登録・許可が無い飛行は罰金や没収のリスクがあります。
具体例
- 寺院の屋根を俯瞰で撮りたい → NG(寺務所に相談しても基本は不可)
- マーケットの頭上を低空で飛ばす → NG(安全・プライバシー上の問題)
- 都市部での夜間フライト → NG(高度・時間帯・人口密度に制限)
チェックリスト(飛ばす前に)
1) NBTC/CAATの登録番号を携帯 2) 保険証書の写し 3) 場所許可(管理者の書面やメール)
4) 人混み上空は飛ばさない 5) 目視飛行・バッテリー管理 6) 禁止掲示を確認(国立公園/寺院/王宮周辺)
3.撮影・SNS公開の実務ポイント

個人データ保護(PDPA)――人物特定映像は目的明示と同意取得(未成年は保護者)
路上スナップや屋台紹介でも、顔がはっきり映れば「個人情報」に当たります。近距離で撮る=ひと言の同意を基本に。子どもは必ず保護者の許可を取りましょう。
具体例(こうする)
- インタビュー前に「YouTubeとSNSに載せます。よろしいですか?」と伝える
- うなずきだけの場合は顔アップを避ける/編集でモザイク
- 同意の撤回に備えて、投稿先と連絡先をメモで渡す
そのまま使える文例 - 日本語:「この動画はYouTubeとSNSで公開します。よろしいですか?」
- 英語:May I post this on YouTube and social media?
- タイ語:ขอถ่ายและลงโซเชียลได้ไหมครับ/คะ(コー ターイ レ ノン ソーシャル ダイマイ・クラップ/カ)
NGポーズと表現――仏像に触れる・またがる・挑発的サムネは避ける
宗教モニュメントを“ネタ化”する表現はトラブルのもと。触れる・またがる・キスやジャンプなどのポーズは不敬と受け取られます。
NG具体例
- 仏像の台座に腰かけてサムネ撮影 → NG
- 僧衣ふうの布を肩にかけて「修行ごっこ」 → NG
- 王室関連の写真に面白テロップや挑発的絵文字 → NG
代替案(映えを守りつつ敬意も守る) - 仏塔を背景に合掌(ワイ)で静かに微笑む
- 僧侶や参拝者は広めの引き絵+説明字幕で紹介
- サムネは風景・食・移動など中立的なビジュアルに
公開前5分チェック&現地フレーズ――同意確認・宗教/王室表現の再点検・簡単タイ語
公開前5分チェック
1) タイトル/サムネ/字幕に王室・宗教を茶化す表現なし
2) 顔が特定できる人=同意済み(未成年は保護者)
3) 寺院カット:肩・膝の露出/足裏の向き/仏像の扱いに問題なし
4) VAPE・大麻・喫煙の描写で違法・禁止エリアはないか
5) ドローン:登録・保険・場所許可の記録をキャプションに一言添えると透明性UP
現場で役立つ超短フレーズ
- 撮っていいですか?:ขอถ่ายได้ไหมครับ/คะ
- ありがとうございます:ขอบคุณครับ/ค่ะ
- すみません(失礼します):ขอโทษครับ/ค่ะ
- 近くで撮っても?:ขอถ่ายใกล้ๆ ได้ไหมครับ/คะ
運用のコツ
- 迷ったらカメラを下ろす→係の人に確認。
- コメント欄が荒れそうな箇所はテロップで意図を補足(例:「撮影許可取得済み/参拝の妨げにならない場所から撮影」)。
- 注意を受けたら即カット&謝意。投稿後でも必要なら該当部分を非公開にして対応しましょう。
タイ旅行 マナー&タブー チェックリスト(観光客向け)
日本人観光客向けに、短く・そのまま使えるチェックリストを作りました。保存して現地で見ればOKです。
出発前
- 電子タバコ(VAPE)を持ち込まない(所持・使用・輸入NG)
- 露出少なめの服(肩・膝を隠せる羽織り・薄手パンツ)を用意
- 神社・仏閣でのNGポーズ(飛ぶ/またがる/キス風)を家族・同行者と共有
- SNS公開ルール(人の顔は基本写さない・挑発的表現は避ける)を確認
- 現地で困ったときの連絡先(ホテル、保険、在タイ日本大使館)をメモ
寺院・宗教施設
- 入場前に帽子・サングラスを外す/靴の着脱案内に従う
- 肩・膝が出る服はNG(入口でサロン貸出がある場合も)
- 僧侶や仏像に触れない/仏像・仏塔に寄りかからない・またがない
- 座るとき足裏を人や仏に向けない
- 僧衣の“コスプレ”や僧具の模倣は絶対にしない
- 僧侶・礼拝者の近距離撮影は事前に一言断る
王室・国家シンボル
- 王室への冗談・皮肉・SNS投稿は避ける(法律で厳格に保護)
- 紙幣(国王肖像)や国旗を踏む・雑に扱う行為はしない
町歩き・交通機関
- 人混みで肩が触れても大声で叱責しない(冷静・穏やかな対応が吉)
- タクシーはメーター使用を確認/Grab等配車アプリも活用
- 僧侶の隣席(特に女性)は避けるよう案内に従う
飲食・買い物
- お寺の敷地内で飲食・ガム・喫煙はNG
- 屋台の前で長時間の撮影は避ける/行列の流れを止めない
- 値段交渉はにこやかに、無理押しはしない
喫煙・アルコール・大麻など
- 喫煙は指定場所のみ/一部ビーチ・公共エリアは全面禁止
- 大麻ショップを見かけても娯楽目的はNG(規制強化の流れ)
- 路上飲酒は場所によりトラブルの元、控えめに
写真・SNS
- 撮影禁止表示に従う/フラッシュは基本OFF
- 子ども・僧侶・礼拝者の顔出し投稿は避ける(同意が無い場合はモザイク)
- 宗教・王室を茶化す表現、挑発的ポーズの投稿はしない
身体・ふるまい
- 初対面で頭を触らない(子どもも含む)
- 指差しは控え、手全体で示す
- 挨拶は軽く合掌(ワイ)+微笑み
いざという時
- 注意を受けたら即座に謝る(Sorry / ขอโทษครับ(男性)/ค่ะ(女性)クラップ/カ)
- SNS炎上の芽は投稿を非公開にして落ち着いて対応
- パスポートのコピーと保険証書を携帯
便利フレーズ(指さし用)
- 「写真を撮ってもいいですか?」
→ ขอถ่ายรูปได้ไหมครับ/คะ(コー ターイ ループ ダイマイ クラップ/カ) - 「失礼しました/すみません」
→ ขอโทษครับ/ค่ะ(コートート クラップ/カ) - 「ありがとうございます」
→ ขอบคุณครับ/ค่ะ(コープクン クラップ/カ)
まとめ
タイでは「観光地=礼拝の場」。この一線を忘れなければ、ほとんどのトラブルは避けられます。
要点は3つ――宗教に敬意/王室に触れない/法律を守る。寺院では肩と膝を隠し、仏像や僧侶を“ネタ化”しない。
王室は冗談も皮肉もNG。VAPE・大麻・無許可ドローン・ビーチ喫煙は避ける。撮影や投稿では、人物はひと言の同意(子どもは保護者)、サムネや字幕の表現に気を配り、迷ったらカメラを下ろして確認――これが安全運転の合言葉です。
出発前に最後のチェック
- 服装:肩・膝を隠せる羽織り/サロン準備
- 表現:僧衣コスプレ・仏像タッチ・挑発サムネは不採用
- 法律:VAPE持ち込まない/喫煙所だけで吸う/大麻に関わらない
- ドローン:登録・保険・場所許可の三点セット
- 同意:近接カットは了承取得、未成年は保護者
- フレーズ:ขอถ่ายได้ไหมครับ/คะ(撮っていいですか?) を覚える
敬意ある一歩が、旅と創作の自由を最大化します。ルールを味方に、タイの美しさを“正しく映える”形で楽しみましょう。
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