2025年7月5日の「大災害予言」がSNSを通じて広まり、特に地方空港に大きな影響を与えました。
この予言が引き起こした風評被害は、徳島空港をはじめとする地方の国際便に深刻な影響を及ぼし、搭乗率が急落し、最終的には運航の減便や運休を余儀なくされました。
しかし、これらの予言は実際には外れたにもかかわらず、その影響は大きく、地域経済に痛手を与えました。地方創生を目指して努力してきた空港にとって、SNS社会がもたらす風評被害の恐ろしさが改めて浮き彫りになりました。
本記事では、徳島空港を中心に、SNSの予言がどのように地方空港や観光業に影響を与えたのかを探ります。
はじめに
2025年7月5日の「大災害」予言とその影響
2025年7月5日に、SNSを中心に拡散された「大災害予言」が日本全体、そして特に地方に大きな影響を与えました。この予言は、漫画家たつき諒さんが1999年に発表した漫画『私が見た未来』に登場する内容から派生したもので、未来の日本に大規模な津波が襲うという内容が注目されました。その日付が2025年7月5日だと記載されており、インターネット上で広がりを見せ、予言が現実化するのではないかという不安が広がりました。
その影響は、特に地方空港に顕著に現れました。徳島空港や米子空港など、国内のいくつかの地方空港で運行されていた香港便が運休に追い込まれる事態となり、予言が現実になったわけではないにもかかわらず、社会全体に不安が広がりました。この予言による風評被害が地方空港の国際便に与える影響は、観光や地域経済に大きなダメージを与える結果となりました。
地方空港の国際便運休と風評被害
予言がSNSで拡散されたことにより、香港便の搭乗率が急激に低下し、最終的には運航減便や運休を余儀なくされました。徳島空港の香港便は2024年11月に就航し、当初は順調に運航されていましたが、5月に搭乗率が22%にまで低下し、6月にはさらに状況が悪化。7月5日の予言が近づくにつれ、香港で日本行きの航空券を避ける動きが強まり、最終的には運航が停止される決断に至りました。このように、科学的根拠がないにもかかわらず、予言が与えた影響はあまりにも大きく、地方経済に大きな痛手を残しました。
予言が実際には外れたものの、その影響を受けた地方空港や観光業は立て直しに苦しんでおり、地方創生のために努力してきた空港にとっては非常に厳しい現実が突きつけられました。風評被害の恐ろしさが、現代のSNS社会でいかに大きな波及効果を持つかを改めて実感させる出来事でした。
１．徳島空港の国際定期便の現状
2024年11月に就航した香港便
徳島空港は2024年11月、グレーターベイ航空の香港便が就航し、国際定期便の新たな時代を迎えました。この路線は、徳島から直接香港へのアクセスを提供し、観光やビジネスの双方で便利な選択肢となることが期待されていました。徳島空港はこれにより、地方創生や観光業の促進を目指しており、地方空港にとって国際便の就航は大きな意味を持っています。
初めての定期便運航は順調にスタートし、搭乗率は安定していたものの、予想以上に多くの訪日客を迎え入れるには、さらなる広報活動と促進が必要でした。それでも、香港便の就航によって、徳島空港にはこれまでとは異なる雰囲気が漂い、地域の期待が高まっていたのは確かです。
予言騒動による搭乗率の低下
しかし、2025年7月の「大災害」予言がSNSで広まり、予想以上の影響を受けました。予言が広がる中で、徳島空港の香港便は、搭乗率が急激に低下し、5月には22%という低い数値にまで落ち込んでしまいました。搭乗率が損益分岐点を大きく下回ったことで、航空会社は運航回数の減便を決定せざるを得なくなりました。
この低下の主な要因は、予言がSNSで拡散されることによって香港での訪日客数が激減したことです。特に、予言の日が近づくにつれ、香港の人々は日本行きを避ける傾向が強まり、空港には見込んでいた以上の空席が目立つようになりました。結果として、徳島空港の国際便の収益性が低下し、運航を継続することが困難になりました。
この予言騒動が、徳島空港の運航に及ぼした影響は非常に深刻で、地元経済に対しても厳しい影響を与える結果となりました。社会的な不安とデマの広がりがいかにして現実に影響を及ぼすかを示す一例となりました。
２．「大災害」予言とSNSの影響
漫画家たつき諒の予言とその広がり
1999年に漫画家のたつき諒さんが発表した『私が見た未来』は、その内容が未来の日本に大規模な津波が襲うと予言したとして注目を集めました。この予言が大きな反響を呼び、SNS上でも広まりを見せ、特に2025年7月5日という具体的な日付が注目されました。たつきさんが描いた未来像には、東日本大震災を事前に予見したとも受け取れる内容があり、これが予言として再び脚光を浴びるきっかけとなりました。
2021年に再発行された「私が見た未来 完全版」では、2025年7月5日に起こるとされる巨大津波の描写があり、その日付が予言の日として広く認識されることになりました。SNSを通じて多くの動画や情報が投稿され、予言を信じる人々が急増し、社会全体に強い影響を与える結果となりました。SNSは予言の拡散を加速し、瞬く間に世界中の人々の関心を集めることになったのです。
予言が与えた社会的影響とデマの拡散
SNSの急速な拡散力により、たつき諒さんの予言は広まり、現実的な影響をもたらしました。特に、日本国内外では予言に基づいた災害の発生を心配する声が多く、社会全体に不安を広げる結果となりました。SNSでは、予言に関する動画やコメントが飛び交い、科学的根拠がないにもかかわらず、あたかも現実が迫っているかのような状況が作り出されました。人々はこの不安を解消するために予言が実際に起きることを期待し、また反対に、予言が外れることを願う声も多く見られました。
このような不安の広がりは、現代のSNS社会がもたらすデマ拡散の恐ろしさを象徴する事例となりました。特に、根拠のない情報が次々と拡散されることで、信じる人々の間でさらに強い期待が生まれ、恐怖を煽る結果となりました。流言やデマは、証拠があいまいであるほど、憶測を呼び、瞬く間に広がるという社会心理学的な現象を目の当たりにした出来事でした。
３．地方創生と空港の役割
訪日客誘致のための地方空港の努力
地方空港にとって、国際便の就航は地域経済の活性化において重要な要素となります。徳島空港をはじめとする地方空港は、訪日客誘致を目指して積極的に取り組んできました。特に徳島空港は、2018年に国際定期便が就航した後、訪日客の増加を期待していました。2024年には、香港便が新たに加わり、アジアからのアクセスが強化されることになりました。
地方創生の一環として、地域の観光資源を活かすために空港が果たす役割は大きいです。例えば、徳島県は鳴門の渦潮や阿波踊りなどの観光名所をPRし、香港やその他のアジアからの旅行者を誘致しようとしていました。しかし、これらの努力は、「大災害」予言の影響を受けたことによって、急速に打撃を受け、予定していた集客数に達することができませんでした。
地方空港の人口減少と観光業の現状
地方空港が抱える最大の課題は、人口減少とそれに伴う観光業の衰退です。徳島や鳥取といった地方県は、年々人口が減少しており、訪日客数も全国平均に比べて低い数字となっています。日本政府観光局によると、2024年の訪日観光客の訪問率は、両県とも0.3%で全国最下位近くの順位に位置しています。これにより、地方空港にとっては国内外からの観光客を呼び込むことが重要な課題となっています。
また、これらの地方空港は、東京や大阪、京都など観光地が集中している地域に比べて、観光資源の認知度や集客力において劣る面があり、そこにどれだけ効果的なプロモーションができるかが重要です。しかし、人口減少が進む中では、集客数の増加も難しく、空港運営を支えるのは非常に大きな課題となっています。
まとめ
徳島空港をはじめとする地方空港は、訪日客誘致を重要な柱として地域経済を支えてきましたが、「大災害」予言による風評被害が予想以上に深刻な影響を与えました。予言がSNSを通じて拡散されたことにより、香港便の搭乗率は急激に低下し、運航減便や最終的な運休に追い込まれる事態となりました。これは、科学的根拠がないにもかかわらず、予言による不安が引き起こした大きな波紋の一例です。
さらに、地方空港が抱える課題は、予言の影響だけでなく、人口減少や観光資源の認知度不足、集客力の弱さにも関連しています。これらの課題を克服するためには、空港運営の更なる改善とともに、地方創生に向けた長期的な視点での戦略が求められます。今後、地方空港はより強力な観光誘致策を講じ、地域経済の再生に向けた努力を続けていく必要があると言えるでしょう。
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