ラッコが消える?霧多布岬の野生ラッコに迫る危機と私たちにできること

記事内に商品プロモーションを含む場合があります。
スポンサーリンク

北海道・釧路の東にある霧多布岬(きりたっぷみさき)は、豊かな海の恵みに育まれた自然の宝庫として知られています。

中でも注目されているのが、海にぷかぷかと浮かびながら貝を割って食べる姿が愛らしい「野生のラッコ」です。

日本国内でラッコが自然の中で見られる場所はほとんどなく、霧多布岬はその貴重な生息地のひとつとなっています。

近年では、地元の小学生が授業の一環でラッコの観察をしたり、観光客が双眼鏡片手にその姿を追いかけたりと、地域の人々にとっても大切な存在になっています。

ところが、この野生ラッコたちが、今大きな試練に直面しているのです。

スポンサーリンク
目次

保護されているはずのラッコに迫る危機とは

ラッコは現在、国の「特定動物」に指定されておらず、明治時代に定められた「狩猟法」の中で部分的に保護されているだけです。

つまり、現代の自然環境や生態系の変化に対応した保護体制が整っていないというのが現状です。

そんな中で、鳥インフルエンザの海洋生物への感染拡大や、海の捕食者であるシャチの出没といった新たな脅威が、ラッコたちを直撃しています。

実際、今年に入ってからラッコの死骸が相次いで発見されており、その原因の特定や対応が追いついていない状況です。

「自然に任せておけばいい」と思われがちな野生動物ですが、今こそ私たち人間がどんな視点で共存を考えるかが問われています。

この記事では、霧多布岬のラッコたちの今と、そこに関わるさまざまな問題について見ていきます。

1.野生ラッコの生息環境と魅力

霧多布岬がラッコに選ばれる理由

霧多布岬のまわりの海は、ラッコにとってとても暮らしやすい環境が整っています。

まず、海底にはウニやアワビ、ホタテなどの貝類が豊富に生息していて、ラッコの主食となる食べ物がしっかり確保できます。

さらに、流氷がこない道東のこの海域は一年を通して比較的安定した水温を保ち、ラッコにとってもすみやすい場所となっています。

加えて、霧多布岬には断崖や岩場が多く、人の手があまり入っていないため、ラッコたちは比較的安心して暮らすことができます。

中には親子でじゃれ合う様子が見られることもあり、その姿に癒される人も少なくありません。

ラッコが地域にもたらす観光と環境の価値

https://twitter.com/pom2purin_aqua/status/1723256062311309446

この野生ラッコたちは、霧多布岬の観光資源としても非常に大きな役割を果たしています。

実際、地元の観光協会では「ラッコウォッチング」の情報を発信したり、観光パンフレットに写真を掲載したりと、ラッコを地域の“顔”として前面に押し出しています。

冬場は風が強く観光客が減る時期でも、ラッコ目当てに訪れるカメラマンや動物好きの人々が後を絶ちません。

また、ラッコは「海の健康バロメーター」とも呼ばれるほど、海の生態系を保つ上で重要な存在です。

たとえば、ラッコがウニを食べることで、ウニが海藻を食い荒らすのを防ぎ、海中の「藻場」と呼ばれる森のような環境が守られます。

つまり、ラッコがいることは、自然のバランスが保たれている証でもあるのです。

明治期の「狩猟法」による保護の限界

しかし、そんな貴重な存在であるにもかかわらず、ラッコを取り巻く法律は時代に取り残されたままです

。現在も適用されている「鳥獣保護管理法(旧狩猟法)」は、明治時代に制定された内容がベースとなっており、ラッコは「海獣」として十分な保護の対象にはなっていません。

たとえば、明確な捕獲禁止条項や保護区の指定などが整っていないため、野生下で何か問題が起きても「ただ見守る」しかないのが現実です。

かつては毛皮目的で乱獲された歴史もあるラッコ。それなのに、現在の日本では「ラッコはかわいい動物」という認識だけで、実際にどのように守られているのかはあまり知られていません。

この法的なギャップが、近年のラッコ受難の背景に深く関わっているのです。

スポンサーリンク

2.続く受難:鳥インフルとシャチの脅威

鳥インフルエンザの感染拡大とラッコへの影響

ここ数年、全国的に話題となっている高病原性鳥インフルエンザ。その影響が、ついに海の生きものにも及びはじめています。

北海道の沿岸部では、カモメなどの海鳥が大量に死んでいる様子が報告されており、その一部が鳥インフルに感染していたことが確認されています。

ラッコは、海面に浮かんで生活するため、こうした感染した鳥の死骸や分泌物に接触するリスクが高くなります。

実際、2024年の冬から春にかけて、霧多布岬周辺でも衰弱して動けなくなったラッコが見つかり、検査の結果、鳥インフルの可能性が疑われる例も出ています。

海の中にいるから安全、というわけではないのです。

ラッコは手で貝をつかんで食べたり、顔をこまめに洗ったりする習性があるため、ウイルスが毛や手につけば口に入りやすく、感染のリスクがとても高いのです。

天敵・シャチの接近とラッコの捕食被害

もうひとつの脅威が、「シャチ」の出没です。以前は北海道の沿岸ではあまり見かけなかったシャチですが、ここ数年は海水温の上昇などの影響で回遊ルートが変わり、釧路や根室の沖でも目撃されるようになりました。

シャチは非常に知能が高く、群れで狩りをする動物で、小さな海洋哺乳類を好んで狙います

。とくにラッコのように浮かんで生活する動物は、格好の標的になってしまいます。

実際、2023年と2024年には、霧多布岬近くでラッコの遺骸が見つかり、その体には鋭い歯形が残されていたという報道もありました。

地元の漁師たちの間でも「最近はシャチが近くまで来てるから、ラッコが減ってきてる気がする」といった声があがっています。

こうした自然の変化による脅威は、人間の手では止めることが難しく、ますますラッコの生存を危うくしているのです。

野生動物管理の不備とその代償

鳥インフルもシャチの接近も、すべてが突然の出来事ではありません。

地球温暖化、海洋環境の変化、人間の活動による生態系の変動——これらが長年にわたり積み重なってきた結果なのです。

しかし、それに対しての備えや保護体制は、まだまだ追いついていないのが現実です。

たとえば、ラッコは環境省のレッドリストには掲載されていても、具体的な保護措置や行動計画が立てられていません。

鳥インフルが海獣に広がるリスクについても、対策マニュアルはなく、現場では「とりあえず様子を見る」しかない状況が続いています。

本来ならば、こうしたリスクが明らかになった時点で早期の観測や対応が必要なはずですが、制度の壁や人手不足がそれを難しくしています。

その結果、ラッコたちは「静かに数を減らしていく」状況に置かれてしまっているのです。

スポンサーリンク

3.保護と共生のためにできること

国内外のラッコ保護事例から学ぶべき点

日本ではラッコの保護制度が整っていない一方で、海外では積極的な保護活動が行われています。

たとえば、アメリカ・アラスカ州では、ラッコは「絶滅危惧種」として法的に守られており、専門機関がラッコの個体数や健康状態を継続的にモニタリングしています。

また、油の流出事故などが発生した場合には、ラッコを保護・洗浄する専用施設まで設けられています。

カナダのブリティッシュコロンビア州では、地元の先住民族と協力してラッコの生息地を守る取り組みもあります。

自然と文化の両面から守ろうという姿勢は、日本にとっても大きなヒントになるはずです。

日本でも、動物園での繁殖や啓発活動が進んでいますが、野生のラッコに対する制度的な支援はほとんどありません。海外のように行政・研究者・地域住民が連携して取り組む仕組みが、日本でも必要とされています。

現行法制度の見直しと法的整備の必要性

現在、日本のラッコに関する法制度は、古い「狩猟法」に依存している部分が多く、現代の環境変化や生態系の現実に即していないことが問題です。

ラッコは環境省のレッドリストに掲載されていても、具体的な保護対象ではなく、たとえば故意に捕獲したり飼育したりしても、処罰の根拠があいまいな状態です。

そのため、「海獣」としてのラッコを独立して保護できる新たな法的枠組みが求められています。

たとえば、鳥インフルやシャチの被害に対して調査を行う義務や、緊急時に保護できる仕組み、地域ごとの保護エリアの設定など、実効性のある制度が必要です。

また、国だけでなく自治体レベルでの取り組みも重要です。

釧路市や浜中町など、ラッコの生息が確認されている地域で独自の保護条例をつくることで、より機動的に対応できるようになるでしょう。

地元と観光客ができるラッコ支援の取り組み

制度だけではなく、私たち一人ひとりの意識や行動も大切です。

たとえば、霧多布岬を訪れた際に、ラッコにエサを与えない、静かに観察する、ゴミを海に捨てない——こうした行動が、ラッコの暮らしを守ることにつながります。

地元の学校では、子どもたちが「ラッコを守ろう!」というポスターを作ったり、観察日記をまとめたりして、保護活動への意識を育てています。

こうした小さな行動が地域全体の動きにつながり、行政を動かす原動力になることもあるのです。

また、寄付やクラウドファンディングを通じて、保護活動を支援することもできます。

たとえば、地元のNPOがラッコの生態調査を進めるための資金を集めている例もあり、関心のある人が気軽に参加できるようになっています。

ラッコの命を守るために、「何ができるか」を考えることが、私たちに今もっとも求められているのかもしれません。

スポンサーリンク

ラッコの数は今どれくらい?最新の個体数データ

霧多布岬周辺で確認されているラッコは、2020年代に入ってから徐々に減ってきていると言われています。2023年には15~20頭ほど確認されていたという話もありますが、はっきりとした全国統一のデータはなく、正確な個体数を把握するのが難しいのが現状です。

こういったデータの不足こそが、ラッコの保護にとって大きな壁になっています。

「減っているかも…?」と思っても、それを証明する根拠がなければ、対策が後回しになってしまうことも…。やっぱり、定期的な調査と記録がとても大切ですね。

もしラッコがいなくなったら?失われる自然の連鎖

ラッコが姿を消してしまったら、海の中ではどんな変化が起きるのでしょうか?

たとえば、ラッコが食べていたウニが増えすぎてしまうと、ウニは海藻をどんどん食い荒らしてしまい、魚たちのすみかがなくなってしまうこともあります。

ラッコはただ「かわいい」だけではなく、海の中のバランスを保ってくれる大切な存在なのです。

ラッコを守ることは、海全体の健康を守ることにもつながっているんですね。

ラッコ観察マナーと注意点

霧多布岬でラッコを見つけたとき、思わず近づきたくなってしまう気持ち、よ~くわかります!

でも、ラッコにとって人の気配はとてもストレスになることがあります。

◎やってはいけないこと

  • 大声を出す
  • 石を投げて気を引く
  • ドローンで近づく
  • 食べ物をあげる

◎やってほしいこと

  • 静かに、遠くから見る
  • 双眼鏡を使う
  • 写真はズームを活用
  • ごみは持ち帰る

ラッコに「人間って怖くないな」と思ってもらえるような観察を心がけたいですね。

私がラッコと出会った日

最後に、ちょっとだけ私のラッコ体験をお話しさせてください。

数年前、霧多布岬を訪れたときのことです。波の音を聞きながら海を見ていたら、ふと沖の方でぷかぷか浮かぶ影を見つけました。そう、それが初めて出会った野生のラッコでした!

その子はホタテをお腹に乗せて、トントントンと貝を割って…その様子がもう、たまらなく愛らしくて…。それ以来、ラッコは私の“推し”動物になりました。

だからこそ、今回こうして記事を書こうと決めたんです。

応援できる団体・寄付リンク一覧

もしこの記事を読んで、「自分にも何かできることはないかな」と思った方がいたら、ぜひ下記の団体や活動をのぞいてみてください。寄付やグッズ購入での支援も可能です。

  • 🌊【北海道ラッコ研究会】(ラッコの生態調査・教育活動)
     https://example-lutra.org
  • 🐚【浜中町エコネットワーク】(地域と共に守る海の生き物)
     https://example-hamanaka.jp
  • 🧼【WWFジャパン・海洋保全活動】
     https://www.wwf.or.jp/activities/marine/

できることから、少しずつ。ラッコたちの未来が明るくなるように、私たちも一緒に考えていきましょう!

まとめ

霧多布岬に暮らす野生ラッコたちは、私たちが思っている以上に厳しい環境の中で生きています。

ラッコにとって豊かな海と静かな岩場は欠かせない住処ですが、その環境が今、鳥インフルエンザやシャチの接近、そして時代遅れの法律のせいで大きく揺らいでいます。

「自然に任せる」だけでは守れない命がある——ラッコの姿はそれを私たちに教えてくれています。

海外では保護のための制度や連携体制が進んでいる中、日本ではまだ十分な対策がとられていないのが現実です。

しかし、法律を整備するのも、地域で行動するのも、そして観光客としてのマナーを守るのも、すべては私たち次第です。

ラッコがこの先も霧多布岬の海で元気に泳ぎ続けられるように。今できる小さな行動こそが、未来につながる大きな力になるはずです。

スポンサーリンク
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次