2025年10月19日、報道各社が次のように伝えました。
“池井戸潤氏の小説『俺たちの箱根駅伝』が、2026年に 日本テレビ 系列で連続ドラマ化されることが決定した”というニュースです。
この作品は、学生ランナーたちの“走る”ドラマだけでなく、駅伝のテレビ中継という“伝える側”の物語も描いており、主催の 関東学生陸上競技連盟 の全面協力を受けての映像化となるとのこと。
このニュースを聞くと、まず思い浮かぶのが「なぜこの作品をドラマにするのか」「どんな構成で映像化されるのか」という点ですが、それ以上に目を引くのが――
“なぜ、駅伝中継のポイントで、通常は地名で呼ばれるところを、ただ一つ“施設名”で呼ぶ場所があるのか?”
という原作者の「小さな疑問」でした。
今回は、まずその疑問―― 「なぜ ‘小涌園前’ だけが施設名なのか」 を整理し、その上でドラマ化にあたって独自で推測する構成・登場人物などを「こんなふうになるかも」という観点で綴ってみます。
1.“小涌園前”が施設名扱いになったワケ
まず、なぜ駅伝中継において、通常「○○町」や「○○市」といった地名で呼ばれる中継ポイントが、 箱根小涌園ホテル(以下“小涌園”)前だけ“施設名”になっているのか。この点について、複数の情報源があります。
- 「駅伝の中継で特定の旅館の名前が出るのは ‘小涌園前’ だけ」――スポーツライターの 生島淳 氏のラジオ対談より。
- “地名ではなく施設名で呼ばれる理由”として、小涌園が1987年の中継開始時、宿泊施設の手配が難航する中、テレビ局(日本テレビ)に対して「大広間で良ければどうぞ」という形で 無料または大変安価に宿泊場所と温泉を提供したというエピソード。
- この恩義をテレビ局が、通過地点を“施設名表記”とすることで視覚的・聴覚的に示すことになったというもの。
具体的には、以下のような流れです。
- 日本テレビが1987年に本格的な中継体制を整えた際、箱根地区に300人規模のスタッフ配置を予定したが、宿泊施設の手配が直前まで決まらなかった。
- 箱根小涌園の側から「正月の宴会がないので大広間を雑魚寝にしてよければ宿泊・温泉利用をどうぞ」と申し出があり、テレビ局はこれに救われた。
- その“恩”を示す意味で、通過沿道の中継ポイントとして「小涌園前」という名称を使い、施設名をあえて表示・実況されるようになった。
つまり、 「小涌園前」と呼ばれるのは、地名よりも施設名が採用される特例が存在するから ということになります。
地名で十分通じる区間であるにもかかわらず、敢えて「施設名前」という表現を残したのは、放送側・施設側いずれにも意味があるからです。
学術的・公式記録として明文化されたものではありませんが、複数の信頼できるメディアが同様の説明を紹介しており、原作者・池井戸潤氏も「この疑問が物語執筆の出発点だった」と語っています。
このエピソードが、小説『俺たちの箱根駅伝』執筆の“発端”となった点も注目に値します。
「『箱根駅伝』の中継ポイントは地名で呼ばれるのに、なぜ『小涌園前』だけが地名ではなく施設名で呼ばれるのか? こんな小さな疑問が、上下巻に及ぶ膨大なストーリーと人間ドラマに発展するとは思いませんでした。」 ― 池井戸潤氏コメント。
この「小さな疑問」が、学生ランナーたちの青春、監督・コーチ側の組織再建、そしてテレビ中継スタッフたちの現場奮闘へと広がっていったわけです。

2.ドラマ化にあたって、私的推測
原作を下敷きに、ドラマ版『俺たちの箱根駅伝』がどのような構成・演出になるか、私なりに “推測” してみます。公式からは放送時期・キャストともに未発表(記事時点)です。
2-1 二軸構成:「走る側」+「伝える側」
原作では、駅伝本戦を目指す学生たち(あるいは復活を誓う古豪大学)と、その勝負を全国に届けるテレビ中継スタッフという二つの視点が並行して描かれています。
記事でも「学生やスタッフらへの徹底取材をもとに書き上げた物語」と紹介されています。
ドラマでもこの 二軸構成が中核になると思われます。
- 学生チーム:2年連続で本選出場を逃している名門校が、監督交代・選手再編・タスキへの想いを背負って新たな挑戦をする。
- 放送局スタッフ:中継技術・スポンサー・視聴率・現場のトラブルなど、伝える側の緊張・誇り・葛藤を描く。
2-2 エピソード構成(推測)
私の予想では、10話前後の連続ドラマになると仮定して、およそ次のような構成になるかもしれません。
- 第1話〜第2話:大学駅伝予選会→名門校の低迷宣言・監督交代の合図。
- 第3話〜第4話:チーム再建/監督の指導哲学・選手たちの葛藤。
- 第5話〜第6話:テレビ中継スタッフの準備・技術トラブル・宿泊手配の苦労(“小涌園前”のエピソード含む)
- 第7話〜第8話:本戦出場決定/箱根路へ。往路の激闘。
- 第9話:復路のクライマックス/タスキをつなぐ意味。
- 第10話(最終話):結果の如何に関わらず、選手・スタッフ双方の成長・絆・未来へ。
3-3 キーディテール予想
- 「小涌園前」という呼称の由来がドラマの冒頭または中盤に象徴的エピソードとして描かれる可能性が高い。
- 宿泊施設・温泉・箱根のロケーション(山坂・霧・雪)など、駅伝ならではの“風景=ドラマの語り口”が映像化で強調される。
- 学生ランナーそれぞれの背景(家庭事情・学業・怪我・挫折)や、テレビ中継スタッフの“見えない努力”が群像劇として扱われる。
- 実際の大会映像・沿道風景・実況リポーターの現場感を取り込んだ“リアルとフィクションの融合”が試みられる。
- テーマとして「タスキをつなぐ責任」、「組織の再起」、「伝えるという使命」が登場。視聴者自身も“走者”として物語に引き込まれる演出が多用される予感。
配役・キャスト予想
ドラマ版を想定して―原作小説『俺たちの箱根駅伝』(池井戸潤)の登場人物をもとに、🏃♂️「選手・監督サイド」と🎥「テレビ中継スタッフサイド」の二軸に分け、ドラマで登場しそうな人物像をキャラクター性+配役候補イメージつきで推測してみます。
🏃♂️学生ランナー・監督サイド(明誠学院大学・学生連合)
登場人物 | 役割/立場 | キャラクター性(ドラマ的ポイント) | 配役イメージ(推測) |
---|---|---|---|
青葉 隼斗(あおば はやと) | 明誠学院大陸上部主将・4年生 | 故障を抱えながらもチームをまとめる熱血ランナー。理想と現実のはざまで揺れる“最後の箱根”への挑戦者。 | 若手演技派(例:永瀬廉・目黒蓮・高橋文哉) |
甲斐 真人(かい まさと) | 明誠学院陸上部監督・OB | 元エースランナーで商社を辞め母校再建に挑む。理想主義だが情熱的、池井戸作品に多い“信念の上司”。 | 阿部寛・堺雅人・大泉洋など池井戸系常連俳優 |
前島 友介(まえじま ゆうすけ) | 明誠学院3年生 | クールな参謀タイプ。チームを冷静に見ているが、青葉への尊敬心を秘める。 | 佐野勇斗・高杉真宙 |
倉田 大輝(くらた だいき) | 明誠学院2年 | 天真爛漫でムードメーカー。チームに笑顔をもたらす存在。 | 鈴鹿央士・細田佳央太 |
富岡 周人(とみおか しゅうと) | 学生連合チーム・目黒教育大学 | 父も箱根ランナー。才能があるが自信を持てず苦悩する。 | 板垣李光人・藤原大祐 |
村井 大地(むらい だいち) | 東邦経済大学 | 反骨精神旺盛。孤高の天才タイプで青葉と衝突するが、最後には認め合う。 | 萩原利久・柾木玲弥 |
吉岡 遼(よしおか りょう) | 明誠学院1年 | 新世代の象徴。青葉に憧れる後輩として成長する。 | 奥平大兼・鈴木福(大学生役期) |
北野 公一(きたの こういち) | 清和国際大学監督 | 旧来型のスパルタ指導者。甲斐監督の対照として描かれる。 | 光石研・渡辺いっけい |
🎥テレビ中継スタッフ・報道サイド(大日テレビ)
登場人物 | 役職/役割 | キャラクター性・ドラマ的要素 | 配役イメージ(推測) |
---|---|---|---|
徳重 亮(とくしげ りょう) | スポーツ局チーフP | 箱根駅伝中継の責任者。制作側の苦悩と誇りを背負う。 | 唐沢寿明・吉田鋼太郎 |
三村 千佳(みむら ちか) | ディレクター(若手女性) | 男社会で奮闘。選手たちを取材する中で成長。 | 波瑠・永野芽郁 |
中原 健吾(なかはら けんご) | 技術スタッフ | トラブル対応担当。冷静沈着で“裏方のプロ”。 | 松下洸平・中村倫也 |
鶴田 修(つるた おさむ) | アナウンサー | 熱血実況担当。現場の感動をどう伝えるか葛藤する。 | 櫻井翔・田中圭 |
宮園 智(みやぞの さとし) | 編成部長 | 視聴率・スポンサーを気にする上層部の圧力役。 | 椎名桔平・岸谷五朗 |
大友 真希(おおとも まき) | 広報担当・ナレーター | 作品の語り手ポジションを兼ね、全体を包み込むような存在。 | 松たか子・柴咲コウ |
🏆ドラマ構成の可能性(推測)
- 全10話構成(日本テレビ日曜22時台など)
- 第1〜3話:明誠学院の低迷・監督着任・選手の再起
- 第4〜6話:学生連合チーム結成・予選会
- 第7〜9話:往路〜復路の激闘・各区間のドラマ
- 第10話:フィニッシュ&タスキの意味
- ナレーション
- テレビ局スタッフ(広報・アナウンサー)がナレーション兼“語り部”を担う形。
- 「走る者」「伝える者」という二つの“俺たち”を象徴。
- エンドロール
- 実際の箱根駅伝の映像や「小涌園前」など実名地を挿入し、リアルとフィクションをつなぐ演出も期待。
関係性(要約)
甲斐監督 ⇔ 青葉主将:理念×現実の摩擦 → 相互信頼へ
明誠学院(チーム) ⇔ 学生連合:立場の違いを越えた“襷”の絆
制作チーム ⇔ ランナー:「走る者」と「伝える者」、二つの“俺たち”の物語
徳重P ⇔ 宮園編成:現場の理想と編成の事情の綱引き
三村D ⇔ 選手:密着取材で見えてくる“走る理由” 編集メモ(公開時は削除OK)
- 配役案は仮イメージ。発表後に更新。
- 「学生」「テレビ」以外(記者・スポンサー・大学関係者)もセクションを追加可能。
4.まとめ&期待ポイント
- 原作の発端となった “なぜ小涌園前だけ施設名なのか” という疑問は、駅伝中継の裏にある人と人との関係、テレビと地域との関係、恩義と呼称の問題を浮き彫りにしています。
- その疑問を起点に、池井戸潤氏は“選手”と“伝える者”双方の視点を丁寧に描き、10年以上をかけて書き上げた渾身作であると語っています。
- 2026年のドラマ化決定は、駅伝ファンならずともスポーツドラマ、組織再生ドラマ、現場密着ドラマとして大きな注目を集める可能性があります。
- 個人的に特に楽しみにしているのは「小涌園前」呼称の由来がどのように映像で描かれるか、そして沿道・中継局・選手たちが“タスキ”に託す想いがどうインパクトを持って表現されるか、という点です。
最後に、もしこのドラマをご覧になる際には、ぜひ「通過地点が何と呼ばれているか」「中継スタッフの動き」「宿泊・技術・速報までの裏の準備」にも注目してみてください。きっと画面の裏側にあるドラマが、より深く感じられるはずです。
それでは、2026年の放送を楽しみに。走者も、伝える者も、視聴者も、みんなでタスキをつなぎましょう。🏁
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