札幌の動物園「ノースサファリサッポロ」が9月で閉園することが分かりました。
動物園の閉園で一番問題になるのは、動物の受け入れですね。
ノースサファリサッポロは「最も危険な動物園」と言われて、大型動物などとも近距離で触れ合えたり、アトラクションなどが豊富で人気もあったようですが、開園当初から無許可での営業だったそう。
ノースサファリサッポロの評判など、閉園に至った状況を紹介します。
ノースサファリサッポロとは

ノースサファリサッポロは、北海道札幌市の動物園です。
運営は有限会社サクセス観光(本社:北海道札幌市)で、2005年7月に開園しました。
閉園の経緯
もともと無許可での開業だったようで、その後も行政指導を多く受けています。
ノースサファリサッポロは市街化調整区域にあるため開発行為に関する許可が必要でした。
札幌市は開業前に無許可で建設工事が行われていることから、運営会社のサクセス観光に行政指導を行ったにも関わらず、開園、施設の拡張を続けました。
札幌市としても口頭や文書で再三指導を行ったものの改善されませんでした。
また、開業当初から第一種動物取扱業者の届け出がされておらず、行政指導をしてやっと開園から1年後の2006年5月に届け出て受理されています。
園の無許可事業 | 行政指導等対応 |
川の水を水路に引き込む無許可工事 | 市の指導を受けて取りやめ |
看板の無許可設置 | 北海道開発局から8回にわたって撤去指導されていたが「道が分かりにくい」等の理由で応じず |
アザラシと共に泊まれる宿泊施設を無許可開設 | |
ツキノワグマやコブラなどの特定動物を飼養許可期限を超えて無許可の状態で飼育 | 札幌市は10回以上行政指導 |
野生のアザラシ9頭を無届けで飼育 | 5年後に札幌市が把握し、登録申請をするよう指導したが、7頭はその時点で既に死亡 |
これらの事例に対して、札幌市南区の市街化調整区域に無許可で建物を建築し、20年に渡り営業を続けていることから、札幌市が施設の撤去を求めて、2024年、札幌市は運営会社にに156棟の撤去を求めた勧告書を出しました。
この中には獣舎やコテージ、簡易トイレ、屋根付きの両替機までもが含まれています。
この勧告を受けて、閉園を決めたようですが、問題は残った動物たちをどうするかですね。
ノースサファリサッポロの評判
Googleマップに寄せられている評判は、4.1と高評価です。

動物と触れ合う動物園は多いですが、別次元の近距離でのふれあいができ、アトラクションも豊富に用意されています。
また、公式サイトを見ると体験イベントやアクティビティも豊富です。

アザラシと共に泊まれる宿泊施設や
ホッキョクオオカミエリアの横に併設されたオオカミグランピング!
ライオンエリアの横に併設されたライオンコテージ!
など猛獣の檻の近くでグランピング施設が設置されているようです。
デンジャラスゾーンという「最も危険な動物園」の謳い文句の区域もあり、そこには「自己責任」の看板が立っているそうです。

普通の動物園では出来ない体験が人気を呼んでいるようですが、
反面、動物を見世物にしている感は拭えませんね。
動物の死亡が相次ぐ
ネットで調べてみると、ノースサファリサッポロでは、動物の死亡が多く報告されているようです。
動物は生き物ですから、当然病気や老衰によってなくなることがありますが、飼育環境の不備が指摘されています。
下記は、2024年11月15日の集英社オンラインの記事です。
《内部資料入手》5年で7頭のアザラシが死亡、炎上中の“動物と泊まれるコテージ”とは? 責任者の回答は資料と食い違い…
「アザラシと泊まれる宿」には、めったにない体験をしたと喜ぶ声もありましたが、狭いプールに押し込められてアザラシが可愛そうとXで炎上しました。
この狭い中にアザラシずっといるなら可哀想すぎる。
— maya (@LaststandMaya) November 5, 2024
よくこんな宿泊施設に泊まって
snsに上げようと思ったな。
品性疑う。アザラシが可哀想 https://t.co/lKX21irb5l
集英社オンラインの記事では、ゴマフアザラシが5年間で9頭中の7頭が死亡していた資料を入試たと報じています。
集英社オンライン取材班は、ノースサファリサッポロが過去5年間で9頭中7頭のゴマフアザラシを死亡させていたことが分かる資料を入手した。 2015年から2020年の5年間でのアザラシの死亡頭数について、サクセス観光に確認すると、 「たしか老衰で一頭だけだったかな」 と要領を得ない回答だった。資料と食い違うアザラシの死亡頭数。はたしてこの園に管理能力はあるのだろうか…。
他にもネットではひどい運営実態が報告されているようです。
- 2022年にカピバラが原因不明の病気で死亡。公式な説明はなく、感染症の疑いもあるが調査報告が行われなかった。
- 2023年にはアルパカが極端に痩せた状態で死亡し、餌の管理や健康管理の不足が指摘された。
- 訪問者の証言によると、一部の動物は水を十分に与えられていない状態で放置されていた。
- ヒグマが小さな檻に閉じ込められ、ストレスで常同行動(同じ動作を繰り返す異常行動)をしている。
- トラが糞尿まみれの環境で飼育され、適切な運動スペースが確保されていない。
- フクロウやタカなどの猛禽類が日光を浴びることなく展示され、羽の状態が悪い。
500匹余りの動物の行先
気になるのは閉園後の動物たちの行く先です。
こちらはノースサファリサッポロの公式サイトでのお知らせです。
【ノースサファリサッポロ閉園に関するお知らせ】
日頃よりノースサファリサッポロをご愛顧いただき、誠にありがとうございます。
この度、当園は法令上の問題を重く受けとめ、閉園することを決定いたしました。
また、有限会社サクセス観光 代表取締役 星野 和生は辞任することをご報告いたします。
後任には現在園長職である、目黒 清志が代表取締役となり、動物達の移動と撤去まで責任をもって実行して参る所存です。
突然のご報告となり、お客様や関係者の皆様には大変なご迷惑とご心配をおかけいたしますこと、心よりお詫び申し上げます。
【動物たちの今後について】
前回のお知らせでお伝えした通り、
当園で飼育している動物たちにつきましては、安全と福祉を最優先に考え、適切な環境での管理を継続する為、慎重に対応を進めております。
関係機関や専門家のご指導・ご協力のもと、動物たちの健康と福祉を守るための最善の策を講じておりますので、ご安心いただければと思っております。
【一部報道について】
現在、一部報道において事実と異なる内容や、憶測を含む情報が拡散されていることを確認しております。
動物の移動に関して、ご協力施設様から受け入れ拒否もございました。本来スムーズに動物移動を進める予定が、このような報道の影響で動物達の移動や環境を維持していく事が更に困難な状況が生まれますのでお止め頂きたく存じます。
また、スタッフや関係者及びお客様への直接の接触や取材・撮影はお断り申し上げます。
今後の情報につきましては、当園の公式発表をもってのみ行いますので、関係者以外の情報やSNS等での未確認情報の拡散はご遠慮ください。
【今後について】
閉園予定日としましては、約半年後の2025年9月末までと予定しております。
現在も撤去計画に基づき、順次動物達の移動を進めておりますが、ご協力施設様の受け入れ準備にある程度の時間を要するため、その間の動物飼育費や環境維持、及び飼育スタッフの雇用等を維持していくために、この期間としております。
また大型動物達の移動につきましては、受け入れ先の準備に期間を要するため準備が整い次第、移動を進めて参ります。
また、動物達の移動状況等につきましては、ご協力施設様の兼ね合い上お伝えすることが難しい為、ご理解頂けますと幸いでございます。
【皆様へ】
これまでの20年間、皆様に支えられ、愛されてきたことに心より感謝申し上げます。
閉園に向けた準備を進める中でも、最後まで動物たちにとって最善の環境を提供できるよう尽力して参ります。
何卒、ご理解とご協力を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
有限会社サクセス観光
ノースサファリサッポロ
ノースサファリサッポロの公式サイトより
閉園までの半年で、動物全ての移動を行うのは困難ではないかと言われています。
動物は、他の動物園などに受け入れを依頼することになるようですが、すべてを受け入れられるかどうかが懸念されます。
動物園や水族館などの運営はなかなか厳しいものがあるのは分かります
コロナの時期などは、大変だったでしょう。しかし、飼育環境などを見ると動物の飼育や保護などというよりもエンターテイメント重視の営業姿勢が見られます。
過去の動物園の閉園で、置き去りにされたり処分されたりした事例もあるようです。どうか全ての動物たちが無事に引き取られることを望まずにいられません。
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