東京都台東区のグループホームで、介護士の男性が認知症の女性利用者に対してわいせつな行為を行い、逮捕されました。
介護施設という、安心して暮らせるはずの場所で起きたこの事件は、介護現場の抱える深い課題を浮き彫りにしています。
介護士によるセクハラ、入居者から職員へのパワハラ、そして過酷な労働環境と人手不足…。
この記事では、今回の事件の概要とともに、介護施設で今何が起きているのかを一般市民の視点から掘り下げていきます。
はじめに

介護の現場で起きた衝撃的な事件
東京都台東区のグループホームで、介護士の男性が認知症の女性利用者に対してわいせつな行為を行い、逮捕されました。
介護施設という、安心して暮らせるはずの場所で起きたこの事件は、介護現場の抱える深い課題を浮き彫りにしています。
被害者は70代の女性。日々の暮らしを支えるはずの介護士が、その立場を悪用して信頼を踏みにじった現実に、私は心からの怒りと悲しみを覚えました。
社会的信頼を揺るがす問題の背景
介護士によるセクハラやパワハラ、そして認知症や障がいを持つ入居者が“声を上げられない”という弱さにつけこまれる構造…。
さらに、介護職員自身もストレスと人手不足に苦しみ、「我慢」が限界に達しているケースもあるのではないでしょうか。
今回の事件をきっかけに、介護施設の現実と、そこで働く人・暮らす人たちの声にならない叫びに目を向けるべきだと思います。
1.事件の概要と現場の実態
不審死だったのか?他の入居者の死亡捜査で発覚って 偶然分かったんや…
— パイナップルチャーハン 山下🍉 (@z0fJUEZxpDpldVb) June 29, 2025
高齢者向けグループホームで認知症の入居女性(70代)に性的暴行を加えようとし、その様子を撮影した疑い 介護福祉士の男(50)を逮捕 東京・台東区 警視庁 | TBS NEWS DIG (1ページ) https://t.co/PmniOLjVhO
鳥居容疑者の犯行内容と供述
逮捕された鳥居高広容疑者(50)は、東京都台東区にある認知症グループホームで勤務していた介護士です。
6月ごろ、70代の女性利用者に対して、トイレの個室で身体を触るなどのわいせつな行為を行い、その様子をスマートフォンで撮影したとされています。警察の取り調べに対し、「ストレスの解消のために性的な嫌がらせをした」と話しています。
被害女性とグループホームの状況
被害者の女性は、認知症の症状があり、日常生活全般にわたって支援が必要な方でした。
施設は少人数での共同生活を行う「グループホーム」で、介護の手が行き届きやすいはずの場です。
しかし、トイレという密室空間で、他の職員の目が届かない状況が加害を許してしまった可能性があります。
警視庁の捜査と余罪の可能性
警察は容疑者の自宅やスマホを押収し、デジタルデータを解析中。
今回が初めての犯行なのか、他にも被害者がいるのか、慎重な調査が進められています。施設関係者や利用者への聞き取りも行われているそうです。
2.介護施設における性暴力・わいせつ行為の現状

施設内での性的虐待の実態と過去の事例
今回のような事件は残念ながら初めてではありません。
たとえば、2019年には大阪府の特別養護老人ホームで、夜勤中の職員が女性入居者に不適切な接触を行い、懲戒解雇されたケースもありました。
認知機能が低下している高齢者が狙われやすく、本人が訴えづらいことが発覚の遅れにつながっています。
通報が難しい高齢者被害者の立場
認知症の方は、自分の被害を正確に伝えることが難しく、施設側や家族が気づかない限り、深刻な被害が見逃される危険があります。
「急に特定の職員を怖がるようになった」「食欲が落ちた」「夜眠れなくなった」など、小さなサインを見逃さない目が求められています。
管理体制や監視システムの課題
トイレや入浴などのプライバシー空間では、監視カメラの設置が難しく、いわゆる“死角”が生まれやすいのが現実です。
さらに、人手不足や離職率の高さによって、職員の行動を継続的にチェックできる体制が整っていない施設も多くあります。
3.介護現場のストレスと倫理意識
職員のストレスとそれに対する支援不足
介護の仕事は、体力的にも精神的にも大変な負担があります。
入居者の身体介助だけでなく、「暴言」や「セクハラ発言」を受けることもあります。
若い女性職員が高齢男性入居者から毎日のように卑猥な言葉をかけられ、それでも「仕事だから」と耐えている姿…それはもう“ケア”ではなく“我慢”です。
倫理教育・研修の現状と限界
多くの施設では、年に数回の倫理研修が行われているものの、形式的になりがちです。
実際に起きているパワハラやいじめ、性暴力の芽を早期に摘むためには、「気づき」「通報」「守られる」仕組みが必要です。
そして、職員同士の信頼関係をつくる風土がなければ、問題があっても声はあがりません。
今後求められる制度的・社会的対策
被害者にも加害者にもなり得る環境だからこそ、対策は「両面」から必要です。
たとえば…
- 採用時の犯罪歴チェック
- 外部第三者による定期監査
- 匿名で相談できる窓口の整備
- 賃金・待遇の抜本的改善
さらに、地域や家族と連携し、施設を“閉ざされた空間”にしないことも大切だと思います。
まとめ
介護施設は、誰もが人生の最後を安心して過ごす場所であるべきです。
そして、そこで働く人にとっても誇りを持って働ける職場であってほしい。
今回のような事件は、その理想とは真逆の現実を突きつけてきました。
セクハラやパワハラが日常的に発生し、声を上げられない利用者と、限界に達した介護士たち…。
この構造を変えなければ、同じような事件は繰り返されてしまいます。
いま、私たちにできるのは「知ること」「目をそらさないこと」「声をあげること」。
介護の未来を良くしていくために、社会全体で支える覚悟が求められているのだと思います。
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