2025年8月8日、自民党本部で開かれた両院議員総会が、わずか1時間で政治の流れを一変させました。
参院選敗北後も続投姿勢を崩さない石破茂首相に対し、党内ではかねてから「石破おろし」の声が高まっていましたが、この日、総会長が突如「臨時の総裁選を行うか否か」に議題を絞ると宣言。自由民主党70年の歴史で初となる“臨時総裁選”が現実味を帯びました。
本記事では、この歴史的転換点の背景、総会でのやり取り、そして石破首相の反応と今後の展望までを、市民目線でわかりやすく解説します。
はじめに
石破おろしが再び注目される背景
「石破おろし」という言葉は、過去にも自民党内で首相交代を求める動きとして報じられてきました。
今回は、参院選での敗北という大きな結果がきっかけです。
選挙後も石破首相は辞任の意思を見せず、続投を強調しましたが、党内には「このままでは支持が回復しない」という不満がくすぶっていました。
特に地方組織や若手議員の間では、「新しい顔で再出発すべき」という声が増え、再び石破おろしの動きが表面化したのです。
これは単なる派閥間の争いではなく、政権の存続や党の将来像に関わる大きな問題として注目を集めています。
両院議員総会での予想外の展開
8月8日に行われた両院議員総会は、当初は石破首相の進退を含む党内情勢の意見交換の場と見られていました。
ところが、開始から1時間ほど経ったところで、総会長が「臨時の総裁選を実施するかどうか」に議題を絞る提案を行い、空気が一変します。
これは自由民主党70年の歴史で初めてのケースで、会場にいた議員の多くが驚きを隠せませんでした。
都道府県連の代表が不在だったため、最終的な判断は総裁選管理委員会に委ねられましたが、この一連の流れによって「臨時総裁選実施」という新たな局面に突入したのです。
石破首相が見せた「非常に不満そう」な表情は、この急転直下の展開を象徴する場面となりました。
1.両院議員総会の概要と目的
開催日時と場所、参加者構成
両院議員総会は2025年8月8日、自民党本部(東京都千代田区)で開催されました。
出席者は衆参両院の自民党所属議員が中心で、党の中枢メンバーや各派閥の幹部クラスも揃っていました。
一方、地方の声を代表する都道府県連の代表は今回は出席しておらず、あくまで国会議員同士による議論の場という性格が強い総会でした。
党内の重要な意思決定に関わる場として注目され、報道陣も多数集まりました。
参院選敗北後の党内情勢
今回の総会が特別視されたのは、直前の参院選での敗北が背景にあるからです。
選挙結果は党の支持基盤に大きな揺らぎを与え、特に都市部での議席減少が目立ちました。
これにより「このままの体制では次の選挙も危うい」という危機感が広がり、党内での責任論が強まっていました。
派閥を超えて「党の顔を変えるべき」という声が上がり始め、石破首相の続投に対する疑問が日に日に大きくなっていったのです。
石破首相の続投姿勢とその影響
こうした中でも石破首相は一貫して続投の意思を崩しませんでした。
会見やインタビューでも「責任を果たすのはこれからだ」と繰り返し、辞任の可能性を否定しています。
しかし、この姿勢は一部の議員には「現実を見ていない」と映り、党内の分裂を深める結果にもなりました。
特に若手議員や改選を控える中堅議員は、次の選挙での生き残りをかけて変化を求めており、総会の議論はますます緊張感を帯びることとなりました。
2.臨時総裁選議題化までの経緯

青山繁晴議員の証言
両院議員総会の内幕が広く知られるきっかけとなったのは、出席していた青山繁晴議員のテレビ出演でした。
青山議員は、会議の様子を読売テレビの夕方ニュース「かんさい情報ネットten.」でリモート中継し、詳細を明かしました。
彼によると、当初は石破首相の進退や参院選の総括が中心に話し合われていたものの、議論の最中に突如、総会長から「臨時の総裁選を行うか否かに絞って議論したい」との提案があったといいます。
青山議員は「一気に場の空気が変わった」と振り返り、長年の党史でも例を見ない展開に驚きを隠せない様子でした。
1時間後の議題転換と提起内容
総会が始まって約1時間後、総会長が議題を「臨時総裁選の実施賛否」に一本化する提起を行いました。
このタイミングは、会場の多くの議員が休憩や質疑応答を想定していた瞬間で、突然の方向転換にざわめきが広がったといいます。
議題の範囲が絞られたことで、石破首相の去就が事実上の焦点となり、反対派・賛成派双方の立場が一層鮮明になりました。
過去の自民党総会では、多岐にわたる議題を並行して扱うのが一般的で、このように一点集中で進められるケースは極めて異例です。
総裁選管理委員会への権限移譲
ただし、この場で臨時総裁選の実施が正式に決まったわけではありません。
総会には都道府県連の代表が参加していなかったため、最終判断の権限は総裁選管理委員会に委ねられることになりました。
この委員会は党内規則に基づき総裁選の運営や日程を管理する機関であり、実質的に“最終ゲート”の役割を担います。
権限が委員会に渡された瞬間から、党内の関心は「いつ、どの条件で総裁選が行われるのか」に移り、今後の政治日程にも大きな影響を与えることが予想されました。
3.石破首相の反応と今後の展望

「非常に不満そう」な表情の背景
臨時総裁選の議題化が決まった瞬間、石破首相は報道によると「非常に不満そう」な表情を見せたといいます。
この反応の背景には、首相自身が続投に強い意欲を示し、党内の混乱を収める自信を持っていたことがあります。
参院選の敗北を受けて「説明責任を果たし、立て直す」という姿勢を貫いていたため、議題の急転換はまさに寝耳に水だったのでしょう。
また、総会の場に地方代表がいなかったこともあり、首相としては「党全体の声が反映されていない」との不満も抱いていたと考えられます。
政治的流れが変わらない理由
青山議員はテレビ出演で「政治的に言うと、流れは変わらない」と語りました。
これは、総裁選管理委員会に議題が移った時点で、臨時総裁選の実施に向けた大勢が固まっているという見方です。
党内では既に一部の派閥が水面下で候補者擁立の準備を進めており、総裁選を避けるための妥協案は見当たらない状況でした。
加えて、参院選の結果が「現状維持は危険」という危機感を広げており、首相交代の機運を押し戻すのは極めて難しい情勢です。
臨時総裁選実施による党内への影響
もし臨時総裁選が実施されれば、自民党は政策議論よりも短期決戦型の権力闘争に突入することになります。
これにより、現職首相の求心力はさらに低下し、党内の派閥力学が一気に表面化する可能性があります。
一方で、新たな総裁が選ばれれば「刷新感」を打ち出しやすく、支持率回復のきっかけになるかもしれません。
ただし、総裁選は党内の亀裂を深めるリスクも伴い、選挙後の党運営や政策の一貫性に悪影響を及ぼす懸念もあります。
今回の動きは、単なる首相交代劇ではなく、党の方向性そのものを左右する分岐点と言えるでしょう。
まとめ
今回の両院議員総会は、参院選敗北という結果を受けた党内の不満と危機感が、一気に「臨時総裁選議題化」という歴史的転換点を生み出す場となりました。
わずか1時間で議題が急変し、権限が総裁選管理委員会に渡された流れは、党史上でも極めて異例です。
石破首相は続投への強い意志を示しましたが、党内の多くは現状維持に懐疑的で、政治的な潮目は既に交代に向かっている印象があります。
今後、臨時総裁選が実施されれば、党の顔が変わるだけでなく、政策方針や選挙戦略そのものにも影響が及びます。今回の動きは、自民党がどのような方向へ舵を切るのかを占う試金石となるでしょう。
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