2025年度後期のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』で、ヒロインの母・松野フミを演じる池脇千鶴さんが、これまでのイメージを一新する驚きの変貌を見せています。
伝統的な日本髪に和服姿、少しふっくらとした温かな笑顔は、「本当にいそうなお母さん」とSNSで話題沸騰。
かつて第8代「リハウスガール」や朝ドラ『ほんまもん』で清純派ヒロインとして人気を集めた彼女が、なぜここまで大胆な役作りに挑んだのか──その背景には、女優としての覚悟と積み重ねた演技哲学がありました。
本記事では、『ばけばけ』松野フミ役の魅力と池脇千鶴さんの女優人生の軌跡を詳しくご紹介します。
はじめに
朝ドラ『ばけばけ』で話題の池脇千鶴
2025年度後期のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』で、ヒロインの母・松野フミを演じる池脇千鶴さんの劇中ビジュアルが公式SNSで公開され、大きな注目を集めています。
伝統的な日本髪に和服姿、少しふっくらとした顔立ちで穏やかに微笑むその姿は、視聴者から「本当にいそうなお母さん」と評されるほどのリアルさ。
ネット上では「若い頃の清純派イメージと全然違う」「役作りがすごい」と驚きの声が相次ぎました。
池脇さんといえば、第8代「リハウスガール」としてデビューし、2001年の朝ドラ『ほんまもん』でヒロインを務めた清純派女優。その面影を知る世代にとって、この変貌はまさに衝撃だったのです。
驚きの“老け顔”ビジュアルが生むリアル感
今回の役作りは、単に年齢を重ねた母親像を演じるだけではありません。頬のふくらみや微細な表情、髪の質感に至るまで、「そこに生きる人」としての説得力を放っています。
これは池脇さんがこれまで培ってきた徹底した役作りの延長線上にあり、過去にも『その女、ジルバ』で40歳の孤独な女性を生々しく表現したり、『秘密~THE TOP SECRET~』で視聴者が気づかないほどの変貌を遂げたりと、その姿勢は一貫しています。
今作『ばけばけ』では、ヒロインの人生に影響を与える母親として、物語の土台を支える存在感を放つことが期待されます。


1.池脇千鶴の役作りと激変ぶり
SNSで注目された松野フミ役のビジュアル
8月5日に公開された『ばけばけ』公式SNSの投稿では、松野フミ役の池脇千鶴さんが初めてお披露目されました。
伝統的な日本髪にきちんと着こなした和服姿、そして少しふっくらとした頬や温かみのある笑顔は、まるで昭和の家庭に実在していた母親のよう。
SNSでは「役作りがすごすぎて別人みたい」「あの池脇千鶴がこんな表情をするなんて」と驚きのコメントが続出しました。
これまでの華やかな女優のイメージを完全に覆し、役そのものとして存在している姿が、多くの視聴者の目を引いたのです。
若い頃の清純派イメージとのギャップ
池脇さんといえば、1997年に第8代「リハウスガール」に選ばれ、爽やかな笑顔で一躍注目を浴びた存在です。
2001年の朝ドラ『ほんまもん』では、明るく人懐っこいヒロインを好演し、清純派女優としてのイメージが確立しました。
その印象が強かったファンにとって、今回の“老け顔”ビジュアルは大きな衝撃だったはずです。
特に、目元や頬の輪郭にあえて年齢を感じさせる変化を取り入れたことで、「若さを保つこと」よりも「役の説得力」を優先する彼女の姿勢が際立っています。


過去のドラマで見せた大胆な変貌
今回の激変ぶりは決して初めてではありません。
2021年の『その女、ジルバ』では、40歳で恋も仕事も失った女性を演じ、背中を丸め、シワやぽっちゃり感を前面に出すなど、容姿を惜しまない演技で話題に。
さらに2024年の『秘密~THE TOP SECRET~』では、ボサボサ髪に大きめメガネ、くたびれた服装の“さえない中年女性”を熱演し、「エンドロールを見て初めて本人だと気づいた」という声も上がりました。
池脇さんは常に「美しさ」よりも「リアルさ」を優先し、役に命を吹き込むことを最優先にしてきた女優といえます。


2.女優としての軌跡と役作り哲学
デビューから朝ドラヒロインまでの歩み
池脇千鶴さんが芸能界に足を踏み入れたのは1997年、第8代「リハウスガール」に選ばれたことがきっかけでした。
透明感のある笑顔と親しみやすい雰囲気で一躍注目を集め、その翌年にはドラマや映画への出演が増加。
2001年のNHK朝ドラ『ほんまもん』ではヒロイン・木葉優花役を務め、全国区の人気を確立しました。
この時期の池脇さんは、明るくまっすぐな役柄が多く、視聴者から「清純派女優」として愛されていました。
こうした華やかなキャリアの土台があったからこそ、後年の大胆な役作りとのギャップがより際立って見えるのです。
『ジョゼと虎と魚たち』で見せた殻破りの挑戦
転機となったのは2003年公開の映画『ジョゼと虎と魚たち』。下半身が不自由でありながらも強く気まぐれに生きるジョゼを演じ、従来の清純派イメージを覆しました。
作中では、障害を抱えるキャラクターの複雑な感情や孤独を体現するため、外見やしぐさを細部まで作り込み、時には体当たりの演技にも挑戦。
恋愛映画でありながら、甘さだけではない生々しい人間像を描き出し、女優としての覚悟を示しました。
この作品以降、池脇さんは「作品に求められるなら容姿やイメージを変えることもいとわない」女優へと舵を切ったのです。


作品ごとに別人化する徹底したアプローチ
池脇さんの役作りの特徴は、出演作ごとにまったく別人のように変化すること。
『その女、ジルバ』では、年齢や体型をあえて老けさせることで人生に疲れた40歳の女性をリアルに演じ、『秘密~THE TOP SECRET~』では視聴者が本人と気づかないほど外見を崩した“冴えない中年女性”を表現しました。
どの作品でも「女優・池脇千鶴」を前面に出すのではなく、「その人物がそこに生きている」ように見せることを優先。
見た目の美しさやスター性よりも、役のリアリティと物語への没入感を重視する姿勢こそが、彼女の演技哲学の核になっています。




3.『ばけばけ』での演技に寄せられる期待

松江を舞台にした物語と登場人物
『ばけばけ』の舞台は、明治時代の松江。没落士族の娘・松野トキと、異国から来た作家レフカダ・ヘブンの出会いと人生を描く物語です。
トキを演じるのは髙石あかりさん、そして彼女を支える夫役にはトミー・バストウさん、ふたりに大きな影響を与える英語教師・錦織友一役を吉沢亮さんが務めます。
作品の骨格は、この3人の人間関係と文化の交差にあり、その背景に松江という土地が持つ静かな空気や歴史が流れています。
池脇千鶴さん演じる松野フミは、そんな物語世界の根幹に位置し、娘トキの生き方や価値観を形づくる存在として描かれます。
ヒロインの母としての存在感
松野フミは、物語上では派手な活躍をするタイプではありませんが、その影響力は計り知れません。
母としての温かさや包容力だけでなく、時代背景に根差した価値観や生きる知恵を、娘に静かに伝えていく役どころです。
池脇さんは、この人物像を形づくるために、笑顔の奥にある覚悟や、時折見せる厳しさを丁寧に演じ分けています。
劇中ビジュアルからも、立ち姿や視線の方向、手の添え方ひとつにまで計算が行き届いているのがわかります。視聴者は、物語の進行とともに「松野フミ」という人物の重みを徐々に感じ取ることになるでしょう。
女優業の集大成としての位置づけ
今回の『ばけばけ』は、池脇千鶴さんにとって女優人生の集大成といっても過言ではありません。
若い頃から築き上げてきた清純派のイメージを脱ぎ捨て、作品ごとに別人のように変貌してきたその集大成が、この役に込められています。
外見だけでなく、しぐさや声色、間の取り方に至るまで、これまでの経験がすべて生きています。
SNSで「もはや池脇千鶴だとわからない」と驚かれるその変身ぶりは、役者としての覚悟と技術の証。『ばけばけ』は、彼女の持つリアリティの追求がどこまで到達したのかを示す、ひとつの答えとなる作品になるはずです。
まとめ
池脇千鶴さんが『ばけばけ』で見せる演技は、これまでのキャリアで培ってきた役作りの集大成ともいえるものでした。
第8代「リハウスガール」としての爽やかなデビューから、朝ドラ『ほんまもん』での清純派ヒロイン、そして『ジョゼと虎と魚たち』での殻破りの挑戦まで、常に新しい表現を模索してきた歩みがあります。
年齢や外見にこだわらず、役に応じて自らを変化させる姿勢は、『その女、ジルバ』や『秘密~THE TOP SECRET~』でも発揮され、「もはや本人とわからない」と言われるほどのリアルさを生み出してきました。
『ばけばけ』での松野フミ役もまた、その徹底した役作りの延長線上にあり、物語の土台を支える存在として大きな期待が寄せられています。
池脇さんの演技は、美しさや派手さではなく、「そこに生きる人間」を描くことの価値を、改めて視聴者に感じさせてくれるはずです。
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