兵庫県が14日に明らかにしたところによると、問題の職員は男性で、県人事課に所属する現職の県職員です。この男性は「私は単に(情報を)運んだだけ」と発言しており、政治団体代表・立花孝志氏との接触を認めています 。
立花氏はこの男性の実名を自身の街頭演説で明かしており、男性は取材に対し「当惑している」と答えています
しかし、神戸新聞などの報道では、本人のプライバシーや守秘義務への配慮から実名は公開されておらず、「兵庫県職員の男性」が事実上の名称となっています。
つまり、職員は誰?
- 誰か? 兵庫県人事課に所属する現職の男性県職員
- 何をした? 立花孝志氏に「元西播磨県民局長(故人)の私的情報」を「運んだだけ」と認め、接触もしたと述べた
- しかし 報道では実名は明らかにされておらず、公表されているのは「兵庫県職員の男性」という表現だけです
今後、兵庫県警が告発状を受理して捜査を進めていくとのこと。進展があれば、名前の公表や処分内容などがさらに詳細に報じられる可能性があります。
情報漏洩が発覚した背景とは?
2024年後半、ある街頭演説をきっかけに、兵庫県職員が個人情報を外部に流した疑いが浮上しました。
きっかけとなったのは、政治活動で知られる立花孝志氏が、ある故人である元西播磨県民局長の私的な情報を公の場で語ったこと。
この内容が、実名を含む極めてプライベートなものであったため、メディアやSNSを中心に「なぜそんな情報を持っているのか?」という疑問が一気に広まりました。
後日、県の内部調査によって、県職員のひとりがその情報を立花氏に渡していた事実が判明します。
しかも、その職員本人は「私は運んだだけ」と発言。情報提供の経緯や意図をめぐって、さらに波紋が広がることになりました。
実名を挙げた立花氏の街頭演説が波紋
問題の街頭演説は、多くの人の目に触れるYouTube配信やX(旧Twitter)などでも拡散され、瞬く間に注目を集めました。
立花氏は演説の中で、故人となった元県民局長のフルネームや、その家族に関わる私的な事情を語りました。
情報の出どころについては当初明らかにされていませんでしたが、その後、県の職員が接触していたことが明らかに。本人が「立花氏と面識があり、情報を渡した」と認めたことで、事態は県庁全体の管理体制にまで飛び火しています。
「なぜ公務員がそんな行動をとったのか?」「情報の扱いに問題はなかったのか?」──多くの疑問が渦巻く中、兵庫県の対応が今、問われています。
1.兵庫県職員が関与した経緯
「運んだだけ」と語る職員の証言
兵庫県の内部調査により浮かび上がったのは、県人事課に所属する男性職員の存在でした。
問題の情報が立花孝志氏の元に渡るルートとして、この職員が「関与」していたことが確認されます。
本人は取材に対し、「私は運んだだけ」と発言。つまり、自らが調査・取得したのではなく、第三者から得た資料を立花氏へ届けただけだと説明しているのです。
この「運んだだけ」という言葉は、一見責任逃れのようにも受け取られ、SNS上では「まるで使い走りのような言い方」「公務員がそれで済むのか」といった批判的な意見が相次ぎました。
一方で、本人は立花氏との接触についても認めており、その場で「手渡し」した可能性が高いと見られています。
情報提供はどのように行われたのか
では、実際にどうやってその情報がやり取りされたのでしょうか。
報道によれば、この職員は2023年のある時期に立花氏と連絡を取り、直接会って渡したとされています。
その場は選挙活動中の演説会場の後か、もしくはホテルのラウンジとされ、県庁内ではなくあくまで「私的な接触」として処理されていたようです。
立花氏の街頭演説で公表された資料は、元県民局長の家族に関わる極めて私的な内容を含んでおり、内容から見ても「行政文書」ではなく、誰かが個人的に収集・保管していた情報である可能性が高いとされています。
つまり、県の公文書から漏れたのではなく、職員が個人として保有・入手した何らかの私的資料を提供した構図が浮かびます。
なぜ立花氏に渡されたのか?
そもそも、なぜこのような情報が立花氏に渡されたのでしょうか。
その背景には、政治的な思惑があったと指摘する声もあります。
立花氏はもともと既存の政治・行政体制に批判的な姿勢をとっており、「行政の裏側」や「不正・癒着の告発」をテーマに演説することが多い人物です。
こうした活動スタンスに共感したのか、職員側が「これは世の中に知られるべきだ」と判断した可能性も考えられます。
ただし、職員はあくまで「情報を手渡しただけ」としており、内容の検証や発信は立花氏側の判断だったとも取れる発言をしています。
こうしたあいまいな責任の所在は、かえって県民の不信を招いており、「公務員としての立場を忘れたのではないか」という厳しい声も上がっています。
2.元県民局長の私的情報とは
故人となった元局長と情報の内容
今回問題となったのは、すでに亡くなっている元西播磨県民局長に関する私的な情報です。
演説の中で立花氏が語った内容は、故人のフルネームだけでなく、その家族構成や親族間のトラブル、さらには生前の生活状況にまで及んでおり、明らかに「業務上必要な範囲」を超えているものでした。
具体的には、遺族が関係する金銭的な話題や、生前に周囲とどのような関係を築いていたかといった、極めて個人的なエピソードが含まれていたとされます。
これらの情報は、県が正式に保有している文書とは考えにくく、誰かが個人的に記録していたメモや、関係者から聞き取った内容だった可能性も指摘されています。
プライバシーと公務情報の線引き
そもそも公務員が扱う情報には、「公務で知り得た情報」と「私的な立場で知った情報」の区別が求められます。
たとえ個人的に知り合った人物に関する話であっても、公務員がその立場を利用して得た情報を第三者に提供した場合は「守秘義務違反」となり得ます。
今回のケースでも、「県の文書ではないからセーフ」といった見方は通用しません。
情報の出どころが私的であったとしても、提供したのが県職員であり、その情報が政治的発言に利用されたのであれば、社会的責任は免れません。
また、故人であってもその名誉やプライバシーは一定程度守られるべきとされており、遺族や関係者への影響も無視できません。
遺族側の反応と社会的影響
立花氏の発言を聞いた遺族や関係者は、強いショックを受けたと報じられています。
亡くなった家族の情報が突然、街頭で、しかもインターネットを通じて全国に拡散されるという事態は、誰にとっても耐えがたいものです。
遺族の一人は、「なぜ今こんなことを公にされるのか、まったく理解できない」と話し、事実関係の確認を県に求めています。
一部では、名誉棄損やプライバシー侵害としての法的措置を検討しているとも伝えられています。
このような一件が広く知られることで、公務員による情報管理の在り方や、政治家による情報発信のモラルが改めて問われています。
「たとえ故人でも、その人の尊厳は守られるべき」という基本的な倫理観が、今一度社会全体で再確認されるきっかけにもなりそうです。
3.県の対応と法的な問題
兵庫県の発表と職員への処分検討
情報流出が明るみに出た後、兵庫県は記者会見を開き、職員が個人の判断で第三者に情報を渡していたことを正式に認めました。
県はこの職員について、「現在事実関係を確認中であり、適切に対応する」とコメントしていますが、具体的な処分の内容についてはまだ明言されていません。
一部報道では、内部規律違反として懲戒処分の対象となる可能性があると伝えられており、過去の類似事例と照らし合わせても、停職や減給などの懲戒処分が検討される状況にあるとみられます。
また、職員本人が「運んだだけ」と主張している点についても、組織としての関与や管理体制に問題がなかったのか、検証が求められています。
公務員の守秘義務と今回のケース
日本の公務員法では、「職務上知り得た秘密を漏らしてはならない」という守秘義務が明記されています。
これは在職中はもちろん、退職後にも適用される重要な規定です。
今回のケースでは、問題の情報が必ずしも業務上のものではなかったにせよ、県職員が関与して第三者に私的情報を提供したという点で、守秘義務違反に該当する可能性があります。
たとえば、過去にも市役所の職員が市民の戸籍情報を知人に漏らした事件で、懲戒免職処分や刑事告発に至った例があります。
今回のように、個人の名誉やプライバシーに深く関わる内容が政治的な場面で使用されたことは、より深刻な社会的影響を持ちうる問題です。
告発の行方と今後の捜査展開
遺族側は現在、県や関係機関に対して事実関係の調査と説明を求めており、一部では弁護士を通じて刑事告発を検討しているという情報もあります。
仮に守秘義務違反や名誉棄損といった法的責任が問われる場合、県職員のみならず、情報を受け取って公開した立花氏の責任も議論の対象となるかもしれません。
現時点では警察への正式な告発状の提出は確認されていませんが、今後の遺族側の動きや、県が設けた第三者調査委員会の調査結果によっては、刑事事件として扱われる可能性もあります。
いずれにしても、情報の扱いに対するモラルと法的責任の境界が社会全体で問われるケースとして、注視が必要です。
まとめ
今回の一件は、「個人情報の取り扱い」と「公務員としての責任」が改めて問われる事態となりました。
情報を渡した兵庫県職員は「運んだだけ」と語ったものの、結果的にその情報は政治家の街頭演説で公にされ、遺族や関係者に大きな精神的打撃を与えることになりました。
さらに、その情報が県の公式な文書ではなく、私的に入手されたものであった可能性が高いことから、「どこからが守秘義務に抵触するのか」「私的情報であれば提供してもいいのか」という社会的議論にも発展しています。
兵庫県の対応、職員への処分、そして立花氏の言動も含めて、多くの課題が浮き彫りとなったこの問題。今後の調査と処分の行方、そして情報管理の在り方が、全国の自治体でも注目されています。
なによりも大切なのは、「情報の正当な扱い」と「人の尊厳を守る姿勢」。その基本がいま、改めて問われています。
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