ニュースで報じられた広島県府中町での強盗殺人事件――SNSで知り合った若者たちに呼び出され、52歳の男性・里見誠さんが命を落としました。このニュースを目にしたとき、他人事とは思えず、強い衝撃を受けました。
「SNSでつながっただけで、命が奪われる時代になったのか…」と。
この記事では、報道で明らかになっている事実をもとに、事件の経緯や背景、そして私自身が考えたことをまとめました。同じような悲劇を繰り返さないために、少しでも誰かの“気づき”になればという思いで書いています。
はじめに
被害男性は東京・練馬区の52歳会社員 広島県府中町殺人事件https://t.co/f9fCYpwBqd#府中町 #広島県 #殺人事件 pic.twitter.com/pAUWuuNv27
— 中国新聞 (@ChugokuShimbun) April 17, 2025
広島県府中町で起きた衝撃の強盗殺人事件とは?
2025年6月、広島県府中町で10代の男女3人が関与したとされる強盗殺人事件が発生しました。被害者は東京都練馬区の会社員、里見誠さん(52)、SNSを通じて加害者たちと接点を持ち、呼び出された末に金銭を奪われ命を奪われるという、極めて凶悪で計画的な犯行でした。
この事件は、若年層による犯罪の深刻さと、SNSという日常的なツールが凶行のきっかけになり得るという現実を私たちに突きつけています。
全国で報じられたこのニュースに、多くの人々が驚きと怒りを覚えました。なぜ10代の若者が、このような重大事件を引き起こすに至ったのか。そして、どのようにして犯行が行われたのか——その背景を探ることは、今後の社会的な対策を考えるうえでも重要です。
SNSがつなげた加害者と被害者の関係性
加害者の3人は、SNSを通じて被害者と接点を持ちました。表向きは「遊び」や「相談」に乗るようなやりとりで信頼を得ていたようですが、実際には最初から金銭目的での接触であったとされています。
DM(ダイレクトメッセージ)を通じて呼び出し場所を設定し、人数を揃えて襲撃するという、非常に組織的かつ計画的な流れが明らかになってきています。
このような事件は、SNSが加害者と被害者を一瞬で結びつけてしまうという現代社会ならではの怖さを象徴しています。見知らぬ相手と気軽にやりとりができる一方で、そこには常にリスクが潜んでいるということを、今回の事件は強く警告しています。
1.事件の概要と経緯

被害者の人物像と事件当日の流れ
被害者東京都練馬区の会社員、里見誠さん(52)。
広島県府中町水分(みくまり)峡森林公園の管理事務所南側、男性が倒れているのが通行人によって発見され、警察と救急に通報が入りました。
現場は、JR広島駅から北東に4キロほど離れた山の中にあり、キャンプ場や展望台などの施設があり、深夜は人気が少ない場所です。
2025年4月12日夜、何らかの硬いもので頭や顔面を複数回殴られ、殺害されました。「助けて!」と叫ぶ声を聞いたという証言もあります。
加害者3人のプロフィールと逮捕の経緯
逮捕されたのは、愛媛県松山市に住む無職の18歳の女、そして広島県安芸郡に住む16歳の少年と18歳の会社員の男、合わせて10代の男女3人です。3人はSNSを通じてつながりを持ち、被害者の里見誠さんに接触したとみられています。
警察の発表によると、3人は最初から「金を奪う」ことを目的に里見さんを呼び出し、指定した場所で暴行を加えて財布などを奪った後、逃走しました。犯行後にはSNSのアカウントを削除したり、スマートフォンを処分しようとした形跡もあり、証拠を隠そうとしていたようです。
しかし、防犯カメラの映像や通信記録などの捜査によって足取りが特定され、事件発生から2ヶ月、少年二人が出頭したことにより全員が逮捕されました。
犯行には計画性が見られ、「未成年だからといって軽く扱えない」という声も多く上がっています。今後の捜査や裁判で、動機や関係性の詳細が明らかになっていくと思いますが、一人の命が失われたという事実は、決して変えることができません…。
被害者との接点はどこから始まったか?
加害者3人は、被害者とSNS上で接点を持ったとされています。使われていたのは、若者の間で人気の高い匿名性のあるメッセージアプリでした。プロフィール欄に「悩み相談」や「一緒に遊べる人募集」などと記載することで、不特定多数の相手と気軽にやりとりが始まる仕組みです。
加害者たちは、まず被害者の投稿に「大丈夫?」「話聞くよ」などのフレンドリーな言葉を投げかけ、信頼を築いていったとみられます。特に男性被害者に対し、女性加害者が中心となって親しげなやり取りを重ねたことで、被害者は警戒心を持たずに待ち合わせに応じてしまったと考えられています。
メッセージのやりとりから見える計画性
報道によると、警察は加害者3人のSNS上のやりとりや通話履歴を確認しているそうです。現時点では詳しい内容までは明らかになっていませんが、呼び出し場所や時間を示し合わせていたことから、ある程度の計画性があった可能性も考えられます。
このように、SNSのやりとりが事件の前段階で使われていたという事実は、私たちにとっても深く考えさせられるものがあります。気軽なつもりのメッセージが、時に重大な事件につながることがあるのだと、あらためて感じます。
同様のSNS犯罪の過去事例との比較
実は、このようにSNSを通じて被害者を呼び出し金銭を奪う事件は、ここ数年で増加傾向にあります。
たとえば2023年には、大阪府で少女2人が男性をSNSで誘い出して現金を奪うという事件が発生しました。こちらも「友達になりたい」という軽いやり取りが発端で、相手の警戒心を解く手法が酷似していました。
さらに、SNSを通じた「闇バイト」募集や「パパ活」詐欺のように、若者が加害者にも被害者にもなりうる構造が社会問題となっています。
今回の事件は、その極端な形として「命を奪う」という最悪の結果に至ったものであり、私たちはあらためてSNSの危険性と向き合わなければなりません。
3.未成年による凶悪事件の実態と背景
少年法と加害者の年齢の問題
日本では2022年に成人年齢が18歳に引き下げられましたが、少年法の適用は今も「20歳未満の者」が対象です。つまり、今回の加害者である18歳や16歳も、法的には「少年」として扱われることになります。
ただし、18歳・19歳の少年は「特定少年」として扱われ、重大な事件については原則として家庭裁判所ではなく検察に送られ、成人と同じように刑事裁判を受ける可能性があります。今回のような強盗殺人という重大犯罪では、実名報道や厳罰の対象となることも想定されます。
この事件では、計画性や残虐性が高く、成人と変わらない責任を問うべきだという世論が強まっています。
一方で、「更生の可能性を信じるべきか」「どこまで年齢を考慮すべきか」といった声もあり、少年法の見直しを求める議論が再燃しています。
法的には保護される年齢でも、SNSなどを通じて容易に情報を得られる現代の若者は、以前よりもずっと早く「大人の世界」に触れているのが現実です。
家庭環境や交友関係との関連性
今回の事件について、現時点では加害者たちの詳しい家庭環境や人間関係は明らかになっていません。ただ、過去の同様の事件では、家庭内で孤立していたり、学校や地域での人間関係に問題を抱えていた若者が関与するケースも少なくありません。
もちろん、そうした背景が必ずしも犯罪につながるわけではありませんが、「誰にも相談できない」「居場所がない」と感じてしまう若者が、間違った方向に進んでしまうリスクは確かにあると感じます。
社会が抱える若年層の闇と対策の必要性
未成年による凶悪犯罪は決して突発的なものではなく、背景には社会全体の構造的な問題が潜んでいます。たとえば、子ども食堂や居場所支援の不足、学校や家庭でのSOSの見逃し、ネットリテラシー教育の不十分さなど、多くの課題が未解決のままです。
加害者を厳しく罰するだけでなく、「そもそもなぜそこに至ったのか」を冷静に見つめ直す必要があります。行政や教育現場、地域社会が連携し、子どもたちが孤立しない仕組みを整えること。そして、子ども自身が「助けて」と言いやすい環境を作ることこそが、同じような事件の再発防止につながります。
まとめ
今回の広島県府中町で発生した強盗殺人事件は、SNSという現代のツールを利用し、10代の若者が計画的に命を奪うという極めて深刻なものでした。
加害者と被害者が出会ったきっかけは、誰もが日常的に使うメッセージアプリ。つまり、誰にでも起こり得る「つながり」が、取り返しのつかない悲劇に発展したのです。
事件の背景には、少年法の制度的な課題、家庭環境の不安定さ、SNSリテラシーの不足、そして社会的孤立といった多くの問題が絡み合っていました。
未成年という年齢に甘えず、責任をどう取るべきかという議論と同時に、なぜそのような行動に至ったのかという「根本」にも向き合う必要があります。
私たち大人ができることは、こうした事件を「一過性の悲劇」として済ませるのではなく、同じような危険が身近にも潜んでいるという現実を見据え、次の犠牲者を生まないための仕組みをつくることです。子どもたちが「つながり」を安心して築ける社会こそ、いま求められています。
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