阪元裕吾監督の『ベイビーわるきゅーれ』が快進撃を続けている。アクション苦手な方も楽しめるエンターテイメントの映画です。
まずは第1作のあらすじやキャスト、評価を紹介しています。勝手な考察も★
あらすじ
高校生殺し屋の杉本ちさとと深川まひろは卒業したら自立するよう組織のサポート役である須佐野から命じられる。アパートは組織が用意してくれるが、二人で共同生活をしてアルバイトをしなくてはならなくなった。
「お金に困ってないのに、なんで働かなきゃならないの?」と言いながらも、ちさとはアルバイトに精を出している。一方、コミュ障のまひろは面接を何度受けても落ちてしまう。見かねたちさとは、一緒なら怖くないとメイドカフェのバイトの面接に二人で行くことになったが。「ご主人様、いらっしゃいませ」とメイドになり切り接客をし、バイト仲間と打ち解けるちさとに対して、まひろは溶け込めず疎外感を味わい、ちさとに悪態をついてしまい、二人は険悪な雰囲気に・・・
冗談が通じない凶悪やくざの浜岡一平は、娘のひまりを使い手下を殺した犯人を捜していた。ひまりは一見頭が悪そうだが、本当は策略に長けていいて鼻が利く。死体に残った臭いで殺し屋のちさとを突き止め、銃を奪う。
やくざの浜岡と息子のかずきは、偶然、ちさとが勤めるメイドカフェにやってきた。冗談が通じない浜岡が暴挙に出た時、ちさとは二人を殺してしう。それを知ったひまりは復讐に出て・・・壮絶な戦いが始まる。
監督&キャスト
監督・脚本:阪元裕吾 「ファミリー☆ウォーズ」「ある用務員」などアクション・バイオレンス映画を得意とする。『ベイビーわるきゅーれ』はシリーズ通して監督・脚本を務めている。阪元ワールドがさく裂!!
アクション監督:園村健介 監督作品に「BAD CITY」(2023年)「HYDRA」(2019年)。アクションコーディネーターとして「葛城事件」(2016年)「64前編/後編」 (2016年)「ディストラクション・ベイビーズ」 (2016年)「図書館戦争-THE LAST MISSION-」 (2015年)など多くの作品に参加している。
2021年7月30日劇場公開
役名 | キャスト | |
杉本ちさと | 高校生殺し屋 | 髙石あかり |
深川まひろ | 高校生殺し屋 | 伊澤彩織 |
須佐野 | 組織の二人のサポート担当 | 飛永翼 |
田坂さん | 組織の清掃担当 | 水石亜飛夢 |
浜岡一平 | 冗談が通じないやくざの親分 | 本宮泰風 |
浜岡ひまり | 一平の娘 | 秋谷百音 |
浜岡かずき | 一平の息子 | うえきやサトシ |
渡辺 | ひまりの側近 暴力担当 | 三元雅芸 |
姫子 | メイドカフェの先輩店員 | 福島雪菜 |
主題歌 STAY GLOW「KYONO feat.TAKUMA(10-FEET)」
KYONOの「STAY GLOW」が映像に活気を与えてますね。下の動画は10-FEETのTAKUMAとフィーチャリングしたものですね。わくわくする楽曲で「ベイビーわるきゅーれ」の世界観を表しています。
ベイビーわるきゅーれ評価
あまり期待せずに観てハマった。面白かったという感想が多く見られますね。
阪元裕吾監督は『ハングマンズ・ノット』でカナザワ映画祭2017の「期待の新人監督」賞を受賞していますが、商業映画は『ファミリー☆ウォーズ』でデビューなので、まだまだ低予算のインディーズ感が満載で、物語云々というより見せたいものを見せる、楽しませたいというエネルギーを感じる映画です。
気楽に楽しみたいという方にはハマるようですね。興行的に成功しているのもうなづけます。
高い評価
- とにかく面白い!!やりたいことがまっずぐに伝わる。インディーズ感もいい。
- 独特な世界観と全体に漂うユルさがクセになる。
- 女の子達のアクション映画だと思って舐めていたらとんでもない!伊澤彩織のアクションがすごい。
低い評価
- 全体的にアニメのようだった。
- まひろの声が聞こえない。演技が今一つ。ちさとのガンアクションが雑。
- 同監督の「ある用務員」の方がよかった。
考察
この映画の魅力は何といっても深川はまひろ役の伊澤彩織のアクション。こずはこちらをご覧あれ!!
こんなキレッキレのアクションをする可愛い子がいたら、映画作りたくなりますよね。スタントパフォーマーとしては実力を認められているけれど、演技はまだまだ素人。彼女をどのようなキャラクターに仕立てるかで映画の骨格ができているような気がする。
単独では高校生役はちょっと難しいが、ちさと役の高石あかりとバディを組ませることで成り立っている。まあ、高校生といっても制服を着てるだけなんで、高石あかりに制服を着せたかっただけかも。
前作『ある用務員』では、人物の掘り下げ方がいまいちだったり、登場人物が多すぎて消化不良だったのを、今作ではあっさり二人に絞って、社会不適合の二人のゆる~い日常と情け容赦ないプロの殺し屋としてのアクションの対比の面白さで成功している。
カメラワークも二人の部屋では、カメラを固定して日常を覗き見ているような感覚があり、アクションシーンの動きのある映像と対比している。
なぜ女子高校生が殺し屋をしているのか?殺し屋組織とは何なのか?ターゲットはなぜ殺されなければならなかったのか?なんてことはすべてすっ飛ばして見せたことも、『ある用務員』のようにバックグラウンドを作ったのはいいが、浅くて興ざめすることもなく成功している。
それでいて、やくざ浜岡一平の理不尽さ、メイドカフェの先輩バイト姫子の「コンビニで1000円も使うなんて豪勢」と驚く苦学生。死体処理も組織の清掃係が事務的に行うなど、まるで日常かのような世界観の中の不条理が笑いと共に散りばめられているのが、あり得ないのにあり得そうに思えてきてしまうおかしさがある。殺し屋の話を客がいる昼間の喫茶店で話しているところもね。
アクションやバイオレンス好きの観客以外を取り込むことに成功したのもヒットの要因でしょう。
阪元監督のインタビューで、「高校演劇ではアクションやバイオレンス物は評価が低く見られていた。日常を取り入れることで市民権を得ることができる」みたいなことを言っていたと思うので、興行的に成功して良かったなと☺
まあ、なんだかんだの面倒くさいところはサラッと流して、あっさりした殺害シーンと濃厚なアクションシーンで、アクションやバイオレンスが好きな観客以外にもアピールできている。エンターテイメントとしてただ楽しむのがミソですね。
高校演劇のころからずっと信じてた笑いやアクション、ひいてはお客さんを楽しめることを信じてよかったなと最近感じています。だからあれこれ手を出さず、自分の信じたことをずーっとやり続ける。
阪元裕吾インタビューより
阪元裕吾監督の作品は好き嫌いが分かれるところですが、『ベイビーわるきゅーれ』はエンタメアクションとしてだれでも楽しめる作品になっていると思います。続編やドラマも制作されていて、これからも楽しみですね。
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