Mrs. GREEN APPLEの大森元貴さんが出演したNHK連続テレビ小説「あんぱん」で、音楽家・いせたくや役を演じたことは大きな話題となりました。
特に注目されたのは、脚本にはなかった数々のアドリブ。
中でも「2回離婚しました!」と明るく告白するシーンはSNSで瞬く間に広がり、多くの視聴者を笑顔にしました。
本記事では、大森さんがどのようにアドリブを取り入れ、役柄を自分らしく育てていったのか、その裏話や名場面を振り返ります。
はじめに
朝ドラ「あんぱん」と大森元貴の出演
2025年上半期に放送されたNHK連続テレビ小説「あんぱん」は、国民的アニメ「アンパンマン」を生み出したやなせたかし夫妻をモデルにした物語です。
その中で注目を集めたのが、Mrs. GREEN APPLEの大森元貴さん。音楽家・いせたくや役で登場し、主演の今田美桜さんや北村匠海さんと共演しました。
バンド活動で知られる大森さんが朝ドラに出演したこと自体が話題になりましたが、さらに視聴者を驚かせたのは、演技の自然さと存在感でした。
話題を呼んだアドリブ演技の魅力
いせたくやは台本上では「愚直で熱量のある青年」というシンプルな役柄でしたが、大森さんは演技を通してコミカルな一面を加えていきました。
その結果、脚本にはなかった場面でも笑いが生まれ、物語に軽やかさを与えました。
特に「2回離婚しました!」と告白するシーンはSNSで拡散され、「大森元貴のアドリブ最高」「役と本人が重なって見える」と大きな反響を呼びました。
大森さんの自由な発想と表現力が、ドラマ全体の魅力をさらに引き上げたのです。
1.いせたくや役と脚本のギャップ
台本にない役柄のシンプルさ
大森元貴さんが演じたいせたくやは、当初「愚直に喋る青年」「芝居と音楽がとにかく好き」という設定しかなく、脚本には大きな特徴や笑いの要素は含まれていませんでした。
実直でまっすぐな人物像が基盤となっており、視聴者を笑わせるキャラクターではなかったのです。
そのため、放送を見た人々が「意外とコミカル」と感じたのは、大森さん自身の演技による部分が大きいといえます。
演技を通じて生まれたコミカルさ
撮影が進むにつれて、大森さんは役に少しずつ独自の色を加えていきました。
セリフの間の取り方や動きに自然とユーモアがにじみ出て、視聴者にクスッと笑いを与える場面が増えていきました。
例えば、真剣な場面であっても声のトーンを工夫したり、手振り身振りを大きくすることで、人物像がより親しみやすい存在に変化。
こうした積み重ねが「いせたくや=コミカルな人物」という印象につながったのです。
脚本家・中園ミホとの相互作用
大森さんの演技を受けて、脚本家の中園ミホさんも変化を見せました。
当初は真面目で直球な台詞が中心でしたが、大森さんの表現を見てからは、コミカルなやり取りが自然に取り入れられるように。
大森さんが作り出すキャラクター像に脚本が寄り添う形で、物語が柔らかさと幅を広げていったのです。
役者の表現が脚本に反映されるこの流れは、朝ドラならではのライブ感を象徴するエピソードといえるでしょう。
2.離婚報告シーンの裏側
「2回離婚しました!」のインパクト
「あんぱん」で最も話題になった場面の一つが、いせたくやが「2回離婚しました!」とあっけらかんに告白するシーンです。
視聴者は突然の展開に驚きながらも、その明るい言い方に思わず笑ってしまいました。
この一言はSNSで瞬く間に広がり、「まさか朝ドラでこんなセリフが飛び出すとは」と多くのコメントが寄せられました。深刻さよりもユーモアが勝る演じ方が、大森さんらしい表現として受け止められたのです。
Wピースや即興セリフの誕生
このシーンで大森さんが見せたWピースのポーズや、「そういうのは言っちゃダメよ」といったセリフは、すべてアドリブでした。
台本には一切書かれていなかったものの、現場でのインスピレーションから生まれた表現でした。
彼の動きや言葉が足されることで、ただの報告シーンが一転、忘れられない名場面に変わりました。共演者も思わず吹き出しそうになるほど、現場を和ませた瞬間でもあったといいます。
下品にならないユーモアの工夫
大森さんは自由に演じながらも、「下品にならないこと」を常に意識していたと明かしています。
アドリブは好き勝手に入れるのではなく、物語に沿いながらキャラクターの人柄を壊さないように工夫されていました。
そのため、離婚という重いテーマであっても、笑いと温かみを両立させることができたのです。
このバランス感覚こそが、音楽活動で培った表現力の一端でもあり、彼の芝居を特別なものにしていました。
3.共演者との関係性
北村匠海が支えた受けの芝居
いせたくや役を演じた大森元貴さんの自由な演技が成立した背景には、北村匠海さんの存在がありました。
柳井嵩を演じた北村さんは、相手の表現をしっかりと受け止めて反応する「受けの芝居」が得意で、大森さんの予測不能なアドリブを自然に受け入れていました。
離婚報告シーンでも、大森さんが思いつきで加えた動きやセリフに北村さんが真顔で返すことで、シーン全体に説得力が生まれたのです。
アドリブを引き立てた共演の呼吸
撮影現場では、大森さんと北村さんの呼吸の良さが際立っていました。
大森さんがユーモラスに突き抜けた表現を見せると、北村さんは冷静に反応し、コントラストがより鮮明に。
観客から見ても二人の掛け合いは自然で、あたかも長年の友人同士のような雰囲気を感じさせました。
実際に、スタッフからも「現場が明るくなる二人」と評されるほど、空気感の調和がドラマの魅力につながっていたといいます。
役柄と大森元貴本人の重なり
いせたくやは「熱量があり、芝居と音楽を心から愛する青年」という設定でしたが、この人物像は大森元貴さん自身と重なります。
音楽活動でもまっすぐな姿勢を貫き、表現を楽しむ大森さんの人柄が、そのままキャラクターに投影されていきました。
北村さんをはじめとする共演者がその姿を受け止めることで、役柄と本人が一体化していく様子が画面に映し出され、視聴者に「これは大森元貴そのもの」と感じさせる結果となったのです。
まとめ
大森元貴さんが演じたいせたくやは、もともと「愚直で熱量のある青年」というシンプルな設計でしたが、現場でのアドリブと細かな演技の工夫によってコミカルさが立ち上がりました。
結果として脚本側もその表現に寄り添い、キャラクターは大森さん本人の人柄と重なる魅力的な存在へと進化しました。
象徴的だったのが「2回離婚しました!」の場面。Wピースや即興のセリフで重い題材に軽やかな笑いを添えつつ、下品にならない線引きを徹底したことで、視聴者に“明るい余韻”を残しました。
ここには、物語を損なわずに彩るバランス感覚がはっきり表れています。
さらに、北村匠海さんの“受けの芝居”がアドリブを受け止め、二人の呼吸が場面の説得力を底上げしました。
演者同士の信頼と相互作用が、ドラマ全体の空気を和らげ、記憶に残るシーンを次々と生み出したと言えるでしょう。
総じて、大森さんのアドリブは「好き勝手」ではなく、物語・役柄・共演者への敬意に根ざしたクリエイションでした。
いせたくやという役を通じて、音楽家・表現者としての幅広さと柔軟さが、朝ドラというフォーマットの中で鮮やかに示されたのです。
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