NHK朝ドラ『あんぱん』では、キャストたちが一気に年齢を重ねる“老けメイク”のシーンが放送され、大きな話題を呼んでいます。
SNSでは「本気を感じる」「進化している」と称賛の声がある一方、「顔だけ若い」「急に老けすぎ」といった違和感も噴出。
過去の朝ドラ作品と比較しても賛否が分かれるこの表現手法について、視聴者の反応や違和感の理由を掘り下げてみました。
はじめに
朝ドラ『あんぱん』で話題となった老けメイク
朝ドラは毎回欠かさず見ているのですが、『あんぱん』は特に“老けメイク”が話題になっていて、私もつい注目してしまいました。
この作品では、主要キャストが一気に年齢を重ねる回があり、髪型や衣装、立ち居振る舞いまで「加齢」を表す演出が際立っていました。
中でものぶの外見変化は印象的で、髪のボリュームや色味、落ち着いた服装によって“見た目の年代”が上がったように感じた一方、肌はツヤが残っていて若々しく見える場面もあり、SNSなどでも大きな話題に。
のちにシミの描写が増えたことで「急に老けた」という声もありました。
逆に、役者さんの表情を活かすためにシワを控えめにして、シミや質感で年齢を出す“NHK流の老けメイク”を評価する意見も。「ちゃんと年を取って見える!」と肯定的な反応も見られました。
視聴者が感じた違和感と称賛の声
視聴者の反応は二つに分かれました。
違和感として多かったのは、①“ツヤ肌のまま服装だけ老けたように見える”というギャップ、②「数年後」というナレーション直後に見た目が急に変わって段階的な変化がないこと、③首や姿勢といった“顔以外の年齢サイン”との不釣り合いです。
一方で称賛の声も多く、①実在モデルを思わせる所作や姿勢、②50代という設定に寄せた肌の質感づくり、③主演が晩年まで同じ役を演じ切る説得力などが評価されました。
SNSでも「本気の老けメイクだ」「進化している」といった感嘆の声が上がる一方、「老けすぎて不自然」「若すぎる場面もある」といった指摘もありました。
こうした賛否は、“自然さ”と“演技を活かすメイク”とのせめぎ合いから生じているように思います。私自身も「もう少し段階を踏んで見せてほしいな」と思う一方で、「表情がきちんと生きているのはさすが!」と感じました。
1.SNS・メディアでの視聴者反応

「老けメイクに本気を感じる」との評価
SNSを見ていると、「今回は年齢の重ね方が丁寧」「50代設定の肌感が伝わってきた」といった好意的な意見が多くありました。
のぶの額や頬に見える薄い色ムラやシミの重なり、落ち着いた口紅のトーンなど、小さな工夫が“リアル”に感じられるとの声です。
屋外や逆光、室内といった場面の違いでも質感がブレにくい時は「メイクと照明のチームワークが上手い」との評価もありました。
また、立ち上がるときに少し間を置いたり、歩幅が狭くなったりといった所作が加わることで「本当に年を取ったみたい」と感じた視聴者も多かったようです。私自身も、ふとした仕草に“年齢の重み”を感じて胸がじーんとしました。
「橋本環奈の歳をとらないヒロイン」との比較
一部のメディアやファンは、過去の作品で「ヒロインがあまり年を取らないまま物語が進んだ」と感じた例を引き合いに出し、『あんぱん』の加齢描写を高く評価しています。
特に、①ヘアカラーや服装を少しずつ変えて段階を踏む、②生活感を積み重ねて疲れが表情や姿勢ににじむ、③物語の転機と外見の変化がきちんと連動する、という点が「納得感がある」と受け止められていました。
過去作と比べると、「今回は自然で、物語に入り込みやすい」という声もありました。私も「ああ、ちゃんと年月が流れているんだな」と共感できました。
「ツヤ肌や急な変化」に対する違和感の指摘
ただし、「ここはちょっと不自然かも…」という声も少なくありません。
特に多かったのは、(A)髪型や服装は年齢相応なのに肌が若々しすぎる場面、(B)「数年後」のナレーション直後にシミが急に増えてしまい、前日との落差が大きすぎる場面です。さらに、首や手の質感など年齢が出やすい部分があまり作り込まれていないため、顔だけ若く見えることもありました。
視聴者からは「段階的な変化が欲しい」という建設的な意見も出ていて、「春は薄め、夏は日焼けで濃く、冬は乾燥感を出す」といった工夫があれば自然に感じられるのでは、という声も。私自身も「確かに急にシミが増えるとびっくりするなぁ」と思いました。
2.過去の朝ドラにおける老けメイクの事例
『花子とアン』『おしん』に見る課題と工夫

『花子とアン』では、空襲の後など人生の節目で色ムラやくすみを加える老けメイクが施され、「その瞬間」は分かりやすかったのですが、その後の回では変化が薄れ「年を取り続ける実感が弱い」という声も聞かれました。
髪の分け目や白髪の量、首元のたるみなど、少しずつ積み重ねる要素が不足していたように感じます。

一方で『おしん』は、老年期を別の俳優が演じる方法を取りました。
深いシワや頬の落ち感などで説得力は抜群で「別人だけど重みがある」と好意的に受け止められた一方で、俳優が変わることで若い頃からの仕草や目線の癖が途切れ、感情移入がしにくいという声もありました。
やはり「場面ごとの見せ場」と「日々の積み重ね」の両立が大切なのだと感じます。
『エール』『らんまん』の丁寧な積み上げ
『エール』や『らんまん』では、同じ役者が晩年まで演じ切るスタイルを取りました。


ここで光っていたのは、①立ち上がるときにためらいが生まれる、歩幅が小さくなるなどの所作の変化、②根元に白髪が少しずつ混じる髪や、衣服の生地の落ち感、③春夏秋冬で肌に変化を加える細かな工夫です。
たとえば庭仕事のあとに頬が赤らむ、冬のシーンで乾燥を少し強調するなど、ほんの小さな調整の積み重ねがありました。
その結果、「昨日より少し年を取った」と自然に受け止められる連続性が生まれました。特殊メイクに頼らなくても、生活の痕跡を刻むような演出が共感を呼び続けたのです。私も見ていて「自然に時が流れている」と安心して物語に入り込めました。
3.『あんぱん』で違和感が生まれる理由
「あんぱん」では、やなせたかしさんの戦争体験が大きなウェイトを締めています。
また、「アンパンマン」が夜に出たのは、やなせたかしさんが60歳を過ぎてからになります。そのため戦後から老齢期まで短い期間で描かれることになったのも、急に老けていく違和感につながっていたと思います。
年齢設定と見た目のギャップ
のぶや嵩の年齢は50代前後という設定ですが、映像で見ると必ずしも一致していない印象がありました。
髪色や服装は落ち着いているのに、肌はツヤが強くてハリも残っているため「若すぎる」と映る場面がありました。
逆に数年後のシーンでシミが急に増えると「一晩で老け込んだ」ように見え、時間の積み重ねを感じにくかったのです。私自身も「え、昨日まで若々しかったのに!?」とびっくりしてしまいました。
時間経過の演出不足と映像技術の影響
『あんぱん』では「数年後」というナレーションが入るだけで、段階的に変わる演出が少ないため、唐突感が強くなっていました。
髪の白髪が少しずつ増える、歩き方が重くなるなどの小さな変化があれば「時間が流れた」と自然に受け止められたはずです。
また、高画質カメラや照明の当たり方によって、肌があるときは若々しく、またあるときは老けて見えるといった揺らぎもありました。
特にアップや逆光の場面では「顔は若いけど手や首は年相応」というアンバランスさが目立っていました。
ナチュラルメイクと特殊メイクの中間表現の難しさ
老けメイクには、特殊メイクでシワやたるみを強調する方法と、自然な色味や質感で年齢を表す方法があります。
『あんぱん』は後者を選んだため、表情が活きるという利点がある一方で、「若作りっぽい」と指摘されやすい難しさもありました。
シワを強調しすぎれば表情が硬くなり、抑えすぎると違和感が残る…。その中間を取るのは本当に難しいことだと思います。シミだけを急に増やすと「顔はツヤツヤなのに、斑点だけ増えた」という不自然さが際立ってしまいます。
例えば、目尻の小さなシワを少しずつ濃くする、首筋やフェイスラインを緩めるなど、複数の要素を段階的に組み合わせれば、もっと自然な加齢表現になったのではないでしょうか。私自身も「惜しいなぁ…」と感じた部分でした。
4.初回の老けメイクが示した“終着点”

『あんぱん』では、実は第1回放送からノブと高の老けメイクが披露されていました。これは単なる演出ではなく、「物語はこの時代、この姿へと至る」というゴールを示す重要な伏線だったのです。ドラマは残り2週間をかけて、あの初回の姿にたどり着く過程を描いていくことになります。
視聴者からは「最初に老けメイクを出した意味がやっと分かってきた」「ゴールを知った上で物語を追うと切なさが増す」といった声も。時間の流れをどう積み重ね、初回で見せた姿に説得力を持たせられるのか――終盤の見どころはまさにここにあるでしょう。
まとめ
朝ドラ『あんぱん』の老けメイクは、「本気を感じる」「進化している」と高く評価される一方で、「急に老けた」「顔だけ若い」といった違和感も少なくありませんでした。
過去の『花子とアン』『おしん』『エール』『らんまん』と比べると、老けメイクには“瞬間の説得力”と“継続する自然さ”の両方が必要だと感じます。
特に『あんぱん』では、年齢設定と見た目のギャップ、時間経過の唐突さ、ナチュラルと特殊メイクの間の表現の難しさが課題になっていました。
今後は、段階的な変化を演出したり、照明や所作と組み合わせたりすることで、もっと自然に「人生を重ねる姿」を描けるはずです。
老けメイクはただ見た目を変えるだけではなく、その人の歩んだ時間や物語を感じさせる大切な要素。『
あんぱん』の挑戦は、その難しさと可能性を改めて教えてくれたように思います。視聴者としても、これからの朝ドラでの表現の進化に期待したいです!
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