AEDで女性が助けられない!デマと心理的ハードルをどう克服するか?

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「倒れている女性にAEDを使って救命したら、後になってわいせつ罪で訴えられた」ネットでAEDを検索すると出てくるこの事例は、警察に問い合わせるとそのような事例はないことが分かりデマであることが実証されました。

しかし、実際にAEDが使用されないで後遺症が残った事例があるそうです。

人命救助よりも、デマは心理的な躊躇によって緊急の救命が受けられなかったら、もし自分だったらどうでしょう?

正確な女性へのAEDの使用方法を学ぶことが大事ですね。

目次

AEDが使われず意識障害が残った彩さん

3月7日のYahooニュース(withnews)に、下のような記事が掲載されました。

ゴールまで1km、倒れた女性 使われなかったAED…「抵抗なくなる社会に」考え続ける家族

ゴールまで残り1km、ひとりの女性ランナーが急に倒れました。心臓が止まっていて、すぐにAED(自動体外式除細動器)が運ばれてきましたが、使われることはありませんでした。命は助かりましたが意識障害が残り、女性は寝たきりの生活を送ります。家族は「抵抗なくAEDが使える社会にしていくにはどうしたらいいのか」と考え続けています。(朝日新聞withnews編集部・河原夏季)

withnewsより

マラソンを夫婦で楽しんでいた柘植(つげ)知彦さん夫婦ですが、当日は夫が病気で妻の彩さんが一人で参加していたそうです。

ゴールまであと1キロのところで突然の心臓停止で倒れてしまいます。当時、彩さんには持病もなく39歳という若さです。

異変に気づいた沿道の女性がすぐに心臓マッサージを始め、数分後には大会の救護車も到着しました。

救護車にはADEが搭載されて持ち出されもしたのに、結局使われませんでした。

使わなかった理由を「駆けつけた救護員が男性で、倒れていたのが女性だったから使われなかった」と大会の主催者は説明したそうです。

彩さんが倒れて約20分後、救急車が到着し、救急隊によってAEDが使われ、彩さんは病院へ搬送されました。沿道にいた女性は、救急隊が来るまでの間、1人で胸を押し続けました。

彩さんの心停止から約50分後に心拍が戻りましたが、脳の広い範囲に酸素が届かず、意識障害が残りました。

50歳になった現在、まばたきで意思疎通ができるまで回復しましたが、体はほとんど動かせず、在宅で治療を続けています。

娘・奏恵(かなえ)さんの葛藤

当時4歳だった娘の奏恵(かなえ)は、現在15歳です。

小学校の頃は、「命を救うために絶対AEDを使う」と心に決めていたそうですが、中学生になっ心肺蘇生法を受けた際に、母親の事が頭に浮かんで泣いてしまったそうです。

「女性であったためにAEDが使われなかった」母親のことを隠していたわけではないそうですが、やはり問われることには苦痛があったそうです。

小さい頃の出来事とはいえ、10年以上も寝たきりの母親を目の当たりにしているのですから当然ですね。

中学3年生になった今、自分にできる具体的な行動を考えるなかで「いざ救命現場に遭遇したときに自分が使えるかどうか」、悩むようになったといいます。

しかし一方で、実際に自分が心臓マッサージやAEDを使うことが出来なくても 、できることはあると語ります。

「AEDを持ってきたり、救急車や応援を呼んできたり、無責任だけど誰かに『使ってほしい』と伝えたりすることはできる。AEDを使う覚悟は普段から持っていたいけど、まずは自分にできる行動をすることが大事かなと思い始めました」

AEDは「魔法の道具」

医療従事者ではない一般の人が、突然人が倒れている現場に遭遇した時、何ができるか?

夫、柘植智彦さんは、生物科学を専門とし、京都大学化学研究所の准教授で、講師として高校の授業ではAEDについて、妻や娘のことも語っています。

AEDを人間が作り出した「魔法の道具」と表現するのだそうです。

「AEDは、何もしなかったらまず生き返ることはない人に対して、こちら側の世界に戻してあげられる科学が生んだ『魔法の道具』です。『肌に触れていいのか?』『失敗してしまったら?』とためらってしまうと、その分『魔法』が効く時間を縮めてしまうように感じます」

現在、心肺蘇生法については中学・高校の学習指導要領に盛り込まれていて、日本AED財団などは小学校の学習指導要領にも採り入れるよう求めています。

「例えば、小学校高学年から高校生まで9年間、児童・生徒に心肺蘇生講習や、命の大切さを教える授業を毎年続けたら、蘇生が必要なときに、性別に関わらず『AEDを使って!』『AEDを使おう!』と叫べる世代が現れます」

柘植さんは、教育によって誰もが躊躇なくAEDを使用して、助けの手を差し伸べられる社会を目指しています。

AEDの男女使用率

総務省消防庁によると、心臓が原因で倒れた人のうち、通行人らに目撃された例は2023年に2万8354人。

そのうち、AEDの電気ショックを受けたのは1407人で約5%にとどまっています。

熊本大学などが2005~2020年に心停止をし、市民に目撃された約35万人(平均年齢78歳、女性38.5%)を対象に調査(※)した結果、AEDの電気ショックを受けた割合は、男性が3.2%で、女性が1.5%でした。15~49歳の男女では、男性7.0%に対し、女性は3.8%

心肺蘇生を受けた割合も、男性56.8%に対して、女性は53.5%でした。

AEDの女性への使用率は、男性の半分しかありませんでした。

デマと心理的ハードル

「倒れている女性にAEDを使って救命したら、後になってわいせつ罪で訴えられた」とネットで見られる事例は、警察によるとそのような事例はないとデマであることが分かりました。

けれど、今回のニュースのコメントを見ると、

救命のためとはいえ、男性が見ず知らずの女性の服を脱がせ、AEDを装着するのは心理的なハードルは高いし、一般人が心肺停止がどうか判断するのは難しい。 なぜなら何もしなければ、強制わいせつに問われるリスクはゼロだから。

罪になるならないの話じゃないんだよね。 痴漢とかもそうだけど事実じゃないにしろ訴えられたことが問題なんですよ。 訴えられたら社会的信用を完全に回復するのは難しい。

以上のようなコメントに1万以上のいいねが付いています。

AEDの正しい使い方を学ぶ

心臓が止まってしまった場合、AEDによる電気ショックが1分遅れるごとに救命率は約10%ずつ低下するといわれています。

このニュースの事例では、心臓マッサージという重労働を救急車が到着するまで女性一人が行っています。

また、AEDを持ってきた救護者が男性でしたが、AEDはあるのですから女性が行うことも出来たように思います。

私自身、何度か休憩救護の講習を受けたことがあります。

その場合、まず肩を叩いて意識があるか確認し、大きな声でそばにいる人に救急車の手配を頼みます。

それから、顔を横に向けて心臓マッサージを開始し、AEDがあれば措置を行うように習いました。

AEDは誰でも使用できるように音声で使用方法を支持します。パッドを貼るとAEDが自動で心電図を解析し、電気ショックが必要かどうかを判断してくれます。

講習を受けたことがあるとしても、実際には、突然の出来事に気が動転してしまうかもしません。

娘の彩さんのように、その時、自分ができることをする。そう有りたいと思います。

助けを求める。救急車を呼んだり、AEDを探して持ってくる。

服をすべて脱がさなくても、下着をずらしてパットを素肌に貼ることができる。

服を脱がせた場合でも、パッドを素肌に貼った後なら上からタオルや服をかけて隠してもいい。

救助者が何人もいる場合は人垣を作って周囲の目からかくす。

救助の様子をスマートフォンで撮影しようとする人に声をかけてやめるように促す。

誰でもが救助する側、される側になる可能性があります。

せっかく科学が発達して、救急車が到着するまで命をつなぐ方法があるのですから、「魔法の道具」を、ためらわず使用したいし、されたいと思います。

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