NHK朝ドラ『ばけばけ』の第1週サブタイトルは「ブシムスメ、ウラメシ。」。
一見するとユーモラスな言葉遊びのようですが、実はヒロインの出自や作品全体のテーマである「怪談」と深くつながっています。
本記事では、このサブタイトルがどのような意味を持ち、物語にどんな伏線を張っているのかをわかりやすく解説します。
『ばけばけ』全体のあらすじ・設定概要
NHK連続テレビ小説『ばけばけ』は、明治時代を舞台に、没落した士族の娘・松野トキが主人公となる物語です。
幼い頃から父の失踪や貧困に直面し、家計を支えるために機織り工場で働き始めるトキは、武士の誇りを胸に抱えながらも、時代の波に翻弄されていきます。
彼女が出会うのは、異国からやってきた英語教師・ヘブン。やがてふたりは国境や身分を越えた結婚を選び、周囲の反発や困難を乗り越えながら、新たな家庭を築いていきます。
松江での新婚生活は決して豊かではなく、むしろ質素で厳しいものでしたが、トキが語る怪談や民話はヘブンの心を惹きつけ、彼の創作活動の大きな糧となっていきます。
やがて夫婦は東京へと移り住み、ヘブンは大学で教鞭を執りながら作家としての名を高めていきます。
一方のトキは、慣れない都会暮らしの中で夫を支え続け、日本人女性として異文化のはざまに立ち、時代の変化を肌で感じながら生きていくことになります。
しかし、二人の時間は永遠ではありません。ヘブンは比較的若くして世を去り、残されたトキは夫の著作や遺志を守り続けることを選びます。
愛する人との出会いと別れ、時代に翻弄されながらも懸命に歩んだヒロインの生涯は、「化ける=変わりゆく」時代の中で生き抜く力強さそのものを象徴しています。
初期のあらすじ(各回・第1週~第2週あたり)
『ばけばけ』第1週「ブシムスメ、ウラメシ。」あらすじ(9月29日~10月3日)
「この世はうらめしい。けど、すばらしい。」――物語の冒頭を彩る言葉は、ヒロイン松野トキの人生を象徴しています。没落士族の娘として生まれた彼女は、やがて外国人の夫・ヘブンと出会い、怪談を愛しながら日々を共に歩んでいくことになります。その波乱の人生の第一歩が、第1週「ブシムスメ、ウラメシ。」で描かれます。
時は明治のはじめ。まだ幼いトキ(福地美晴)は、父・司之介(岡部たかし)、母・フミ(池脇千鶴)、祖父・勘右衛門(小日向文世)とともに、世を恨みながらも貧しい生活を送っていました。
武士の世が終わったにもかかわらず、誇りに縛られて働くことを拒む家族は、暮らしを立て直すことができずにいたのです。そんな中で司之介は「娘にはもっと良い暮らしをさせたい」と強く願い、一大決心を固めます。
ある日、小学校で「将来の夢」を問われたトキは、親友の野津サワ(小山愛珠)の答えに影響され、自らも「教師になりたい」と声に出します。
これまで親戚の雨清水タエ(北川景子)から茶道や礼儀作法を学んできたトキでしたが、勉強のために稽古をやめたいと申し出ると、タエからは「武士の娘が働く必要などない」と一蹴されてしまいます。

理想を否定され落ち込むトキの前に現れたのは、タエの夫・傳(堤真一)でした。彼の言葉が、トキの胸に新しい希望の火をともしていきます。
しかし、家族の暮らしはさらに苦しくなっていきます。司之介が始めた商いはうまくいかず、やがて彼は姿を消してしまうのです。
父を失った喪失感と、家族を支える責任が幼いトキの肩に重くのしかかります。生活を守るために、彼女は機織り工場で働き始めることを決意しました。厳しい労働に直面しながらも、トキはただ「生き抜く」ために必死に働き、少女から大人へと一歩を踏み出していきます。
こうして第1週では、父の失踪と自らの労働という大きな転機を通じて、ヒロイン・トキが初めて時代の厳しさと向き合う姿が描かれました。
「武士の娘=ブシムスメ」と「うらめしや」の言葉をかけたサブタイトルは、誇りと恨みを胸に抱きながらも、必死に前を向こうとする彼女の姿を象徴しています。これから始まる長い物語に向けて、波乱の幕が静かに、しかし力強く上がったのです。
第1週「ブシムスメ、ウラメシ。」
回 | 放送日 | あらすじ |
---|---|---|
第1回(9月29日) | 月曜 | 明治初期。小学生の松野トキは、父・司之介、母・フミ、祖父・勘右衛門とともに貧しい暮らしをしている。司之介はトキに良い暮らしをさせたいと心を強く固める。 |
第2回(9月30日) | 火曜 | トキが自分の将来の夢を考え始める出来事が起こる。 |
第3回(10月1日) | 水曜 | 司之介が商売を始めようと動きだす。 |
第4回(10月2日) | 木曜 | 司之介が姿を消してしまう。家族にとって大きな出来事となる。 |
第5回(10月3日) | 金曜 | トキが機織り工場で働き始める。家計を支えるための選択。 |
このように、第1週はトキの幼少期の家族の状況と、父の決断・失踪、トキの働き始めという展開を中心に描かれています。
「ブシムスメ、ウラメシ。」の意味
「ブシムスメ、ウラメシ。」 には、複数の意味がかけられています。
1. 言葉遊びとしての意味
- 「ブシムスメ」=武士の娘
→ ヒロイン・松野トキは没落した士族(元武士)の娘として生まれました。 - 「ウラメシ」=「うらめしや~」という怪談でおなじみの幽霊のセリフ
→ 小泉八雲の「怪談」と物語のテーマ性を重ねています。
つまり、「武士の娘」と「怨めしい(幽霊の声)」をひっかけたダジャレ風の副題です。
2. 物語上の意味
- トキの家は没落し、貧しさや時代の変化に直面して「うらめしい」思いをすることになる。
- 幽霊や怪談に親しみ、後のヘブン(ラフカディオ・ハーン)との出会いにつながっていく世界観を予告している。
- 「武士の誇りを持つ娘が、世の中を恨みながらも、たくましく生きていく」姿を暗示している。
3. 制作者の狙い
- 朝ドラの週タイトルは視聴者を引き込むキャッチコピー的役割があります。
- 「ブシムスメ」と「ウラメシ」を組み合わせることで、
- コメディ感(ダジャレ)
- シリアス感(貧困や不条理)
- 作品の根幹である「怪談の世界観」
これらを一度に伝えられるよう工夫されています。
👉 まとめると、
「武士の娘=ブシムスメ」が、時代の変化や貧しさを「うらめしや」と感じつつ、怪談や幽霊の世界観に触れていく… というダブルミーニングのタイトルです。
まとめ
朝ドラ『ばけばけ』第1週「ブシムスメ、ウラメシ。」では、没落した士族の娘・松野トキが父の失踪や貧困に直面し、幼くして働き始める姿が描かれました。
武士の娘としての誇りと、時代に翻弄される悔しさを込めたサブタイトルは、物語の核心を象徴しています。
この第1週は、ヒロインの波乱に満ちた人生の幕開けを示す序章でした。
今後は、婿探しを経て外国人教師ヘブンとの出会いへと進み、国際結婚、松江での新婚生活、そして夫婦での文化交流や創作の歩みが展開していくと予想されます。
最終的には、夫との別れとその遺志を守り抜くヒロインの姿が描かれるでしょう。
『ばけばけ』は、ユーモラスな週タイトルに隠された深い意味と、史実をベースにした人間ドラマが魅力です。変わりゆく時代の中で「化けながら」生き抜くトキの姿を通して、現代を生きる私たちにも強いメッセージを届けてくれる作品となりそうです。
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