参政党・初鹿野議員「歳費返納」取り下げの真相は?経緯と今後の課題を整理

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参政党の初鹿野裕樹議員が当選前に掲げた「歳費返納」をいったん取り下げると明らかにしました。

なぜ撤回なのか――法改正の必要性や党方針との調整、支持者の反応まで、一般の有権者である私の目線で、できるだけ分かりやすく整理していきます。

目次
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はじめに

初鹿野議員の当選背景と注目点

参政党の初鹿野裕樹議員は、警視庁で23年間勤務した経験を持つ元警察官です。

2024年の衆院選で落選したものの、2025年の参院選・神奈川選挙区で再挑戦し、公明党の現職候補をわずか5289票差で破り、初当選を果たしました。

治安や公安職の現状を訴える演説スタイルや、インターネット上での発信力もあり、当選直後から強い注目を集めています。特に街頭演説では熱量の高い訴えを続け、多くの聴衆や抗議者を呼び込む存在となっています。

「歳費返納」宣言が与えたインパクト

初鹿野氏が当選前から掲げていた「議員歳費を返納する」という宣言は、多くの有権者の心を動かしました。

国会議員には月額129万4000円もの歳費が支給されますが、これを「自らの利益のために議員になるのではない」と示す象徴として返納すると発信したのです。

この言葉は、政治と金を巡る問題に不信感を抱く市民に強いインパクトを与えました。

一方で、歳費返納には法律の壁が存在し、制度改正が必要であることから、当選後の実現性が注目されるテーマとなっていきました。

1.歳費返納宣言の経緯

議員歳費とは何か

国会議員には、いわゆる「お給料」にあたる歳費が毎月支給されます。金額は月額129万4000円で、「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律(歳費法)」に基づいて定められています。

企業の給与と違い、国費から支払われるため、使い道や削減の可否には法律上のルールが伴います。

たとえば“国庫へ返す”という行為は、公職選挙法上の寄付行為に当たる可能性があり、個人判断では原則できません。そのため「返納したい」と考える議員がいても、実現には制度づくり(法改正)というハードルがあります。

初鹿野氏のX投稿にみる決意表明

初鹿野氏は当選前から、Xで「当選の暁には議員歳費は返納予定」「歳費法を改正して返納する」と明言してきました(1月4日、1月30日、1月31日の投稿)。

背景には「政治と金」への不信を断ち切りたいという姿勢があり、「お金のために議員を目指すのではない」というメッセージとして受け止められました。

演説でも熱を帯びた語り口で支持を広げ、接戦区での初当選に貢献したとみられます。

一方で、当選後は「現行制度では個人判断で返納できない」という説明を行い、所属政党の方針確認を経て“歳費返納の意向はいったん取り下げる”としています。

ここで浮かび上がるのは、「理念」と「制度運用」のギャップです。

過去の国会における歳費返納や削減の事例

国会では過去にも、歳費をめぐる“例外的”な動きがありました。代表的なのは次のとおりです。

  • 参院の自主返納(時限措置):2019年の法改正で、参議院議員に限り自主返納を可能にする附則が設けられましたが、期限は2022年までで、現在は失効しています。
  • 震災復興に伴う一時的な削減:2012年5月から2年間、東日本大震災の復興財源に充てる目的で、歳費を2割削減(103万5200円)する時限措置が実行されました。

これらは“個人の善意で返す”のではなく、法律や時限的な合意で制度として減らす/返す道筋をつくった例です。

つまり、初鹿野氏が掲げた「返納」を現実にするには、個人表明だけでなく、超党派の合意形成→法案提出→可決というプロセスが不可欠になります。

今回の撤回は、過去事例が示す“制度先行”の原則に合わせる形で、次のステップ(法改正に向けた根回しや合意形成)に現実的に軸足を移した――と捉えることもできます。

2.歳費返納の困難と撤回理由

法改正が必要とされる制度的な壁

歳費は国費から支払われるため、「個人の意思で国庫へ戻す」ことは公職選挙法の寄付規制に触れるおそれがあり、原則として認められていません。

実際に返納を制度として動かすには、①与野党での合意形成→②法案提出(歳費法の改正など)→③委員会審議→④本会議採決、という手順が必要です。


過去には参議院で自主返納を可能にする“時限的な附則”(~2022年)が存在しましたが、現在は失効。

つまり「やる気があれば今すぐ返せる」種類の話ではなく、制度の再設計が前提になります。

たとえば、「返納したい場合の受け皿(国庫の特定勘定)」「返納額の扱い(課税・控除・会計処理)」も同時に整えなければ、実務が回りません。

国会閉会中は改正作業も進めづらい事情があるため、時間軸の現実性も問われます。

所属政党との方針不一致

初鹿野氏は「所属政党の方針を確認せずに投稿したのは不適切だった」と述べています。

選挙公約や制度改正は、個人の信条だけでなく党の政策決定プロセス(部会→政調→役員会など)での合意が不可欠です。

党としての優先順位(税制・社会保障・外交など)や、他法案との“交換条件”も絡むため、単独議員の宣言だけでは前に進みません。


現実にあり得るステップとしては、党内での政策提案書の提出→他議員の共同提出者集め→院内交渉といった順序です。

ここで党全体の戦略(たとえば「公費削減は報酬ではなく経費透明化から着手する」等)と食い違えば、優先度の見直しや表現の修正が求められます。

今回の「いったん取り下げ」は、その整合性を取り直す調整段階といえます。

9月取材で語られた「意向取り下げ」の真意

9月の書面回答で初鹿野氏は、①過去の参院自主返納制度を前提とした“法改正後に返納する”趣旨での発信だったこと、②現行制度では個人判断での返納はできないこと、③誤解を招いた点への謝意と訂正、を明確にしました。

そのうえで、党方針を尊重して発信すべきだったとして、「歳費返納の意向を一度取り下げる」と説明しています。


実務面では、今後の現実的な対応として、法改正に向けた合意形成(超党派での議論提起)や、歳費の使途や政策活動費の“見える化”月次での活動と支出の公開など、代替的な透明性向上策が注目ポイントになります。

支持者がチェックしやすいのは、たとえば「毎月の歳費の使い道レポート」「地元説明会での質疑応答」「国会提出資料への名前(共同提出者)」といった“足跡”です。

宣言の撤回自体はマイナス材料になり得ますが、その後の手続きと透明性で信頼を積み直せるかが、ここからの評価軸になります。

3.市民・支持者の反応と影響

SNSでの批判と期待の声

SNSでは「公約にした以上は筋を通してほしい」という厳しい声と、「制度の壁があるなら法改正で実現して」と前向きな要望が並びました。

実際、コメント欄では“返納そのもの”よりも透明性を重視する意見が目立ちます。たとえば、

  • 「返せないなら毎月の使途を公開して」
  • 「自治体や被災地への寄付など“代替案”を示して」
  • 「法改正の進捗を時系列で報告して」
    といった具体的な提案です。

いっぽうで、「最初から言わなければよかった」「選挙が終わったらトーンダウンした」と失望を示す投稿もあり、賛否が鮮明になりました。

選挙公約と有権者の信頼関係

有権者が重視しているのは、“言ったことが実現したか”だけではありません。できなかった場合の説明責任次のアクションです。

  • いつ、誰と、どんな場で制度設計を進めるのか
  • 超党派で働きかけるのか、党内手続きをどう踏むのか
  • 月次・四半期で何を達成できたのか

こうした工程表(ロードマップ)の見える化は、信頼の“橋渡し”になります。

選挙時の強い言葉は注目を集めますが、その後に証跡(議事録、共同提出者、会合資料、地元説明会の質疑要旨)が積み重ならなければ、支持は細りやすい――これが多くの読者の実感です。

今後の政治活動への影響と課題

今回の撤回で生じた“マイナス”を取り戻す現実的な道は、次の3点に集約できます。

  1. プロセスの公開:政策提案書の提出、院内交渉、法案条文素案づくりなど、進捗を定期レポート化。
  2. 代替的な透明性強化:歳費の使途明細を毎月公開(事務所経費、調査費、地元活動費などを分解)。公開フォーマットは毎回同じにし、比較可能にする。
  3. 対話の場づくり:地元での公開タウンホールやオンライン質疑を定期開催し、寄せられた意見と対応状況を次回のレポートに反映。

これらは専門知識がなくても成果が見えやすく、支持者にとって“応援のしがい”が生まれます。

逆に、情報発信が止まれば「結局変わらない」という不信が積み上がります。宣言そのものよりも、手続き・公開・対話――この3つを回し続けられるかが、今後の評価を左右します。

まとめ

初鹿野議員の「歳費返納」宣言は、有権者の“政治と金”への不信に刺さる強いメッセージでしたが、現行制度では個人判断での返納ができず、法改正を要するという壁に突き当たりました。

今回の「いったん取り下げ」は、党内合意や超党派の調整を経て制度設計を進める現実的プロセスへ軸足を移した動きといえます。

ここから信頼を回復・強化する鍵は、①合意形成と法案化の進捗を定期的に公開、②歳費の使途明細をフォーマット化して継続開示、③地元やオンラインでの対話を定期開催し、寄せられた意見と対応をレポート化――という“手続き・公開・対話”の継続にあります。

宣言の真価は、言葉そのものよりもその後の行動で測られます。具体的な工程表と証跡を積み重ねられるかどうかが、今後の評価を左右するポイントとなるでしょう。

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