「昔のソフト、今いくらで売れる?」そんな疑問に応えるため、秋葉原の中古店で相場をリサーチしました。
ネオジオはなぜ高いのか、ゲームボーイやポケモンが上がりやすい理由は何か、そして完品が評価される基準はどこか。
この記事では、値上がりの仕組みと“価格がつく条件”を具体例で解説します。
これから売る人・買う人のどちらにも役立つ、買取前チェックリストや失敗しない選び方も紹介します。
はじめに

レトロゲーム再評価の波
かつて子どもたちが夢中になって遊んだゲームが、いま再び脚光を浴びています。
たとえば1985年に発売された「ファミコン」は、当時1万円前後で購入できた家庭用ゲーム機ですが、現在は中古市場で1万5000円前後で販売されることもあります。
単なる古いおもちゃではなく、40年以上の時を経て「ヴィンテージ」として扱われる存在になっているのです。懐かしさからもう一度手に入れたい人や、当時遊ぶことができなかった若い世代の人々が興味を持つことで、市場全体が盛り上がっています。
こうした再評価の背景には、家庭用ゲームが「文化」として認められるようになったことがあります。
音楽や映画と同じように、ゲームもその時代を映し出す貴重な体験の記録と考えられるようになり、コレクターや愛好家の間で価値が高まっているのです。
高騰する中古ゲーム市場の背景
中古ゲームの価格が高騰している理由はひとつではありません。まず、流通数の少なさが大きな要因です。
たとえば90年代に発売された「ネオジオ」は、当時から本体価格が約6万円、ソフトも3万円近くと高額で、手にする人は限られていました。
その結果、中古市場に出回る数が少なく、現在はソフトが50万円以上で取引されることも珍しくありません。
また、海外の需要が急増していることも影響しています。特に秋葉原の中古ゲーム店では、訪日外国人観光客が増え、「ポケモン」シリーズや「スーパーマリオ」など、日本生まれのタイトルをまとめ買いしていく姿が日常的に見られます。
さらに、インターネットオークションの普及により、国内だけでなく世界中のコレクターが競り合う環境が整ったことで、価格は一層上がりやすくなっています。
こうした要素が重なり、「古いゲーム機やソフトが資産になる」という状況が生まれています。実家の押し入れや倉庫に眠っているゲームが、思わぬ価値を持っているかもしれません。
1.海外で高騰するレトロゲーム

「ゼルダの伝説」や「スーパーマリオ」の驚異的落札価格
海外のオークションでは、思わず二度見するような価格がついています。
たとえば、海外版ファミコン(NES)用の『ゼルダの伝説』が約9,600万円、NINTENDO 64用『スーパーマリオ64』が約1億7,200万円、NES用『スーパーマリオブラザーズ』は約2億2,000万円――いずれも2021年の事例です。もちろん、これは「未開封」「初期ロット」「状態が極めて良い」といった条件が重なった“超一級品”だからこそ。
具体的には、箱の角が潰れていない、説明書や付属品が完備、外装フィルムの破れなし――こうした「完品」条件がそろうだけで価格は数倍に跳ね上がります。
さらに、製造初期の短期間だけ使われたパッケージやバーコード位置の違いなど、見た目は同じでもコレクターが重視する細かな違い(初期版かどうか)で価値が大きく変わります。
ポイントは、「遊ぶためのソフト」から「飾る・保全するコレクション」へと需要がシフトしていること。中古というより、もはや“文化財クラスの保存物”として扱われているのです。
オークション市場のプレミア化と日本市場への波及
超高額落札の背景には、オンライン化したオークションの広がりがあります。
世界中のコレクターが同じ出品物を同時に争うため、希少品は一気に価格が跳ね上がりやすい状況です。投資目的の新しい買い手(アートやスニーカー投資を経験した層)が参入し、「ゲーム=資産」という見方が定着したことも追い風になりました。
この流れは日本の店頭価格にも波及しています。たとえば、秋葉原の中古店では、海外の来店客が箱なしのゲームボーイ用ソフトをまとめ買いする光景が日常化。理由はシンプルで、ゲームボーイはリージョン(地域)に依存せず海外の本体でも遊べるからです。
『ポケットモンスター 赤・緑』のように海外版の流通が限られたタイトルは特に人気で、箱付きなら店頭でも2万円前後まで上がるケースがあります。
一方で、すべてが一律に高騰しているわけではありません。スポーツゲームや麻雀など、当時の人気が限定的だったジャンルは値が伸びにくい傾向。
逆に、初代『スーパーマリオ』や『ファイナルファンタジーIV』のように“誰もがタイトルを知っている”名作は、状態が良い個体にプレミアがつきやすい――という、わかりやすい選別が進んでいます。
要するに「世界のオークションで評価→SNSやニュースで話題化→店頭での需要増」という循環ができ、価格の底上げにつながっているのです。
2.秋葉原で人気のゲームと価格動向

外国人観光客が支える需要
秋葉原の中古ゲーム店では、店内の雰囲気自体が数年前と変わりました。平日昼間でもスーツケース片手の訪日客が目立ち、来店比率は「外国人7:日本人3」というお店もあります。
会計の様子を見ていると、同じタイトルを色違いで数本まとめ買い――といった“お土産買い”が日常風景です。
人気の中心は、手に取りやすい携帯機と王道IP(シリーズ)です。とくにゲームボーイの棚は常に動きがあり、箱なしソフトの小さなカゴに手が伸び続けます。
理由はシンプルで、ゲームボーイはリージョン(地域)に依存しないため、海外の本体でもそのまま遊べるから。旅行から帰ってすぐ遊べる手軽さが、購入の後押しになっています。
さらに、「箱・説明書付き(いわゆる“完品”)」はプレゼント需要とも相性がよく、観光客がプレミア価格でも選びがち。
結果として、同じタイトルでも“見栄えの良い個体”から先に売れていくため、店頭価格の相場感にも影響が出ています。
ゲームボーイとポケモンシリーズの価格上昇
ゲームボーイ本体は、当時の定価がおよそ8,000円だったのに対し、いまは状態が良ければケースなしでも2万円前後。カラーより“初代”のほうが数千円高い、という逆転現象も起きています。
ソフトはさらにわかりやすい動きです。
たとえば『ポケットモンスター 赤』(1996年)は店頭で約4,000円、『緑』は海外未発売ゆえに約5,000円と一段高。『金・銀』は落ち着いた相場ながら、『クリスタル』(2000年)は高価買い取りの常連で、箱付き完品なら2万円前後まで跳ねるケースがあります。DS世代でも『ダイヤモンド・パール』(2006年)が約3,000円、『プラチナ』(2008年)は約7,000円と明確な差。
一方で据え置き機では、スーパーファミコンの“名作どまん中”――『スーパーマリオワールド』(1990年)や『ファイナルファンタジーIV』(1991年)――が安定して売れるものの、品薄による急騰までは至っていません。
スポーツや麻雀など“当時の大衆人気が限定的だったジャンル”は値が伸びにくく、誰もが知る看板タイトルや、状態の良い個体、海外で遊びやすい(リージョン非依存など)条件を満たすものほど値段が上がる――という選別が、秋葉原の棚にもはっきり表れています。
3.高値がつく「ネオジオ」と隠れた名機
ネオジオ本体とソフトの希少価値
「家庭用なのにアーケード並み」を掲げたネオジオ(1991年発売)は、当時から本体約5万8,000円、ソフトは1本3万円台という“桁違い”の価格でした。買えた人が限られ、出回った数も少ない――この「希少性」が現在のプレミアの土台です。
いま中古市場では、本体だけで7万~10万円台が目安。さらに驚くのはソフトで、人気作『メタルスラッグ』(1996年)は状態が良ければ100万円超、完品クラスでは200万円に届くこともあります。
箱の色あせが少ない、説明書がきれい、外箱の角が無傷――こうした“見た目の良さ”が値段を大きく押し上げます。
また、同じタイトルでも初期出荷分や流通の少ないロットは別格扱い。
たとえば同一作品でもバーコード位置や背表紙の仕様違いなど、細かな違いがわかる個体は、コレクターの目に留まりやすく相場が一段上がります。ネオジオは「遊ぶ」だけでなく「残す」価値が強く意識される代表格と言えます。
メガドライブやPCエンジンの再評価
「昔はセガ派が少数派だった」「PCエンジンは持っている家が限られた」――そんな思い出が、いま“希少で面白いハード”という評価につながっています。
メガドライブ(1988年)はアクションや海外色の強いソフトが多く、当時の販売数が少なかった分、きれいな個体が珍重されやすい状況。たとえば『ガンスターヒーローズ』『エイリアンソルジャー』といった人気作は、箱・説明書付きだと店頭でも一気に値段が跳ねます。
PCエンジン(1987年)はCD-ROM²の大型タイトルやシューティングの名作が豊富。
『天外魔境II』『悪魔城ドラキュラX』など、今でも通用する完成度の高いソフトが多く、動作品で盤やケースの割れがない個体は評価が安定。
いずれも「当時はマイナー寄りだった=良品の数が少ない」ことが、今の相場を下支えしています。
倉庫に眠るゲームが資産になる可能性
“押し入れ発掘”は、いまやちょっとしたイベントです。チェックのコツは3つだけ。
1) 完品かどうか:箱・説明書・ハガキ・チラシ。すべて揃っていると評価が一段アップ。箱の角潰れや日焼けの少なさも重要です。
2) 状態が良いか:カセット端子のサビ、ディスク盤面の傷、動作確認の有無。アルコールでの端子クリーニングや、ケースの割れ交換など“手をかけられる部分”を整えるだけで見映えが変わります。
3) 人気タイトルか:誰もが知るシリーズ(マリオ、ポケモン、ドラキュラ、メタルスラッグ等)はまず相場の土台が強い。さらに“国内未発売・流通少なめ・初期ロット”などの条件が揃えば加点。
実家にネオジオのソフトが1~2本眠っているだけでも、思いがけない査定になることがあります。メガドライブやPCエンジンも、箱付きの良品なら「数千円→数万円」へ化ける例は珍しくありません。
捨てずに残っていたゲームが、次に大切にしてくれる人の手に渡る――そんな循環を支えるのが、いまのレトロゲーム市場なのです。
🛒 買う側視点:おすすめ購入タイトル
「買う側」と「売る側」の両視点で、注目タイトルと価格を整理してみました!
機種 | タイトル | おすすめ理由 | 価格目安 |
---|---|---|---|
ゲームボーイ | ポケモン 赤・緑 | リージョン非依存、海外でも遊べる。緑は海外未発売で希少 | 4,000〜5,000円(箱なし)/2万円前後(箱付き) |
ニンテンドーDS | ポケモン プラチナ | 発売本数が少なく中古で品薄。将来的な値上がり期待 | 約7,000円 |
スーパーファミコン | マリオワールド/FFIV | 名作ど真ん中で安定。コレクション入門向け | 2,000〜5,000円 |
PCエンジン | 天外魔境II/ドラキュラX | 名作シューティング・RPG。状態良品は資産価値あり | 5,000円〜5万円 |
メガドライブ | ガンスターヒーローズ | 海外評価が高く、今後も狙い目 | 1万〜数万円 |
💰 売る側視点:高く売れる狙い目商品
機種 | タイトル | 特徴 | 買取・相場目安 |
---|---|---|---|
ネオジオ | メタルスラッグ | 超人気作。箱・説明書完品なら別格 | 100万〜200万円 |
ネオジオ | 本体 | 出荷数が少なく今も人気 | 7万〜10万円 |
ゲームボーイ | ポケモン クリスタル | 外国人観光客に人気。完品なら高額化 | 7,000円〜2万円 |
PCエンジン | 悪魔城ドラキュラX | 海外人気が高い、シューティングの名作 | 2万〜5万円 |
メガドライブ | エイリアンソルジャー | 海外でコレクター需要大 | 2万〜数万円 |
🔑 ポイント整理
- ネオジオは売る側の大本命。特にメタルスラッグは“資産レベル”。
- ポケモンは両方で強い。買う側は遊びやすく、売る側は外国人需要で高値がつきやすい。
- メガドライブ・PCエンジンは隠れ資産。押し入れに眠っていたら査定へ。
まとめ
レトロゲームの高騰は、希少性(流通数の少なさ)×状態(完品・美品)×世界需要(観光客・海外オークション)の三つ巴で起きています。
海外での超高額落札は例外的な“博物館級”とはいえ、その話題が店頭相場を底上げしているのは確かです。
秋葉原の棚では、携帯機(とくにゲームボーイ)や誰もが知るシリーズ(マリオ、ポケモン、FF など)、そしてネオジオのような当時から高価・少量のハード/ソフトがはっきり強い――という選別が進んでいます。
手元のコレクションを見直すなら、まず(1)完品か(箱・説明書・ハガキ・チラシ)、(2)状態(日焼け、角潰れ、端子のサビ、動作可否)、(3)人気度・希少性(有名作/国内未発売/初期ロット)をチェック。軽いクリーニング(乾いた布・綿棒+無水エタノールで端子をやさしく)やケース交換で“見映え”を整えるだけでも評価は変わります。
買う側は、リージョン非依存で遊びやすいゲームボーイ系や、箱付きの良品を狙うと満足度が高め。パッと見が同じでもロット差で価値が動く場合があるため、背表紙やバーコード位置、付属物の有無も確認すると安心です。
最後に注意点。互換機での動作可否、セーブ電池の消耗、偽物・リプロカートは要チェック。高額品はレシートや査定書、シリアルの控えを残しておくとトラブル防止になります。
“押し入れの一本”が次の持ち主に受け継がれ、遊ばれ、保存される――その循環こそが、いまのブームの正体です。思い出の一本を資産として活かすか、もう一度プレイするか。あなたの棚の前で、ゆっくり選べば大丈夫です。
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