今年の“令和のコメ騒動”、いちばん気になるのは「新米の値段はどうなるの?」ですよね。
政府は備蓄米の販売期限を延長し、最大30万トンの放出で市場をならす方針です。
一方、現場ではカメムシ被害への防除費補助、JAの委託・買い取り併用など、実務の手当ても進行中。
小泉農水相に直談判したJA直鞍の声を手がかりに、価格・流通・支援策をやさしく整理します。
はじめに
“令和のコメ騒動”と政府対応の現在地
今年の米をめぐっては、「値段が急に動くのでは」という不安が広がっていますよね。
政府は8月末までとしていた“備蓄米”(国が非常時に備えて持っているお米)の販売期限を延長すると決めました。
これは、すでに契約している相手へ確実に引き渡すための措置で、「新米の値段には大きく影響しない」と説明しています。
理由の一つは、あらかじめ“30万トンの放出”を公表して段取りを進めていること、もう一つは、各地のJAが生産者に先払いする目安の金額(いわゆる「概算金」)が高めに出ており、「新米はそれなりの値段になる」という見方が強いからです。
たとえば、スーパーの「新米」コーナーの値札、コンビニのおにぎり、学校給食の仕入れ—こうした日常の場面にも、政策の判断はじわりと影響します。
今回の延長の対象は“備蓄米”という別枠のお米で、新米とは流れるルートが違います。
もし市場が冷え込んでも、あとで出した量を元に戻す(出し過ぎた分は抑える)など、価格が暴れないように調整する仕組みも示されています。安心材料がちゃんと用意されているのは心強いですね!
JA直鞍・堀勝彦組合長の直談判の背景と狙い
福岡のJA直鞍・堀勝彦組合長(83)は、こうした動きを現場の肌感覚で捉え、「農家の不安を直接伝えたい」と農水相に会いに行きました。
背景には、地域ごとに事情が違う現実があります。
たとえば、直鞍地域では「新米が出ていて不足はない」という声がある一方、全国では高温の影響で“カメムシ”などの害虫被害が増え、収穫量や品質への心配が広がっています。
通常は2回の防除(害虫対策)を、今年は3回に増やす必要が出てきた—そんな畑の悩みに対して、国が“3回目の防除費用を補助する”臨時策を用意したとされますが、「その情報が現場に届いていない」という指摘もありました。
堀組合長が強調したのは、JAの役割が“米の販売”だけにとどまらないことです。
子どもの体験学習、地域の夏祭りの運営、女性の管理職登用、高齢者の見守りなど、暮らしに根を張った活動は数多くあります。
さらに、農家が「JAに売りを任せる(委託)」か「いったんJAが買い取り、あとで売る(買い取り)」か—といった選択肢を増やすことで、収入や資金繰りを安定させる工夫も広がっています。
直談判の狙いは、「農協を残してほしい」という一点ではなく、地域の実情に合った手当てを国に求め、農家が安心して来年も田植えに向かえる環境を整えることにあります。現場の声って、本当に大切だと思います!
1.備蓄米販売期限延長と新米価格への波及
政策転換の経緯と延長の理由
8月20日、国は本来「8月末まで」としていた備蓄米の販売期限を延長しました。背景にあるのは、すでに契約している相手への引き渡しが一部遅れており、「約束したお米は責任を持って渡す」という現場対応です。
備蓄米は“非常時に備えるストック”で、新米とは別の枠・別の流れで動きます。たとえば、自治体の備蓄や病院・学校の給食用として計画的に回す—そんな用途が中心です。
この延長で、スーパーの新米コーナーに並ぶ価格が直ちに崩れるわけではありません。
むしろ「契約分をきちんと渡す」という当たり前の整頓を先にやることで、市場に“二重の動き”(新米と備蓄米の競合)が起きにくくなります。
米穀店の仕入れ担当にとっては「予定していた備蓄米の入荷が無事に来る」、農家にとっては「新米の商談に集中できる」という、段取り上の安心材料になります。現場も消費者もホッとしますね。
新米価格への影響評価と「概算金」の動向
各地のJAが生産者に先払いする目安の金額(概算金)は、この秋“高め”に出ています。
これは「新米はそれなりの値段になる」という見立てが広がっているサインです。
たとえば、農家の通帳には出荷直後からまとまった額が入り、肥料代や燃料代の支払い計画が立てやすくなります。小売でも、コンビニのおにぎりや外食の定食など、秋のメニュー改定で“急な値下げ”を見込む必要は薄い、という読みが立ちます。
もちろん地域差はあります。福岡・直鞍のように「新米が出て不足はない」という地域もあれば、高温や天候で収量・品質に不安が残る地域もあります。
今回の延長はあくまで備蓄米の引き渡し整理であり、新米の売り先や値付けと直接ぶつからない設計です。
結果として、「新米の値段が延長で大きく下がる」というよりも、「各地域の実情に沿って落ち着いて値決めが進む」方向に働きます。あわてず、落ち着いて見守りたいですね。
放出量「30万トン」と市場安定化の仕組み
政府は随意契約分として“最大30万トン”の備蓄米を放出する方針を、あらかじめ公表して段取りを進めてきました。
イメージとしては、ダムの放水計画に近い運用です。水位(在庫や価格)の変化を見ながら、出す量やタイミングを調整する。もし市場が不安定になれば、あとで放出量を「元の水準」に戻す(出し過ぎを抑える)ことで、全体のバランスを保てます。
消費者の感覚に落とし込むと、秋の新米フェアや外食チェーンの“新米切り替え”が例年通り進み、ある日を境に値札がドンと動く事態を避ける“安全弁”の役割です。
卸や精米所にとっても、保管・配送のピークがぶつからないように流れを整えられるため、物流の混乱や無用な安売りを招きにくくなります。
結果的に、生産・流通・消費のそれぞれが「見通しを持って動ける」—それが、30万トン運用の狙いです。見通しが立つと、家計のやりくりもしやすくなりますね!
2.カメムシ被害と防除費支援:現場課題への即応
高温で拡大する害虫リスクと収量影響
新米の値決めが落ち着いて進む一方で、畑では“高温×カメムシ”というもう一つの不安が広がっています。
カメムシは暑さで動きが活発になり、出穂(穂が出る時期)に吸汁されると米粒に黒い点が出る「斑点米」になり、等級が下がりやすくなります。
たとえば、10アール(だいたいテニスコート数枚分)の田んぼで斑点米が増えると、1俵(60kg)あたりの手取りが数千円~数万円規模で目減りすることもあります。
現場でできる基本は、「見回りの頻度を上げること」です。朝夕の涼しい時間に畔(あぜ)沿いの草地や田んぼの縁を中心にチェックし、穂の周りに群れていないかを確認。
あわせて、畔の草刈りをこまめに行うと、カメムシの隠れ場所が減り、発生源対策になります。小さな手間が大きな被害を防ぐ…まさにその通りですね。
防除回数の追加支援(3回目補助)の内容
通常は2回の防除でやりくりしてきた地域も、今年は「3回目が必要かも」という声が増えています。
国は臨時の対応として、例年より“多い回数”の防除が必要になった場合、3回目の費用の一部を補助する方針を示しました。ポイントは次のとおりです。
- 対象のイメージ:高温などの影響で発生が増え、3回目の薬剤散布など“追加の防除”を行う場合。
- 流れのイメージ:①圃場の発生状況を記録(見回り日・写真・発生場所のメモ)→②JAの営農センターで対象や期間、申請方法を確認→③領収書や実施記録を保管して手続きを進める。
- 実施時の注意:無風に近い時間帯(朝夕)を選ぶ、用量・用法を守る、周辺のミツバチや果樹・家庭菜園に配慮する、散布後の入水・落水の管理を確認する。
たとえば、「2回散布後も畔際にカメムシが目立つ→3回目を実施→JAで補助の対象か確認して申請」という流れです。機械がない農家は、防除を請け負う業者や営農センターに相談すると段取りが早く進みます。頼れるところは頼ってOKです!
情報周知の遅れと実装に向けた課題
堀組合長が指摘した通り、「補助の情報が現場に届いていない」こと自体がリスクです。周知の遅れは、タイミングを逃して被害を広げ、結果的に収入の目減りにつながります。実務で役立つ工夫を挙げます。
- “一枚チラシ”方式:対象、期間、負担割合、相談窓口、必要書類をA4一枚に要約。集落の回覧、農機具店、JA直売所、ライスセンターに掲示。
- 即時通知:JAのLINE公式・メール配信・音声自動電話で「今週が山場」「3回目対象の条件」を短く配信。
- 見える化カレンダー:出穂期から10日・20日など“見回り強化日”を地区ごとに設定し、掲示板やグループチャットで共有。
- ワンストップ窓口:営農センターで「相談→対象確認→申請書セット配布→提出」の流れを一本化。
こうした段取りが整うと、「いつ・どこへ・何を持って行けばいいか」が明快になり、散布の適期を逃しません。結果として、斑点米の混入を抑え、等級の維持=収入の下支えにつながります。
価格の“安全弁”が30万トン運用なら、現場の“安全弁”はこの迅速な情報と追加防除の手当てです。動ける情報が早く届くって、本当に大事ですね!
3.JAの多面的役割と経営改革・選択肢の拡大
地域貢献・女性登用・食育等の取り組み
JAの仕事は「米を売る」だけではありません。
たとえば、直鞍では広報誌『JAダイレクト』で営農情報や生活の知恵を毎月届け、集落の集会所や直売所に置いて誰でも手に取れるようにしています。
夏祭りの盆踊りをJA敷地で開いたり、子どもたちの田植え・稲刈り体験、酪農家の見学会やソフトクリーム販売を通じて“食べものがどうやってできるか”を伝える活動も定番です。
暮らしの面でも、用水路の清掃や水質保全、高齢者の見守り、買い物弱者への移動販売車、フードドライブの開催など、地域の困りごとに寄り添う取り組みが広がっています。
組織の中では女性管理職や役員登用を増やし、営農指導や直売所運営、広報などの現場で女性の視点を反映。
たとえば「子どもと一緒に参加できる収穫体験」「離乳食にも使える地元米のレシピ配布」など、小さな工夫が“地域でJAが必要とされる理由”を積み重ねています。身近な場面での支え合い、素敵だと思います!
委託販売と買い取りの併用化と価格形成
米の売り方には大きく2通りあります。
- 委託販売:農家が出荷し、JAが市場や取引先に売ってから精算。売れた価格に応じて手取りが決まります。
- 買い取り:収穫時にJAがいったん買い取り、農家はすぐに代金を受け取れます(その時点で価格が確定)。
どちらが良いかは、家計や資金繰り、保管リスク、価格の見通しで変わります。たとえば、肥料代の支払いが迫っているAさんは“買い取り”で早めに現金化。
一方で、品質が良く相場の上振れを狙いたいBさんは“委託”を選ぶ——こうした選択肢の併用が、農家の安心につながります。
現場でのポイントは、①手数料や精算の時期をわかりやすく掲示、②農家ごとに「委託:買い取り」の希望比率を事前に聞き取り、③収穫前の概算金の目安や在庫の見通しをこまめに共有——の3つ。
これだけでも、「いつ・いくら入るか」が見える化され、無理な安売りや在庫の滞留を避けやすくなります。わかりやすさって、本当に力になります!
地域需給の違いと政策のきめ細やかさ
米づくりの状況は地域で大きく違います。
直鞍のように「新米の出荷は順調・不足なし」という地域もあれば、高温や害虫で収量に不安が残る地域もあります。だからこそ、一律ではなく地域別の打ち手が重要です。
実務で効くのは、①地区ごとの「出穂期・収穫期カレンダー」を作成して見回りや集荷の山場を共有、②学校給食や病院・外食チェーンと“地域優先の出荷枠”を事前に組む、③委託と買い取りの比率を地区別・月別に柔軟に見直す、④備蓄米(別枠)と新米の流れがぶつからないよう納品先・時期を分ける、といった段取りです。
たとえば、沿岸部で早場米が多い地区は「買い取り」を厚めにして資金繰りを安定、山間部で収穫が遅い地区は「委託」を軸に品質評価を待つ——こうした小回りが、価格の乱高下を抑え、農家・流通・消費の“納得のいく落としどころ”を作ります。
結果として、「組合員から必要とされるJAかどうか」という原点に、日々の運用で応えていけます。地域に寄り添う工夫が、食卓の安心へつながるのだと感じます。
新米の値段はどうなるの?
結論だけ言うと――今年の新米は“下がらず、むしろ高め”が基本線です。標準的な銘柄なら5kgで4,000~4,500円前後が目安(地域や等級で増減)。昨年の3,000円台から1,000円ほど高いイメージです。
理由は3つ。
- 卸の基準になる相対取引価格が高水準で横ばい推移(玄米60kgあたり約2万7,600円)=小売が大きく下げにくい。
- 政府の備蓄米「販売期限延長」は“新米とは別枠”の運用で、新米の店頭価格への直接影響は限定的という見解。
- 産地の高温・水不足・カメムシで不作懸念→集荷競争が強く、価格の下支え要因に。
この先のカギ:9~10月に東北・北海道の収穫状況が出そろった時点で、もし不作が確定的ならさらに上振れ、豊作ならやや落ち着く可能性もあります。いずれにせよ“昨年より安い”展開は今のところ見込み薄です。
買うときのコツ(手短に)
- PB米や複数産地ブレンド、3kg規格を狙うと単価を抑えやすい
- チラシの“切り替え初週セール”をチェック(早場米入荷時は出やすい)
各地の相場、いま出ている“直近の平均(5kgあたり)”はこんな感じです。
- 北海道:3,606円
- 東北:3,120円
- 関東・首都圏:3,592円
- 信越(新潟・長野):3,823円
- 北陸(富山・石川・福井):3,974円
- 東海:3,796円
- 近畿:3,987円
- 中国・四国:4,280円
- 九州・沖縄:3,967円
(8/11〜8/17 週のスーパーPOS平均。5kg当たり)
あわせて全国の目安も置いておきます。
- 全国平均:3,811円/5kg(週次、8/11の週)
- 内訳の目安:銘柄米 4,422円/5kg、ブレンド米 3,529円/5kg(同週次)
- 直近日次(8/19時点):平均 3,813円/5kg、銘柄米 4,346円、ブレンド米 3,490円。
▶︎見方のコツ
お店の特売や銘柄、精米日で前後しますが、上の数字が“いまの相場のだいたいの位置”です
まとめ
今回の“令和のコメ騒動”は、ひとつの出来事ではなく、いくつもの歯車がかみ合って動く問題でした。
まず、備蓄米の販売期限延長は「約束したお米を確実に渡すため」の段取り直しで、新米とは別枠の流れ。あらかじめ30万トンの放出計画を示し、市場が揺れればあとで量を戻す——この“安全弁”があるから、値札が急に大きく動く可能性は高くありません。
次に、畑の現場では高温に伴うカメムシ被害が心配の種。必要なら3回目の防除費を補助する臨時策が用意され、情報を早く・わかりやすく届ける体制づくりが収量と品質を守ります。
さらに、JAは販売だけでなく、食育、地域行事、女性登用、高齢者見守りまで暮らしの土台を支える存在で、委託販売と買い取りの“二本立て”で農家の資金繰りや価格不安にも備えています。みんなで支え合えば、きっと乗り越えられます!
私たちの毎日の食卓に落とし込むと、秋の新米フェアや学校給食の切り替えが例年通りに進み、コンビニのおにぎりの値段がある日を境にドンと下がる——といった極端な展開は起きにくいはずです。
農家にとっては「いつ・いくら入るか」の見える化、消費者にとっては「どの地域のどんな新米か」を選べる安心、自治体や小売にとっては計画的な仕入れと価格の安定。
それぞれの立場で得るメリットがはっきりしています。うれしい循環ですね。
最後に、現場で効く“明日からの一歩”を短くまとめます。
- 農家:見回り強化日を決め、発生状況の写真・メモを残す。必要なら3回目防除+補助の対象確認をJAへ。
- JA:A4一枚チラシとLINE配信で支援条件と期限を即周知。委託/買い取りの比率を地区別に柔軟運用。
- 小売・外食:新米と備蓄米の納品時期をずらし、値付けの急変を避ける。産地表示と食育POPで“選べる安心”を提供。
- 消費者:地元米を手に取り、炊き分け(同じ銘柄で水加減や浸水時間を変える)で味の違いを楽しむ。
「組合員から必要とされるJAかどうかがすべて」。この言葉どおり、政策の安全弁と現場の小回りがそろえば、米づくりは来年、その先へと安心してバトンをつなげます。
私も一人の生活者として、旬のお米をおいしくいただきながら、応援していきます!
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