2025年10月10日に公開される実写映画『秒速5センチメートル』は、新海誠監督の名作アニメを原作とした注目の作品です。
主演はSixTONESの松村北斗さん、そして主題歌には米津玄師さんが書き下ろした新曲「1991」が起用され、さらに劇中では山崎まさよしさんの名曲「One more time, One more chance」がリマスター版として流れます。
音楽・映像・キャストが見事に融合し、過去と現在をつなぐ切なさと温かさを描いた本作は、原作ファンにも初めて触れる人にも深い感動を与える仕上がりになっています。
はじめに

実写版『秒速5センチメートル』公開の背景
2007年に公開された新海誠監督のアニメ映画『秒速5センチメートル』は、桜の花びらが舞い落ちるスピードをテーマに、人と人との距離や時間の流れを切なく描いた名作として多くの人に愛されてきました。
その実写化が2025年10月10日に公開されることになり、映画ファンや原作ファンの間で大きな話題となっています。
主演を務めるのはSixTONESの松村北斗さんで、世代を超えて共感を呼ぶ物語に、現代の視点から新たな息吹が吹き込まれることが期待されています。
アニメ版の記憶を大切にしながらも、実写ならではの映像美と演技で、再び多くの観客を物語の世界へ引き込むことでしょう。
主題歌と劇中歌が話題を集める理由
今回の実写版で特に注目されているのが音楽面です。
主題歌には米津玄師さんが書き下ろした新曲「1991」が起用されました。
1991年生まれの米津さん自身と映画のテーマが重なり、彼ならではの感性が物語に新しい光を与えています。
一方で、劇中歌として使用されるのは山崎まさよしさんの代表曲「One more time, One more chance」。これはアニメ版の主題歌として知られる楽曲で、今回はリマスター版として再登場します。
新曲と名曲の両立によって、作品全体に過去と現在をつなぐ奥行きが生まれ、観客の感情をさらに揺さぶる構成となっています。音楽が物語にどのように寄り添うのか、映画を語るうえで欠かせない見どころとなっています。
1.主題歌「1991」と米津玄師
書き下ろし楽曲としての位置づけ
主題歌「1991」は、米津玄師さんが映画のために新たに書き下ろした一曲です。
タイトルは彼自身の生年に由来しており、自分の人生の始まりと作品に描かれる「時間の流れ」を重ね合わせています。
過去のタイアップ曲「Lemon」や「馬と鹿」でも、彼は登場人物の心情に寄り添う歌詞を紡いできましたが、今回も同様に、登場人物が抱える葛藤や切なさを象徴するような楽曲となっています。
単なる主題歌ではなく、作品そのものを貫く“もうひとつの物語”として位置づけられているのです。
奥山由之監督とのタッグと制作意図
監督を務める奥山由之さんは、写真家や映像作家としても活躍し、米津さんの「感電」や「KICK BACK」のミュージックビデオを手がけた人物です。
二人はこれまでに音楽と映像を通じて深い信頼関係を築いており、その縁から今回のタッグが実現しました。
奥山監督は「映像と音楽が同じ呼吸をする作品にしたい」と語り、米津さんも「1991」という個人的なテーマを託すことで、映像と音楽の相乗効果を狙っています。
この組み合わせは、観客に強い印象を残すこと間違いありません。
予告映像での使用と観客の反応
公開前から大きな注目を集めたのが、予告映像に流れる「1991」です。
桜が舞う映像の中で、静かに始まり、次第に感情が膨らむように展開する旋律は、SNS上でも「曲を聴いただけで泣きそうになった」「映画の世界観にぴったり」と話題になりました。
特に、雪の中で足を止めるシーンや、電車が通り過ぎる瞬間と重なるメロディに、原作ファンからは「アニメ版の切なさを思い出した」との声も多く寄せられています。
予告のわずかな時間でも強烈な印象を残したことから、本編での楽曲の使われ方に期待が高まっています。
2.劇中歌「One more time, One more chance」
アニメ版からの継承とリマスター版の制作
「One more time, One more chance」は、2007年公開のアニメ版『秒速5センチメートル』で主題歌として使われた、山崎まさよしさんの代表曲です。
当時から“切なさの代名詞”とも呼ばれるほど多くのファンの心に刻まれ、今でもSNSなどで「秒速といえばこの曲」という声が絶えません。
今回の実写版では、この名曲を新たにリマスターし、現代の音響技術によってよりクリアで深みのある音に生まれ変わりました。
予告編でも流れており、「懐かしいのに新しい」と感じた人も多いでしょう。こうして旧作への敬意を示しながらも、新しい時代にふさわしい形で再登場することになりました。
劇中での役割と主題歌級の存在感
実写版においては主題歌ではなく劇中歌として扱われますが、その存在感は“もうひとつの主題歌”といっても過言ではありません。
特に主人公が心の距離を痛感する場面や、時間の経過とともに変わってしまった関係性を描くシーンで効果的に流れることで、観客の感情を強く揺さぶります。
まるで登場人物の気持ちを代弁するように響き渡り、映画全体のトーンを決定づける役割を担っています。そのため、ファンからは「今回もやっぱりこの曲で泣かされた」という声が多く聞かれることが予想されます。
山崎まさよしの楽曲が与える感情効果
山崎まさよしさんの歌声は、温かみがありながらもどこか寂しさを帯びています。
その声質が「別れ」「再会」「すれ違い」といった映画のテーマと絶妙に重なり、聴く人の心に直接響きます。
例えば、深夜の電車や静かな雪景色を見ながらこの曲を耳にすると、誰もが自分自身の過去の思い出と重ねてしまうでしょう。
こうした普遍的な感情喚起力こそが、長年愛され続ける理由であり、実写版でも改めてその力が証明されることになります。
3.キャスト・スタッフと制作秘話
主演松村北斗をはじめとする豪華キャスト
主人公・遠野貴樹を演じるのは、SixTONESの松村北斗さんです。
繊細で誠実な演技に定評のある彼が、時間に翻弄される青年の姿をどう表現するのか大きな注目を集めています。
さらに、高校時代の貴樹を演じる青木柚さんや、貴樹に想いを寄せる澄田かなえ役に森七菜さんが出演。
世代を代表する若手俳優が物語の青春部分を鮮やかに描き出します。
また、物語に厚みを与える存在として、木竜麻生さんや宮﨑あおいさん、吉岡秀隆さんといった実力派が脇を固めています。
若手とベテランが一堂に会することで、世代を超えた感情の交錯がスクリーンに立ち上がり、よりリアルな人間模様が描かれています。
奥山由之監督と江﨑文武による映像と音楽の融合
メガホンをとるのは、写真家としても活躍し、数々のミュージックビデオを手がけてきた奥山由之監督。
彼は米津玄師さんの「感電」や「KICK BACK」の映像でもタッグを組んでおり、その信頼関係が今回の作品にも活かされています。
奥山監督は映像の細部にまでこだわり、静けさや余白を大切にする手法で、観客に“時間が流れる感覚”を体感させます。
音楽面では江﨑文武さんが劇伴を担当。WONKのメンバーとしても知られる彼は、シンプルながらも心に沁みる旋律を紡ぎ出し、米津玄師の主題歌「1991」と山崎まさよしの劇中歌を支える役割を果たしています。
映像と音楽が互いに呼応し合うことで、物語が持つ「切なさ」と「温もり」がいっそう際立ちます。
原作への敬意と新たな解釈の試み
実写化にあたり、制作陣が心がけたのは「原作への敬意」と「現代的な解釈の融合」です。
アニメ版で印象的だった場面──桜の舞い落ちる風景や電車のすれ違い──は、忠実に再現されつつも、実写ならではの質感を重ねることで新たな表情を見せます。
また、登場人物の心理描写もより丁寧に描かれ、現代の観客にとってリアリティのある物語として再構築されています。
制作過程では「ただの再現ではなく、アニメ版を愛した人たちの心に新しい余韻を届けたい」という思いが貫かれており、実写化だからこそ可能な表現への挑戦が見どころとなっています。
まとめ
実写版『秒速5センチメートル』は、主題歌と劇中歌という二つの音楽軸を中心に、キャストやスタッフの力が重なり合って生まれた作品です。
米津玄師の書き下ろし曲「1991」は、彼自身の生年と物語のテーマが響き合うことで、作品全体を貫く“もうひとつの物語”として観客の心に残ります。
一方で、山崎まさよしの「One more time, One more chance」はリマスターを経て、過去と現在をつなぐ“記憶の旋律”としてスクリーンに流れ、涙を誘います。
また、主演の松村北斗さんをはじめとする多彩なキャスト、奥山由之監督の映像美、江﨑文武による音楽の支えが合わさることで、原作への敬意と新たな解釈が同居する映像体験が実現しました。
アニメ版を知る人には懐かしさを、新しく触れる人には新鮮な感動を与える本作は、まさに「秒速で心を揺さぶる」実写映画となるでしょう。公開日に映画館で、その余韻を体感してみてはいかがでしょうか。
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