甲子園の舞台で“史上初の女性ボールパーソン”として注目を集めた佐賀北高校の家永そらマネジャー。
試合での真剣な姿勢はもちろん、その笑顔やひたむきな姿が「可愛い！」とX（旧Twitter）でも話題になっています。
裏方として支え続けた2年半の歩みと、仲間への思いが込められた行動には、多くの人が心を動かされました。本記事では、家永そらさんが残した感動の軌跡と、SNSでの反響をご紹介します。
はじめに
真夏の甲子園といえば、選手たちが全力で白球を追いかける姿が注目されます。
しかし、その陰で支える存在にも多くの物語があります。佐賀北高校の女子マネジャー・家永そらさんは、まさにその象徴でした。
選手と同じように汗を流し、記録を取り、時にはグラウンドに立ってチームを支え続ける――そんな姿は「裏方」という言葉では収まりきらない存在感を放っています。
甲子園の舞台で、彼女が果たした役割は、選手たちの戦いと同じくらい大きな意味を持っていました。
佐賀北・家永そらさんが残した軌跡
第107回全国高校野球選手権大会。家永そらさんは、女子部員として大会史上初めてボールパーソンを務め、さらに記録員としてベンチ入りするという“二刀流”の奮闘を見せました。
本来なら交代で役割を担うはずだったもう一人のマネジャーが体調不良で参加できなかったため、その思いも背負って全力で務め上げたのです。
試合後、選手と共に「甲子園の土」を拾い集めた彼女の姿には、仲間への感謝と、青春を全うした達成感がにじんでいました。
その一瞬一瞬が、彼女にとっても、そしてチームにとっても忘れられない軌跡となったのです。
１．甲子園での挑戦
史上初の女性ボールパーソンに抜擢
家永そらさんが歴史を刻んだのは、大会初戦でのことでした。
甲子園では長らく安全上の理由から女性がグラウンドに立つことは認められていませんでしたが、近年のルール改正により女子部員が補助的な役割を担えるようになりました。
その舞台に立ったのが、佐賀北高校3年生の家永さん。彼女は女子部員として大会史上初めてボールパーソンに抜擢されました。
観客席から見守る保護者や仲間にとっても、彼女がユニフォーム姿でグラウンドに立つ姿は大きな感動を呼びました。
感情を抑えて務めた“第三者”の役割
ボールパーソンの仕事は、ただ球を拾うだけではありません。プレーを止めないように素早く動き、なおかつチームに関わりすぎない冷静さが求められます。
初戦で佐賀北が勝利を収めた時も、家永さんはベンチに駆け寄ることなく、第三者としての立場を守りました。
心の中では選手と同じように喜びたい気持ちでいっぱいだったはずですが、観客席からは小さくガッツポーズをする姿が確認されただけ。
控えめながらも誠実に役割を果たした姿に、多くの人が「プロ意識を持ったマネジャー」としての彼女を称賛しました。
土を拾い「同志」と分け合った瞬間
2回戦後、佐賀北ナインが甲子園の土を拾う光景の中に、家永さんの姿もありました。
膝をつき、髪が土に触れるのも気にせずに集める姿は、まさに選手と同じ「戦友」としての証でした。
特に印象的だったのは、来られなかったもう一人のマネジャー・渡辺歩果さんの分まで多めに集めていたこと。
「絶対に歩果は来たかったと思うので」と語った彼女の言葉には、仲間を思う強い気持ちが込められていました。後にその土を「はんぶんこ」して分け合う約束は、ただの記念品ではなく、二人で過ごした濃密な時間の象徴となったのです。
佐賀北高校野球部マネージャーの子が何度も甲子園の砂を選手と一緒に入れてる姿に涙🥲 https://t.co/utQk9lNxKI pic.twitter.com/8irRsHkXOI
— rossoroasso ロアッソ熊本⚽ (@roassorosso) August 15, 2025
２．二刀流マネジャーの奮闘
記録員とグラウンド補助を両立
家永そらさんの奮闘がさらに際立ったのは、2回戦でのことでした。本来なら、もう一人の3年生マネジャーがボールパーソンを務める予定でしたが、直前に体調不良で参加できなくなり、急きょ家永さんがその役割も担うことになりました。
試合前のノックではグラウンドに立ち、ボールをさばく姿があり、そのままユニフォーム姿で記録員としてベンチに座り続けました。
グラウンド補助とスコア記録という全く異なる役割を一人で両立する姿は、まさに“二刀流マネジャー”と呼ぶにふさわしいものでした。
感染症で来られなかった仲間の思いを背負う
代わりに出場する形となった背景には、もう一人のマネジャー・渡辺歩果さんの存在があります。
初戦で記録員を務め、次の試合ではボールパーソンとしてグラウンドに立つ予定でしたが、新型コロナウイルスに感染し夢は叶わず。
その無念を知る家永さんは「絶対に歩果の思いを背負ってやり遂げたい」と心に決めて臨みました。
観客席から見れば、いつも通りの冷静な動きに見えたかもしれません。しかしその裏には、仲間の分まで必死に踏ん張る強い覚悟があったのです。
ユニフォーム姿で示した情熱
マネジャーといえば通常はスーツ姿やジャージ姿でのサポートが多い中、家永さんはユニフォームを着て選手と同じ視線で戦い抜きました。
土にまみれてボールを拾い、スコアブックに細かく数字を書き込み、選手たちと同じベンチで声をかける。その一つひとつの姿勢からは「裏方だからこそ全力で支えたい」という彼女の情熱が伝わってきます。
試合には敗れたものの、ベンチにいた選手たちにとって家永さんの存在は力強い後押しとなり、最後まで諦めずに戦い続ける原動力になっていたのです。
３．家永そらさんの歩みと未来
特例で入部を勝ち取った熱意
家永そらさんが野球部に入部したのは、偶然と強い意志が重なった結果でした。
例年は複数人のマネジャーを受け入れていた佐賀北高校ですが、彼女が入学した年は「マネジャーは1人だけ」というまさかの状況。すでに希望者がいたため、通常なら諦めざるを得ませんでした。
しかし彼女は「どうしても野球部を支えたい」と直談判し、面接でその熱意を真っ直ぐに伝えました。
その結果、特例として入部が認められたのです。この強い気持ちがなければ、後の“二刀流マネジャー”としての姿も生まれなかったでしょう。
練習や試合で培った2年半の経験
入部後の彼女は、ただの記録係にとどまらず、練習でも積極的に役割を広げていきました。
最初はベンチ外で選手を見守る立場でしたが、熱心に動き続ける姿に部員たちが心を動かされ、「練習を手伝ってほしい」と声をかけるようになったのです。
そこからは、ノックの際のボール渡しや補助など、プレーの一部を任されるまでに成長しました。
試合では誰よりも早くスコアを記録し、選手の動きに集中する――その積み重ねが2年半の経験を濃厚なものにしました。涙と汗に彩られた時間は、彼女にとってかけがえのない財産となったのです。
将来は小学校教師へ――支える喜びを次世代へ
甲子園での最後の夏を終えた今、家永さんはすでに次の夢を見据えています。
それは小学校の先生になること。「裏方の仕事は大変だけれど、誰かのためになるからやりがいがある」と感じた経験が、子どもたちを支える未来につながっているのです。
彼女は、野球部で学んだ“仲間を支える喜び”を、今度は教室で子どもたちに伝えていくでしょう。
甲子園の黒土を分け合ったあの日の約束のように、次の世代へとバトンをつなぐ――家永そらさんの歩みは、これからも続いていきます。
まとめ
佐賀北高校の家永そらマネジャーが見せた姿は、単なる「部員を支える存在」にとどまりませんでした。
史上初となる女性ボールパーソンとしてグラウンドに立ち、仲間の思いを背負って記録員も務める“二刀流”の奮闘は、甲子園という特別な舞台に新たな歴史を刻みました。
膝をついて土を拾い、来られなかった仲間と分け合うその行動には、誰よりも強い絆と責任感がにじんでいます。
また、特例で入部を勝ち取り、練習や試合で積み上げてきた日々は、決して派手ではなくとも確かな意味を持ちました。
涙と汗の2年半があったからこそ、彼女は裏方の尊さと支えることの喜びを学び、次の夢――小学校の教師という道へとつながっています。
家永さんの物語は、「夢を追うのは選手だけではない」ということを改めて教えてくれました。
誰かを支えたいという熱意は、時に選手たちの力を何倍にも大きくし、そして未来の誰かを育てる糧となるのです。甲子園の黒土とともに心に刻まれた経験は、これからも彼女を支え続けるでしょう。
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