2025年7月の参議院選挙で、与党は過半数を割りこむ結果となり、政界に大きな波紋が広がりました。そんな中、石破茂首相が「続投」を宣言したことで、SNSや党内ではさまざまな反応が巻き起こっています。
X(旧Twitter)では「#石破やめるな」という応援のハッシュタグがトレンド入りし、市民の間で一定の支持が見える一方で、党内では“石破おろし”の声が急速に強まりつつあります。
さらに、「石破退陣署名」の動きも話題になっていますが、その実態はどうなのでしょうか?
このブログでは、SNSでの反応から署名活動の現状、そして党内の動きまで、わかりやすくまとめてみました。
はじめに
参院選敗北の衝撃と石破首相の続投宣言
2025年7月に行われた参議院選挙で、与党が過半数割れという結果に終わったことは、政界にとって大きな衝撃でした。
敗北の責任を問う声が高まる中、石破茂首相は選挙翌日の記者会見で「赤心報国(せきしんほうこく)」の言葉を引用し、引き続き国政に向き合う決意を表明しました。
自身の進退については「いばらの道を進む」とし、辞任の意思はないことを明言。これにより、石破首相を巡る評価は真っ二つに分かれました。
農水大臣・小泉進次郎氏が「比較第一党という表現に胸を張るのではなく、過半数を取れなかったことを重く受け止めるべきだ」と発言するなど、閣僚の中からも厳しい声が出ており、与党内に動揺が広がっています。
SNSと党内で割れる“続投”への評価
こうした中、X(旧Twitter)では「#石破やめるな」というハッシュタグが急速に広がり、トレンド入りしました。
応援の声が目立つ一方で、党内では「石破おろし」の動きが表面化。高知県連や愛媛県連など、地方の自民党組織からは続々と退陣要求が上がっています。
さらに、党内では総裁選の実施を求める署名文書まで出回るなど、緊張感が一気に高まっています。SNSと現実の政治の場で、石破首相の去就を巡る温度差が浮き彫りとなっており、今後の展開が注目されています。
1.「#石破やめるな」が示す市民の声

トレンド入りした背景と拡散のタイミング
参院選の開票結果が明らかになった翌日、「#石破やめるな」というハッシュタグがX(旧Twitter)上で急速に広がりました。
選挙で与党が敗北した直後というタイミングもあり、石破首相の進退に注目が集まる中、「辞めないで」という市民の思いが短時間に集中して投稿され、瞬く間にトレンド入りを果たしました。
実際の投稿は、「ここで辞めたら改革が止まる」「逃げない姿勢を評価する」といった内容が多く、石破首相の誠実さや政策継続への期待が背景にあることがうかがえます。
テレビや新聞よりも早く反応が可視化されるSNSならではの現象とも言えるでしょう。
支持者の投稿内容とキーワード分析
「#石破やめるな」の投稿を眺めると、いくつかの共通するキーワードが目立ちます。
たとえば「信念」「責任感」「改革」「逃げない」といった言葉が頻出しており、石破氏を支持する人々は、政治家としての姿勢や覚悟を重視していることが分かります。
また、個人の体験を交えた投稿も多く、「東日本大震災の時の説明が心に残っている」「コロナ禍の対応で信頼した」といった具体的なエピソードを交えた発言が広がりました。
こうした市民の“記憶”に根ざした支持が、今回のトレンド形成を支えているようです。
石破首相の人柄や政策への評価ポイント
石破茂首相は、過去の防衛大臣・農水大臣時代から「丁寧な説明」「現場主義」といった姿勢で知られてきました。
言葉を選び、相手の理解を重視する発言スタイルは、テレビ討論などでも一貫しており、「ぶれない人」として評価する声も少なくありません。
また、地方再生や防災政策に注力してきた実績も、特に地方在住のユーザーから評価されています。
「地元に来て話を聞いてくれた」「他の総理候補とは違う」という投稿も見られ、トップダウン型ではない政治姿勢が、一定の層に深く支持されていることが伺えます。
2.退陣署名と党内の現実
オンライン署名の実態と署名数の推移
SNS上で話題となっている「石破退陣署名」ですが、その実態はどうでしょうか。
実際には、Change.org上で2025年3月に立ち上がった「石破内閣の総辞職を求めます!」というオンライン署名が存在します。
これには約470人が賛同しています。また、2025年1月にも別の呼びかけがあり、こちらには80件程度の署名が集まっています。
ただし、注目したいのはこれらの署名活動が、参議院選挙の結果を受けて“爆発的に急増した”わけではないという点です。
すでに数か月前から始まっていたものであり、今回の政局を機に再び注目が集まったというのが実情です。
署名数の伸びも穏やかで、一部のSNSユーザーが期待するような「国民の怒りの証明」とまでは言い難いのが現実です。
「#石破退陣署名」は実際に拡散しているのか
SNS上では、「#石破退陣署名」というハッシュタグが拡散しているという印象を持つ人もいます。
しかし、実際のところこのハッシュタグがXでトレンド入りしたという事実は確認されていません。むしろ「#石破やめるな」のように明確な支持を表すハッシュタグの方が、可視化され、共有されやすい傾向があります。
「退陣を求める署名活動」は、地道に進められているとはいえ、その盛り上がりがSNS全体の主流を占めているとは言い切れません。投稿数や拡散力においても限定的であり、静かな反発といった印象が強いのが現状です。
SNSと現実政治の温度差が示すもの
このように、SNSで盛り上がっているように見える話題と、実際の署名数や行動との間にはしばしばギャップがあります。
多くの人が感じているように、Xのトレンドは一時的な話題性に大きく左右され、必ずしも「世論そのもの」を表しているわけではありません。
今回の件でも、「退陣を求める声」がネット上で印象強く見えていたとしても、それが現実の政治圧力に直結しているとは限りません。
むしろ、党内での実務的な動きや、地方組織からの公式な申し入れこそが、政局を動かす本当の要因となっています。こうした“温度差”を理解しながら、私たちがどのように情報を受け止めるかが問われている時代なのかもしれません。
3.石破おろしの加速と党内の緊張
自民党内での異論と過去発言との矛盾
石破首相が選挙直後に示した続投の意思は、党内でも大きな波紋を呼びました。
特に注目されたのは、2007年の参院選で安倍首相(当時)が続投を表明した際の石破氏自身の発言です。
当時、石破氏は「辞めろという権限は我々にはないが、総理ご自身が辞任を決断すべきだ」と語っており、今回の自身の姿勢と明らかに矛盾しています。こうした“過去との不一致”が、党内外から「自らも辞任すべきではないか」という批判を招いています。
さらに、小泉進次郎農水大臣をはじめとした若手・中堅議員からは、「比較第一党であることに胸を張るべきではない」との声が上がるなど、執行部の責任を問う発言が相次いでいます。
かつて石破氏を支持していた議員の一部も距離を置き始めており、政権基盤の揺らぎが目に見えて進行しています。
地方組織や若手議員からの退陣要求
党内の不満は、地方組織からも表面化しています。高知県連は選挙翌日に早期退陣を求める申し入れを決定し、愛媛県連も同様に「体制刷新」を求める声明を発表しました。
こうした地方からの動きは、執行部の求心力が落ちている証ともいえます。
石川県で開催された党の会合では、佐々木紀衆院議員が「総理は辞任して、党員に信を問うべき」と公然と発言。こうした発言が出ること自体、自民党内の分裂が顕在化している証拠です。
また、水面下では「石破総理のリコールを求める」文書も回覧されており、総裁選の実施を視野に入れた署名活動が始まっているとも報じられています。党内の空気は確実に“石破おろし”に傾いてきている状況です。
総裁選要求と両院議員懇談会の行方
こうした事態を受けて、自民党執行部は7月31日に全所属国会議員を対象とした「両院議員懇談会」を開くと発表しました。
懇談会は意見交換の場に過ぎず、法的拘束力や議決権はありませんが、「党内の声を受け止めた」との姿勢を見せる意図があると考えられます。
しかし一部議員からは、「実際に進退を問うには両院議員総会を開くべきだ」との声が上がっており、今後はその開催の是非が焦点になりそうです。
両院議員総会は、総裁選の開催や執行部の辞任勧告が可能な場であり、本格的な権力交代につながる可能性を持っています。
石破首相にとって、支持の再結集ができなければ、政権の命運を左右する重大局面となるのは間違いありません。
まとめ
参議院選挙の敗北を受けて石破首相が続投を宣言したことで、政界には激しい波紋が広がりました。
SNS上では「#石破やめるな」がトレンド入りし、市民の間で一定の支持が可視化された一方で、党内では退陣を求める声が加速。オンライン署名も存在するものの、実際には急増しているわけではなく、盛り上がりとしては限定的でした。
むしろ注目すべきは、自民党内での「石破おろし」の動きです。
過去の自身の発言との矛盾が取り沙汰される中で、若手議員や地方組織からは退陣を求める声明が次々と出され、党内は緊張感に包まれています。
両院議員懇談会の開催が決定されたことで、今後は「両院議員総会」への発展、すなわち総裁選の実施を求める動きに注目が集まります。
石破首相にとって、政権維持のカギは党内の結束と信頼の再構築にあります。私たち有権者も、SNSの賛否だけでなく、実際の政治プロセスや権力の動きに目を向ける必要があるのではないでしょうか。
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