2025年7月、北海道・福島町でクマによる痛ましい死亡事故が起きました。しかも、後のDNA鑑定で、4年前にも別の命を奪ったのと“同じクマ”だったことが明らかになったんです…!
この記事では、7月12日の新聞配達員襲撃事件の概要から、7月18日に駆除されたヒグマとの関係、DNA鑑定の結果、そして町内外の反応や今後の課題まで、私なりにわかりやすくまとめました。
「どうしてこんなことが起きたの?」「クマと共に生きるってどういうこと?」――そんな疑問を持つ方に、少しでも届けばと思いま
はじめに
北海道福島町で相次ぐクマ出没が注目を集めています
2025年7月、北海道南部の福島町では、クマの出没とそれに関連する事故が大きな話題となっています。
特に注目されたのは、7月12日に新聞配達中の男性がクマに襲われ命を落とした痛ましい事件です。
襲撃現場は住宅地に近く、早朝という生活圏の時間帯での発生だったこともあり、住民の間では大きな衝撃が走りました。
そのわずか6日後の7月18日、町内に再び現れた体長2メートル超の巨大なクマがハンターによって駆除されました。
この一連の出来事は、野生動物と人間の生活領域がいかに近づいているかを改めて突きつけるものでした。
2025年7月18日に駆除されたクマと過去の襲撃事件の関係が明らかになりました
駆除されたクマが7月12日の襲撃事件の犯クマであることが、DNA鑑定により判明しました。
体長は2メートルを超え、体重218キロ、推定8〜9歳のオス。このクマのDNAは、なんと4年前に別の住民を死亡させた個体と一致していたことも明らかになりました。
つまり、人に対する攻撃性を過去にも持っていた“人馴れした危険な個体”だったのです。
町は当初、複数のクマが町内を徘徊している可能性を示していましたが、現場周辺で採取された体毛などの分析結果から、実際には1頭のクマによるものと確認されました。
このような凶暴なクマが再び市街地に現れた背景には、食料不足や人の生活圏への慣れ、あるいは過去の成功体験(人間を襲った経験)が関係している可能性も指摘されています。
今、福島町は「もう一頭いるかもしれない」という不安とともに、緊張した日々を送っています。
1.福島町で発生したクマ被害の経緯
新聞配達員が襲撃された7月12日の事件概要
事件が起きたのは、7月12日の午前4時ごろ。福島町にある住宅街の近くで新聞配達をしていた佐藤研樹さん(52)が、突如現れたクマに襲われました。
佐藤さんは日頃から決まった時間にルートを回っていたとのことで、住民の目撃情報によれば、襲われた際には大きなうなり声と悲鳴が響いていたといいます。
その後、佐藤さんの姿が見えなくなり、近隣住民の通報を受けて警察と消防が現場を捜索。
発見されたのは、襲撃現場からおよそ100メートル離れた草むらの中でした。遺体の状況から、クマに引きずられて移動させられたことが明らかとなり、その暴力的な行動に町中が震撼しました。
7月18日に駆除されたクマの詳細と現場状況
そのわずか6日後の7月18日午前3時30分ごろ、町内の月崎地区で再びクマが出没。
すでに住民には避難が呼びかけられていた中、現場に駆けつけたハンターが市街地での発砲を許可され、駆除が行われました。
駆除されたクマは、体長2メートル8センチ、体重218キロの巨大なオス。年齢は推定で8〜9歳でした。
発見場所は、佐藤さんが襲われた地点から約800メートルの距離にあり、町はこのクマと事件との関連をDNA鑑定によって調べることになりました。
被害者が100m引きずられた衝撃的な痕跡
事件の悲惨さを物語るのが、佐藤さんの遺体発見場所まで続いていた痕跡です。草が踏みならされ、地面には深く爪跡が残されていたといいます。
これはクマが執拗に攻撃を続け、かつ移動させたことを意味しており、その凶暴性は極めて高いものでした。
こうした攻撃性の高さは、ヒグマが人間を「獲物」として捉えていた可能性を示唆しています。
通常、クマは人間との接触を避ける傾向にありますが、この個体はまったく異なる行動をとっていました。まさに、人間社会と野生の境界線が曖昧になっている現実を突きつける事件だったのです。

2.DNA鑑定で明らかになったクマの正体

7月12日の襲撃と駆除個体が同一と判明
7月18日に駆除された巨大なクマについて、福島町が行ったDNA鑑定の結果が衝撃的な事実を明らかにしました。
この個体のDNAは、7月12日に新聞配達中の佐藤研樹さんを襲ったクマと完全に一致したのです。
つまり、町の住宅街を徘徊していたこの一頭が、6日前の痛ましい襲撃事件を引き起こした張本人であることが科学的に裏付けられました。
この結果は、町民だけでなく多くの関係者にとっても重い現実となりました。
事件直後から「別のクマの可能性もある」とされていた状況の中で、一連の脅威が1頭の個体によるものであったという事実は、対策の方向性を大きく左右するものとなります。
4年前の死亡事故との関連性も判明
さらに深刻だったのは、このクマが過去にも致命的な襲撃を起こしていたことが判明した点です。
DNA解析によって、この個体は2021年、福島町白符地区で当時77歳の女性を襲い、死亡させた事件にも関与していたことが分かりました。つまり、同じクマが複数回にわたって人命を奪っていたことになります。
クマは通常、攻撃的な行動をとったあとに駆除されるか、人間を避ける傾向を強めるとされています。
しかし、この個体はそうした“野生の掟”から外れており、人間の存在に対してむしろ馴れ、再び市街地に出没するようになっていたのです。
このような行動は、専門家の間でも「学習型の人馴れ個体」として特に危険視されています。
採取された体毛から1頭のクマのみが出没と結論
事件発生当初、町内には複数のクマが徘徊しているとみられていました。実際、足跡や目撃情報が各所から寄せられ、住民の不安は日に日に高まっていきました。
しかし、その後現場周辺4か所で採取された体毛のDNAを精査した結果、これらの痕跡はいずれも駆除された1頭の個体によるものだったと判明しました。
つまり、少なくとも7月中旬時点で福島町に出没していたのは、1頭のクマだったというのが最新の結論です。
ただし、クマの生息地が拡大している現在、1頭が駆除されたことで事態が終息したとは限りません。
今回のように、同一個体が数年にわたって複数の命を奪っていたことを考えると、地域全体での長期的な監視体制の構築が求められています。
3.町内外で広がる反応と課題
「クマを殺すな」など苦情電話が相次ぐ背景
事件が発生してからの数日間、福島町の役場には全国から苦情電話が殺到しました。
その数は12日から18日までに約50件にのぼり、「クマを殺すな」「駆除は正しかったのか」など、内容は批判的なものが多かったといいます。驚くべきことに、これらの多くは町外からのものでした。
SNSなどを通じて事件が拡散されるなか、動物愛護の立場からの声が寄せられる一方、実際に生活圏内で脅威にさらされている住民の声は埋もれがちです。
町内では小学校の通学路にクマが出たという報告もあり、「もし子どもが襲われていたら」と想像するだけでも恐ろしいという声が多く聞かれます。
発砲による駆除の判断とその是非
福島町がとった「市街地での発砲による駆除」という判断についても、議論が分かれました。
住宅街での発砲は、通常であれば非常に慎重に扱われるべき事案です。
しかし、今回は早朝の時間帯で住民の安全が最優先とされ、地元の猟友会による駆除が実行されました。
現場では周囲への避難が事前に呼びかけられ、十分な安全対策のうえでの対応だったとされています。
それでも「なぜ麻酔銃を使わなかったのか」「捕獲して山に返せなかったのか」といった疑問の声が多く寄せられたといいます。
実際には、体長2メートルを超えたクマに麻酔銃が即効性を持たないことや、市街地での長時間の取り押さえはさらなるリスクを生む可能性があることから、緊急措置としての駆除が選択された経緯がありました。
別のクマの存在と続く警戒態勢
今回のクマの駆除により、事件の主な脅威は取り除かれたかに見えました。
しかし、福島町では依然として「もう1頭いるのではないか」という不安が消えていません。住民からの目撃情報は散発的に続いており、町も引き続きパトロールや罠の設置などを強化しています。
町内には山林が多く、人口減少とともに人の手が入らなくなったエリアも増えており、クマが町近くまで下りてくる要因のひとつとされています。
加えて、クマの生息域が年々南下しているという報告もあり、北海道だけの問題ではないという意識が広がりつつあります。
「駆除するか、共存を模索するか」という議論が全国的にも巻き起こるなか、福島町は住民の安全と野生動物との向き合い方について、現場で悩みながらも一歩一歩判断を重ねている状況です。

まとめ
福島町で起きたクマによる死亡事故と、その後の駆除、DNA鑑定による同一個体の特定は、多くの人々に衝撃を与えました。
特に、4年前にも別の死亡事故を引き起こしていた同じクマだったという事実は、野生動物との距離感を私たちに改めて問い直すものでした。
この事件を通じて明らかになったのは、単なる「出没」ではなく、明確な「危険行動」をとる個体が存在すること、そしてそうした脅威に迅速に対応することの重要性です。
一方で、駆除の是非をめぐる議論や町外からの苦情電話に象徴されるように、「人と動物の共生」の難しさも浮き彫りとなりました。
クマはただの“山の動物”ではなく、環境の変化と人間の生活圏の拡大によって、その行動パターンも大きく変わりつつあります。
福島町のケースは、全国どの地域でも起こり得る現実であり、単なる“地方のニュース”として片付けられるものではありません。
今後も、自治体や住民、そして私たち一人ひとりが「命を守るために何ができるか」を考え続けることが、真の共存への第一歩となるでしょう。
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