クレーンゲームで取った“おもちゃの拳銃”が、実は違法な銃だったかもしれない——そんな信じられないニュースが話題になっています。
「リアルギミックミニリボルバー」と呼ばれる中国製の玩具銃が、日本の銃刀法に違反する恐れがあるとして、警察庁が回収を進めています。
この記事では、なぜこのおもちゃが違法とされたのか?どんな危険があるのか?そして今、私たちがどう対応すればよいのかを、わかりやすく解説します。
お子さんが遊んでいるものの中にも、もしかしたら該当品があるかもしれません。ぜひご家庭でも一度チェックしてみてください
はじめに
クレーンゲームの景品が違法拳銃?注目のニュースを解説
まさか、ゲームセンターのクレーンゲームで手に入れた“おもちゃ”が、本物の拳銃と同じ威力を持っていたとは——。そんな驚きのニュースが全国を駆け巡りました。警察庁が発表したのは、中国から輸入された「リアルギミックミニリボルバー」という玩具銃が、実弾を発射できる構造を持っており、銃刀法に抵触する恐れがあるという衝撃的な事実。すでに国内では1万6000丁が流通し、その一部はネットやフリマアプリを通じて一般にも広く販売されていました。
クレーンゲームの景品として手に入れたものが、じつは法律違反の“危険物”だった——そんな信じられない事態に、戸惑いと不安の声が広がっています。
玩具銃がなぜ銃刀法違反になるのか、問題の本質とは
「おもちゃなのに違法?」と疑問に思う方も多いかもしれません。たしかに、一般的なおもちゃの銃は、構造上、弾が発射されないようになっているため、法律の対象外とされています。
しかし今回問題となっている玩具銃は、銃身と弾倉が貫通しており、実弾を装填して発射できる構造を持っていたのです。たとえ材質がプラスチックであっても、構造的に「真正拳銃」と見なされる要素が揃っていれば、銃刀法違反の対象になります。つまり、見た目が“おもちゃ”であっても、安全性を欠いた構造が問題の本質なのです。
警察庁はすでに約450丁を回収し、12月末までに所持者へ返納を呼びかけています。このブログでは、なぜこのような玩具銃が問題になったのか、そして私たちはどう対応すべきかを、わかりやすく解説していきます。
1.リアルギミックミニリボルバーとは何か

中国から輸入された玩具銃の概要
まず、今回問題になっている「リアルギミックミニリボルバー」は、中国で製造された小型リボルバー型の玩具銃です。見た目は金属調の塗装やシリンダー(回転する弾倉)風のパーツがあり、“本格的なおもちゃ”として売られていました。セットにはプラスチック製の小さな弾(ビーズ状/ペレット状)が付属し、「射的遊びが楽しめる」ことを想定した商品説明が使われるケースもあったようです。
サイズは子どもの手でも握りやすいミニサイズで、ゲームセンターのクレーンゲーム(UFOキャッチャー)機に複数個まとめて入れられる程度の軽量さ。パッケージやタグには英語・中国語混じりの表示があるロットも確認され、「リアルギミック」「ミニ」「リボルバー」といった言葉が並ぶことで“リアル感”を売りにしていたとみられます。こうした外観のリアルさが、後述する法的問題につながる下地になりました。
国内への流通経路と対象年齢の設定
本製品は昨年12月以降、日本国内の輸入業者が約1万6000丁をまとめて仕入れ、そこから各地域のアミューズメント景品卸業者へ出荷したとされています。仕向け先は全国31道府県にまたがり、ゲームセンターやアミューズメント施設、雑貨景品を扱うイベント業者などに広がった形です。「クレーンゲーム景品用まとめパック」として箱単位で卸されることもあり、店舗側が深く中身を精査しないまま景品投入に至った可能性があります。
対象年齢表示は「12歳以上」。この数字は「小さな部品があるので幼児向けではない」「ある程度安全に遊べる年齢」という目安程度に付けられることが多く、銃としての安全性や法律面の保証ではありません。景品棚に年齢表示が細かく掲示されないケースも多く、結果として幅広い年齢層に行き渡ったと考えられます。
ネット販売やフリマサイトでの広がり
実店舗の景品として出回った後、個人間取引を通じてさらに広がった痕跡が確認されています。たとえば、クレーンゲームで複数個獲得した利用者がフリマアプリ(メルカリ系サービス等)に「景品で取った未使用品」「まとめ売り」として出品する――こうした二次流通は珍しくありません。写真付きで「リアル」「小型リボルバー」「動作未確認」などと書かれた出品文言が並び、購入者がそのままコレクション目的で保管したり、再転売したりする循環が生まれました。
問題は、出品者・購入者ともに「ただの玩具」と思い込んだまま移動してしまった点です。ネット通販モールやオークションサイトでも類似名称で検索ヒットするケースがあり、在庫がどこにどれだけ残っているのか追跡しにくい状況になっています。もし心当たりの品がご家庭に眠っているなら、のちほど紹介する確認ポイントと提出方法を必ずチェックしてください。
2.実弾発射能力と銃刀法違反の可能性
銃器評論家が指摘する「実弾発射構造」とは
この「リアルギミックミニリボルバー」が注目された最大の理由は、玩具でありながら“本物の拳銃と同じように弾を発射できる構造”を備えていた点にあります。銃器評論家の津田哲也氏によると、この玩具銃は銃身(銃口に向かって弾が通る部分)と弾倉(弾を入れる部分)が貫通しており、そこに実弾を装填して発射できるような設計になっていたとのことです。
つまり、外見こそプラスチック製の“おもちゃ”に見えたとしても、内部構造がきちんと整えば、実際に威力ある弾を発射できる状態になってしまうというわけです。しかも、銃口に弾の発射を妨げる“安全措置”が施されていないため、実質的には拳銃と変わらない機能を持っていたことになります。
たとえば、昔から存在する“モデルガン”や“エアソフトガン”は、日本の法律に合わせて安全機構や威力の制限が加えられているのが一般的です。しかし、この「リアルギミックミニリボルバー」は、それらと違って明確な安全対策がされておらず、違法性が高いと判断されました。
日本の法制度における「おもちゃ」と「銃器」の境界
日本の法律、特に「銃刀法」では、「実際に弾を発射できる能力があるかどうか」が銃器と認定される大きな基準です。見た目がどれほどリアルでも、安全装置がついていたり、発射機構がないものであれば、通常は規制対象になりません。
しかし今回の玩具銃は、構造上「発射可能」と鑑定されました。しかも、実際に兵庫県警が押収した品について、発射テストの結果、実弾が飛び出すほどの威力が確認されたと報告されています。これにより、警察庁は「拳銃と同様の発射能力を持つ」と明言し、銃刀法に基づく回収措置を取ることとなったのです。
この線引きは、日常的にモデルガンやサバゲー用のエアガンを楽しんでいる人にとっても非常に重要です。誤って構造が違法性を帯びていた場合、知らぬ間に法律違反になってしまうおそれがあるからです。
過去にも確認された類似玩具銃との比較
今回のケースは突発的な出来事ではありません。警察庁は過去にも、通販サイトなどで販売されていた16種類の玩具銃について、同様の発射能力を持つとして注意喚起を行ってきました。中には「金属製ボディ」「リアルな撃鉄(ハンマー)」「6発装填可能なシリンダー」といった本物そっくりの仕様を持つ商品もあり、「観賞用」「サバゲー用」として購入した人が多く存在していました。
しかし、これらの中には内部構造を改造すれば簡単に実弾が使えるようになるものも含まれており、実際に犯罪に悪用された例も報告されています。今回の「リアルギミックミニリボルバー」も、改造の余地があるという点で“リスクの高い玩具”として、特別に警戒された形です。
市販されているからといって、すべてが安全とは限らない――そんな注意が、いま一度必要とされているのかもしれません。
3.警察の対応と市民への呼びかけ
回収の進捗と警察庁の公式対応
この問題が公表されて以降、警察庁は迅速に行動を開始しました。2025年7月16日時点で、全国で約450丁の「リアルギミックミニリボルバー」が回収されたと発表されています。これは全体数(約1万6000丁)から見ればごく一部にすぎませんが、景品として幅広くばらまかれた状況を考えれば、早期の情報発信と対応は非常に重要です。
警察庁は、公式ホームページ上で該当玩具銃の画像と特徴を公開し、所持している可能性のある人に対して“見た目の確認”を促しています。また、同型の玩具銃がフリマアプリや通販サイトなどで販売されている実例も明らかにし、事業者に対しても流通停止と自主回収への協力を求めています。
さらに、全国の都道府県警に対しても、一般市民からの問い合わせに応じる専用の窓口設置や、回収手続きの案内徹底が通達されています。該当する品を持っている場合は、最寄りの警察署へ相談することが呼びかけられています。
提出期限と提出方法の詳細
警察庁は、対象となる玩具銃の提出期限を「2025年12月31日」と明記しており、それまでは違法所持とはみなさず、自主的な提出を受け付ける方針です。期限を過ぎても手元に所持し続けた場合、銃刀法違反で処罰される可能性があるため、早めの対応が必要です。
提出方法は非常にシンプルです。最寄りの警察署の生活安全課、または交番へ持ち込めば、その場で引き取り・処理を行ってもらえます。本人確認書類の提示などを求められることもありますが、提出者に対して処罰を行うことはないとされています。
注意したいのは、「郵送では受け付けていない」「ネットでの申請だけでは完了しない」という点です。必ず現物を持って、直接警察へ届け出る必要があります。万が一、お子さんが家で遊んでいた場合や、保管棚に気づかずしまわれていた場合もあるので、家族全体で確認しておくことが安心です。
今後のリスクと改造・悪用の懸念
警察庁がこのように強い姿勢を見せている背景には、今後の悪用リスクが現実的に懸念されるからです。たとえば、今回のような“外見は玩具、中身は実銃”というタイプの道具は、犯罪に利用されやすいと指摘されています。過去には改造モデルガンを使った強盗事件や、模造銃で人を脅すケースも報告されており、「玩具だから安心」とは言い切れない状況になっているのです。
さらに、「銃口を塞いでいない」「金属パーツを組み合わせることで強度を上げられる」といった技術的ハードルの低さも問題視されています。YouTubeやSNS上では、海外を中心に“玩具銃の分解動画”などが出回っており、悪意ある人が参考にしてしまうリスクも否定できません。
こうした背景を踏まえ、警察庁は単なる注意喚起にとどまらず、制度的な見直しや輸入規制の強化も視野に入れているようです。市民としては、「家にあるからといって無視せず、今すぐ確認する」ことが、トラブルを未然に防ぐ第一歩になるでしょう。
まとめ
一見して“おもちゃ”に見える玩具銃が、実は実弾を発射できるほどの構造と性能を備えていた――今回の「リアルギミックミニリボルバー」の問題は、私たちが普段から無意識に見過ごしている「安全とみなされるモノ」への過信を問い直す出来事となりました。
警察庁はすでに違法性を明確にし、所持者には速やかな提出を呼びかけています。とくに家庭内に小さな子どもがいる場合は、誤って使用したり、改造に興味を持ったりする危険性もあるため、早急な対応が求められます。
また、ネット販売やフリマアプリで入手された方の中には、「本当にそんなに危険なのか」と半信半疑の方もいるかもしれません。しかし、銃刀法違反の対象となるかどうかは、使い方ではなく“構造”によって判断されます。知らなかったでは済まされない現実が、そこにあります。
今回の件をきっかけに、おもちゃ・模造品・レプリカといった商品の扱いにも注意を向け、違法性のある可能性があれば迷わず専門機関へ相談するという意識を、私たち一人ひとりが持つことが重要です。
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