大阪・関西万博にコスプレ姿で訪れた女性が写真をXに投稿して話題になりました。当初はイイネが多数ついていたのが、次第に「マナー違反」との指摘を受けて炎上する事態となりました。
女性本人が、その後誹謗中傷へと変化した事態を文春のインタビューで語っています。何があったのか?詳しくまとめています。
SNSで物議を醸した“万博コスプレ騒動”とは?
【万博でコスプレ炎上 女性語る恐怖】https://t.co/HfjYqD5NUR
— Yahoo!ニュース (@YahooNewsTopics) May 18, 2025
2025年春、大阪・関西万博の会場を訪れた一人の女性のX(旧Twitter)投稿が、想像を超える注目を集めました。彼女の名は鹿乃つのさん。人気漫画『ダンジョン飯』の登場キャラクター「マルシル」のコスプレ姿で万博会場を巡り、その様子を写真とともに投稿したのです。
その投稿には「素敵!」「本当にマルシルがいるみたい」といった称賛の声が寄せられる一方で、次第に「万博にコスプレは場違い」「非常識すぎる」といった批判も噴出。リポストやコメントが拡散され、瞬く間に炎上へと発展しました。
最初は本人も「思い出を共有しただけ」のつもりだったそうですが、投稿は9000件以上リポストされ、1.8万件を超える「いいね」を記録。注目が集中する一方で、過激な誹謗中傷やプライバシーへの攻撃にまで発展し、本人がSNSを一時非公開にする事態となったのです。
「モラルがない」とされる背景にある社会的反応
「公共の場でのコスプレはTPOをわきまえていない」「子どもや高齢者も訪れる場所で、どうしてアニメキャラの格好を?」——こうした意見は、鹿乃さんの投稿を目にした一般層から多く上がりました。
特に、コスプレをイベントや特定の場に限定された趣味だと捉える人々からは、「場にそぐわない」という意識が強く、「マナー違反」「空気が読めない」といった非難が相次ぎました。
加えて、SNSでの自己表現に対する過敏な反応も炎上を後押ししました。「目立ちたいだけ」「“いいね”稼ぎだ」といった見方が一部のユーザー間で広まり、「承認欲求の暴走」とも揶揄されたのです。
こうした批判の背景には、公共空間におけるふるまいの「暗黙の了解」が存在している一方で、それが人によって解釈にズレがあること、そしてSNS時代の“見られることを前提とした行動”への不信感が根底にあるといえます。
この騒動は単なる「コスプレの是非」だけでなく、公共マナー、ネット文化、多様性の受容など、いくつもの社会課題を内包する出来事だったのです。
鹿乃つのさんが文春のインタビュー
この騒動と、その影響について鹿乃つのさんが文春のインタビューを受けて記事になっています。記事の内容について詳しくまとめてみました。

コスプレで万博に行った理由
万博コスプレ、文春で記事にしていただきました🙇♀️!
— 鹿乃つの (@shikano_tsuno_) May 18, 2025
某氏が「その土地に行くことで本当に自分が大好きなアニメやキャラクターが存在しているんじゃないかと、盛り上がれる楽しみがあるんじゃないか」とコメントしていましたが、まさにそう思って万博に行きました。
ご一読いただけたら嬉しいです。 https://t.co/3U2C6amI0b
幼い頃からの夢と万博への特別な思い入れ
彼女は元々、関西旅行の予定があって万博にも行ってみたいと思っていたそうです。
SNSでは万博を楽しむ人の声がある一方で「コスプレはダメ」という批判も多く、一度は参加を悩んでいたと言います。しかし公式サイトのQ&Aでコスプレ入場が認められることを知ると、たちまち気持ちが変わりました。鹿乃さんは「マルシルがいろいろ遊びに行ったよという写真が撮れたら楽しいし、貴重な体験になる」と考え、万博を訪れる決意を固めたと語っています。
また、彼女自身は「いいね稼ぎのためではない」と強調し、何より万博の楽しい雰囲気を多くの人に伝えたいと話していました。実際に鹿乃さんは「コスプレ抜きにしてもすごく楽しい場所だった」と感想を述べ、SNSの批判で行くか迷っている人に対して「行かないのはもったいない」と呼びかけています。
さらに、万博は“多様性”をテーマに掲げる場であることから、コスプレ文化を従来の古い常識で判断しないきっかけになると考えていたようです。実際、彼女は「こんなに素晴らしい文化なのに、いまだにアングラの域を出ないのはおかしい」「昔ながらのルールを押し付けるのは変だ」と述べ、今回の騒動を表現の自由や二次創作文化について考える機会と捉えていました。
選んだ衣装とそのキャラクターへの愛着
鹿乃つのさんが選んだコスチュームは、人気漫画『ダンジョン飯』に登場するエルフのキャラクター「マルシル」です。
マルシルの耳を着けた衣装で万博会場の寿司店に現れ、作品の世界観をそのまま楽しんでいる様子が目撃されました。鹿乃さんは「マルシルが万博を冒険しているところを見たい」と語り、撮影した写真を振り返っては「どこで写真を撮ってもかわいい」「万博を冒険しているという事実がかわいい」と、その可愛らしさを愛情たっぷりに表現しています。
また、コスプレ参加を決めた理由についても「マルシルを連れていけるなら絶対楽しい!」と思い立ち、即座にチケットを購入したと明かしています。大好きなキャラクターを連れて特別な場所に行くこと自体に大きなワクワクを感じていたことがうかがえます。
実際に来場者やスタッフの反応はどうだったのか?
万博会場では、鹿乃さんのコスプレに対してむしろ好意的な反応が多く見られました。
現地で出会った来場者からは「エルフがいる!?」と声をかけられて写真をお願いされる一幕もあり、万博のスタッフからは「何の作品のキャラクターですか?」「どのキャラなんですか?」と興味津々に尋ねられたといいます。鹿乃さんはすぐに「『ダンジョン飯』という作品のマルシルです」と答え、和やかな交流が続いたそうです。
周囲にはコスプレへの嫌悪感はまったくなく、逆に多くの人が笑顔で撮影や会話を楽しんでいました。また彼女自身は「コスプレ抜きにしてもすごく楽しい場所だった」と振り返り、オンライン上の批判に影響されて来場しないのは「もったいない」と語っています。
実際の現場での体験から、彼女はSNSでの騒動とは別に心から万博を満喫できたことを強調していました。
炎上の経緯と世間の反応
投稿後に広がった批判と「常識外れ」の声
彼女が23日未明に万博でのコスプレ体験をSNSで報告すると、その投稿はたちまち拡散し、9000件超のリポスト・1.8万件以上の「いいね」が集まる大反響となりました。
しかし夜になると批判コメントが急増し、24日朝には本人も「一般層にまで波及して混沌とした状態」と振り返るほどの炎上状態になっていました。
ネット上では「公共の場でTPOをわきまえていない」「万博にアニメのコスプレは場違いだ」といった声が噴出し、彼女の行動を「モラルがない」「常識外れだ」と断じる厳しい意見が相次ぎました。
また、「推し活ではなく承認欲求のためだ」「キャラを私物化するな」といった、中傷とも取れる批判も見られました。
賛否が分かれたネット上のコメント分析
ネット上の反応は賛否両論でした。主に次のような声が見られます
賛同の声: 「わかりやすくて良い記事をありがとうございます」「ルールやマナーを守れば大丈夫なのですね」といった、彼女の投稿を肯定的に受け止めるコメントが多数寄せられました。万博協会の公式ルールに従って行動している点を評価し、ポジティブな意見が目立っています。
批判の声: 「TPOってあるんですよ」「著作権侵害になるんじゃない?」といった、公共空間でのコスプレに疑問を呈する意見も多く見られました。なかには彼女の行為を『承認欲求』とみなす辛辣な声もありました
友人や家族との関係に及んだ影響

この炎上騒動は、彼女の身近な人にも影を落としました。万博で出会った一般来場者の家族が、撮影した写真や感想をSNSに投稿したところ、その投稿にも誹謗中傷が集まってしまい、結果としてその家族は投稿を削除してアカウントを非公開にせざるを得なかったといいます。
彼女自身も「私じゃなきゃ自死を選んでいたかもしれない」と訴えるほど追い詰められ、睡眠障害や自律神経の乱れなど深刻な心身の不調を訴えています。
現在は警察に相談して自宅付近のパトロールを強化しているほか、家族も深く心配しているとのことです。
本人が語る“本当の理由”と伝えたい想い
「マナー違反ではない」と語る本人の主張
鹿乃つのさんは、自身の行動について一貫して「マナー違反はしていない」と主張しています。
実際、彼女が訪れた大阪・関西万博では、公式サイトの「よくある質問(FAQ)」において「常識の範囲内でのコスプレ入場」は禁止されていないと明記されており、運営からも問題視された形跡はありませんでした 。
また、彼女は会場での行動にも細心の注意を払っていたといいます。施設内では他の来場者に配慮して撮影の際には人混みを避け、フードコートや売店では一般来場者として丁寧に振る舞っていたとのこと。
SNSでは「承認欲求の塊」などと揶揄されましたが、彼女にとってのコスプレは“自己満足”ではなく「好きなキャラと一緒に大切な場所を訪れる」こと自体が喜びだったと語っています 。
なぜ今、声を上げたのか——沈黙を破る理由
炎上直後、鹿乃さんは一時的にSNSを非公開にし、投稿も削除していました。しかしそれでもデマや誹謗中傷が止まず、「虚偽の情報が一人歩きすることに耐えられなくなった」として、沈黙を破り再び言葉を発することを決意しました 。
「声を上げなければ“ネットに強い人が勝つ”という風潮が続いてしまう」と感じた鹿乃さんは、取材にも応じ、ありのままの出来事と心情を明かしました。自分と同じように誤解や偏見で苦しむ人がこれ以上出ないよう、「一石を投じたい」との思いでメディアへの露出を受け入れたといいます 。
この一連の出来事を通じて、「世間の“空気”に押しつぶされることの怖さ」「事実と違う情報がどれだけ人を追い詰めるか」を伝えたいという強い意思が感じられました。
コスプレ文化と公共マナーのこれから
今回の出来事は、コスプレという文化と、公共空間でのマナーとの“線引き”について改めて問い直すきっかけとなりました。
鹿乃さん自身、「多様性を掲げる万博でこそ、コスプレも含めた表現の自由が認められるべき」と考えており、コスプレが単なる“奇抜な格好”ではなく、アートや文化として根付いていることを理解してほしいと願っています 。
実際、海外ではコミックコンベンションなどの大規模イベントだけでなく、美術館や公共施設でもコスプレを楽しむ文化が広がっており、日本でも「TPOを守る」ことを前提に、よりオープンに受け入れられる風土が求められているのかもしれません。
鹿乃さんのような行動が、その第一歩になる可能性もあります。「公共の場で何かを表現すること」が必ずしも否定されるものではなく、相手を思いやる姿勢と社会との対話があれば、文化は共存していける――そんな未来を彼女は目指しているようでした。
鹿乃つのさんに対して寄せられた否定的な意見は、主に以下の3つの観点に集約されます。それぞれの立場には、ネットリテラシーや公共空間でのふるまいに対する価値観の違いが色濃く反映されています。
鹿乃つのさんに対して寄せられた否定的な意見と反論

ここでは、寄せられた反応のの否定的な意見と、それに対して鹿乃つのさんを擁護する反論をまとめてみました。
1. 「TPOをわきまえていない」――公共の場でのコスプレは不適切
- 「万博は子どもからお年寄りまで訪れる“公共の場”なのに、なぜコスプレ?」
- 「華やかすぎる格好は場にそぐわない」「奇抜な格好で目立ちたいだけでは?」
→この批判は、「コスプレ=イベントやハロウィンなど特定の場でのみ許されるもの」という先入観に基づいており、“公共マナー”を重視する層からのものと考えられます。
鹿乃さん・擁護側の反論:
- ルール上問題はない
→ 万博の公式サイトの「よくある質問(FAQ)」には「常識の範囲内でのコスプレは可」と明記されており、運営から注意や排除を受けた事実もない。 - 現地では好意的な反応が多かった
→ 実際に現場では「かわいい!」「写真を撮らせてください」といったポジティブな声が多く、スタッフも作品名を聞くなど好意的だったという証言もある。
2. 「承認欲求が透けて見える」――SNS映えのための自己演出?
- 「ただ目立ちたいだけ」「“いいね”が欲しかったんだろう」
- 「推し活と称して自分の欲求を正当化しているように見える」
→特にX(旧Twitter)などのSNSでは、コスプレ姿の写真とともに「楽しかった」と発信したことが「自分語り」や「自己承認目的」と受け取られたという指摘が見られました。
▼鹿乃さん・擁護側の反論:
- コスプレは自己表現であり、承認を得ることが目的ではない
→ 鹿乃さんは「キャラと一緒に思い出の場所を訪れたい」という純粋な動機を持っており、投稿も“体験の記録”としてシェアしたものだった。 - 「いいね」よりも“楽しかった気持ち”を伝えたかった
→ SNSの投稿内容も「楽しかった」「マルシルが冒険してるみたい」といった日記的なもので、煽るような文言や露出目的ではないと擁護する声がある。
3. 「キャラクターや作品に対して失礼」――“私物化”への批判
- 「原作を冒涜している」「マルシル(キャラ)を使って自己表現しすぎ」
- 「ファンとしてのリスペクトが足りないのでは?」
→原作ファンからは、キャラクターの使い方に違和感を持つ人も見られ、「“マルシルが万博を冒険している”という表現がキャラを利用しているように感じる」といった意見も出ていました。
▼鹿乃さん・擁護側の反論:
- 作品への深い愛着があるからこその行動
→ 鹿乃さんは『ダンジョン飯』の大ファンで、キャラの性格や世界観を理解した上で「マルシルならこんな風に楽しむだろう」と考えて行動していた。 - “表現の一形態”としてのコスプレ文化の一部
→ そもそもコスプレは「キャラへの愛を形にする文化」であり、それを否定すること自体が表現の自由を狭めることになる、という意見も見られる。
否定的意見の背景にあるもの
これらの否定的な声は、コスプレに対する文化的理解の差、公共空間でのふるまいに関する感覚の違い、そしてSNSにおける“見せ方”への敏感さが交錯しているのが特徴です。また、「自分がしないこと=マナー違反」と捉える傾向も、炎上の温床となっていると考えられます。
総合的な擁護の主張
ネット上での“空気”が過剰反応を生んだ → 「ルールを守っていても、“空気を読め”という圧力が一部の人を追い詰めている」との意見が多く、ネットいじめや炎上構造そのものへの問題提起が強調されている。
“普通”や“常識”の価値観は人によって異なる → 「一部の人の感覚だけで“マナー違反”と断じるのは危険」とし、多様な価値観を受け入れる社会であるべき、という声も多数上がっています。
このように、鹿乃さんや擁護する立場からは「法的・運営的に問題はなく、むしろSNS社会の空気が誤解や炎上を招いた」という構図が強調されています。
今回の事例がもららした影響とは?
SNSで物議を醸した“万博コスプレ騒動”から個人への誹謗中傷へと変化した今回の事例が与える影響について考えてみました。
ポジティブな影響
- 多様性と文化の受容の促進: 彼女の行動は、コスプレが単なる奇抜な装いではなく、表現やアートの一形態であることを示しました。万博の「多様性」というテーマにも沿うものとして、多くの人に新たな視点を提供したと思います。
- 公共の場における新たな価値観の形成: 海外では、美術館や公共施設でのコスプレが受け入れられているケースもあります。日本でもTPOを守りながら楽しむことができる文化的な風土を作る第一歩になる可能性があります。
- 表現の自由についての議論: 批判的な意見があったことで、改めて「公共空間での表現とは何か」「どこまで許容されるべきか」といった議論が深まりました。これにより、社会全体で新たなルールや理解が進むことが期待されます。
ネガティブな影響
- SNSでの炎上と誹謗中傷: 彼女の行動は強い批判にもさらされ、精神的な負担が生じました。特に「承認欲求のためだ」「場違いだ」といった中傷は、彼女だけでなく関係者にも影響を及ぼしました。
- ルールやマナーの再考を促す可能性: 一部では「公共の場でのコスプレはTPOをわきまえるべき」との声があり、コスプレが許容される範囲やルールについて再評価が求められるかもしれません。
この出来事を通じて、表現の自由と公共マナーのバランスについて改めて考える機会が生まれました。鹿乃さんのような行動が、将来的にコスプレ文化の認識を広げ、新たな理解を促す契機となる可能性もありますね。
まとめ
今回の“万博コスプレ騒動”は、たった1枚の写真投稿がきっかけとなり、瞬く間に全国的な議論を巻き起こしました。鹿乃つのさんの「マルシル」姿は、楽しさや愛情に満ちた行動であったにもかかわらず、「モラルがない」「TPOがなっていない」といった非難を受け、本人だけでなく関係者にも大きな影響を及ぼしました。
しかしその背景には、万博という“多様性”を象徴する場と、コスプレという創作文化への誤解、そしてSNS時代特有の“炎上”構造が交差していたことが見えてきます。鹿乃さんの「声を上げる」という行動は、多くの人が感じながらも言えなかった違和感や不安に、一石を投じるものでした。
コスプレという文化は、ただの趣味にとどまらず、自己表現や人と人をつなぐ力を持っています。その文化が公共の場でどう共存していけるのかは、今後の社会の寛容性や理解に委ねられています。好きなものを胸を張って楽しむことが、誰かに迷惑をかけない限り咎められるべきではない——鹿乃さんの姿は、そんな問いを私たちに投げかけているのかもしれません。
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