最近、「尿だけでがんのリスクを調べられる」という検査サービスが増えています。
代表的なのが、
- マイシグナル・スキャン
- N-NOSE
- 尿がん検査くん
の3つです。
いずれも自宅などで尿を採取して検査できるため、「人間ドックより手軽そう」「痛みのある検査は苦手」という人から注目されています。
しかし、同じ尿検査だからといって、3つが同じ仕組みというわけではありません。
調べてみると、
マイシグナル・スキャンは尿中のマイクロRNAを解析する検査、N-NOSEは線虫の嗅覚を利用する検査、尿がん検査くんは尿中のがん関連代謝物を測定する検査
という大きな違いがあります。
さらに、価格や対象となるがん、がんの種類まで分かるのかなども異なります。
この記事では、マイシグナル・スキャン、N-NOSE、尿がん検査くんの違いを比較しながら、「どんな人にどの検査が向いているのか」を分かりやすく紹介します。
この記事の結論
詳しさ重視なら「マイシグナル・スキャン」
最大10種類のがんを個別に評価でき、「どのがんに注意すべきか」まで知りたい人向けです。
幅広く調べたいなら「N-NOSE」
23種類のがんを対象としており、全身のがんリスクを広くチェックしたい人に向いています。
価格・継続性重視なら「尿がん検査くん」
1万円台から利用でき、費用を抑えながら定期的に検査したい人に向いています。
マイシグナル・スキャン、N-NOSE、尿がん検査くんを比較
まずは3つの主な違いをまとめてみましょう。
| 項目 | マイシグナル・スキャン | N-NOSE | 尿がん検査くん |
|---|---|---|---|
| 検体 | 尿 | 尿 | 尿 |
| 主な検査方法 | マイクロRNAをAI解析 | 線虫の嗅覚反応を解析 | がん関連代謝物DiAcSpmを測定 |
| 対象 | 最大10種類のがん | 23種類のがん | 複数のがんを対象 |
| がん種別の結果 | ○ | 通常版は× | × |
| 通常価格の目安 | 79,200円 | 19,800円+送料 | 15,800円 |
| 特徴 | 臓器別にリスクを調べられる | 対象となるがんの種類が多い | 比較的安く継続しやすい |
※価格やサービス内容は変更される場合があります。申し込み前に必ず各社の公式サイトをご確認ください。
こうして見ると、3つの検査は同じ「尿によるがんリスク検査」でも、かなり方向性が違うことが分かります。
マイシグナル・スキャンとは?

マイシグナル・スキャンは、Craifが提供している尿検査サービスです。
最大の特徴は、尿の中に含まれるマイクロRNAを解析すること。
マイクロRNAとは、体内で遺伝子の働きを調節している非常に小さなRNAの一種です。
がんになると、その種類や量のパターンに変化が現れることがあり、その特徴をAIで解析してがんリスクを評価します。
最大10種類のがんを個別に評価
マイシグナル・スキャンの大きな強みは、単に「がんリスクが高い・低い」と判定するだけではなく、対象となるがんについて種類ごとにリスクを評価できることです。
対象となるのは、
- すい臓がん
- 肺がん
- 胃がん
- 大腸がん
- 食道がん
- 腎臓がん
- 膀胱がん
- 卵巣がん
- 乳がん
- 前立腺がん
など最大10種類です。
性別によって対象となるがんの種類は異なります。
例えば、
「大腸がんは低リスクだが、すい臓がんは注意が必要」
といったように、臓器ごとに結果を確認できるのが特徴です。
これはN-NOSEや尿がん検査くんとの大きな違いでしょう。
デメリットは価格の高さ
一方で、マイシグナル・スキャンは価格が比較的高く、通常価格は約8万円です。
N-NOSEや尿がん検査くんが1万円台から利用できることを考えると、大きな価格差があります。
そのため、
「とにかく安く検査したい」
という人より、
「費用がかかっても、どのがんのリスクが高いのかまで詳しく知りたい」
という人向けのサービスといえそうです。
N-NOSEとは?

N-NOSEは、HIROTSUバイオサイエンスが提供している尿によるがんリスク検査です。
テレビCMなどで名前を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
N-NOSEの最大の特徴は、線虫という小さな生物の嗅覚を利用することです。
線虫には優れた嗅覚があり、がん患者の尿に含まれる特有のにおいに反応する性質があるとされています。
その反応を利用して、がんのリスクを判定します。
N-NOSEは23種類のがんに対応
N-NOSEが特徴としているのが対象範囲の広さです。
現在は、
- 肺がん
- 胃がん
- 大腸がん
- すい臓がん
- 肝臓がん
- 胆のう・胆管がん
- 乳がん
- 子宮がん
- 卵巣がん
- 前立腺がん
- 膀胱がん
- 腎臓がん
- 咽頭がん
- 甲状腺がん
などを含む23種類のがんに反応するとされています。
対象となるがんの種類だけを見ると、今回比較している3サービスの中では非常に幅広いといえます。
ただし「どのがんか」は分からない
ここは非常に重要なポイントです。
N-NOSEの通常検査では、
「すい臓がんのリスクが高い」
「肺がんの可能性が高い」
というように、がんの場所を特定することはできません。
基本的には、
「身体のどこかにがんが存在するリスクが高いか、低いか」
を評価する検査です。
つまり、対象となる23種類のがんを広く調べられる一方で、リスクが高いと判定されても「どこを詳しく調べればよいのか」がすぐには分からない可能性があります。
N-NOSEには特定のがん種を絞り込む別サービスもありますが、通常検査とは料金体系が異なります。
尿がん検査くんとは?

「尿がん検査くん」は、尿に含まれるDiAcSpm(ジアセチルスペルミン)という物質を測定する検査です。
DiAcSpmは、がん患者の尿で増えることがあるとされている代謝物の一つです。
N-NOSEが生物の嗅覚反応を利用するのに対し、尿がん検査くんでは精密な分析装置を使用して、この物質の量を測定します。
つまり、
N-NOSE=においへの反応を見る
のに対し、
尿がん検査くん=尿に含まれる特定の物質を機械で測る
という違いがあります。
尿がん検査くんの魅力は価格
尿がん検査くんの大きなメリットは、比較的利用しやすい価格です。
1回検査の場合は15,800円程度。
定期利用では1回あたり1万3,000円台になるプランもあります。
そのため、
「1回だけ高額な検査を受けるより、毎年定期的にチェックしたい」
という人には利用しやすいサービスといえるでしょう。
がんの場所までは分からない
ただし、尿がん検査くんもN-NOSEと同様に、
どこの臓器にがんがある可能性が高いのかを特定する検査ではありません。
あくまで尿中の代謝物から、全身的ながんリスクを評価する検査です。
この点では、臓器別に結果が出るマイシグナル・スキャンとは大きく異なります。
3つの最大の違いは「何が分かるのか」
検査技術だけを見ると少し難しく感じますが、利用者目線で考えると違いは比較的シンプルです。
マイシグナル・スキャン
どのがんのリスクが高いのかまで知りたい人向け。
最大10種類のがんを個別に評価できるため、次にどの臓器を詳しく検査するべきか考えやすいのが特徴です。
その代わり費用は高額です。
N-NOSE
とにかく幅広い種類のがんをまとめてチェックしたい人向け。
23種類のがんを対象としており、約2万円で検査できるのが魅力です。
一方で、通常版では具体的ながんの場所までは分かりません。
尿がん検査くん
費用を抑えながら定期的にチェックしたい人向け。
1万円台前半から利用できるため、年1回や半年に1回など、継続利用を重視する人には選択肢となりそうです。
「精度○%」だけで比較するのは注意
がんリスク検査について調べていると、
「感度90%」
「早期がんでも高い感度」
などの数字を目にすることがあります。
ここで注意したいのは、各社が公表している数字を単純比較できないということです。
例えば、
- 対象となったがんの種類
- がんのステージ
- 被験者の人数
- 健常者との比較方法
- 判定基準
などが研究ごとに異なります。
つまり、
「A社が92%、B社が90%だからA社の方が優秀」
とは単純には言えません。
同じ人に同じ条件で3つの検査を実施して比較したわけではないからです。
がんリスク検査を選ぶ際は、精度を示す数字だけではなく、
検査方法、対象となるがん、臓器別判定の有無、価格、継続しやすさ
などを合わせて考えたほうがよいでしょう。
タイプ別、おすすめの検査は?
では、3つの中から選ぶなら、どれが向いているのでしょうか。
費用より詳しさを重視する人
マイシグナル・スキャン
がおすすめです。
最大10種類のがんを個別に評価できるため、
「どこのがんに注意したらいいのかまで知りたい」
という人には一番分かりやすい検査です。
約8万円という価格を許容できるかどうかがポイントでしょう。
幅広いがんをまとめて調べたい人
N-NOSE
が候補になります。
23種類のがんに対応しているため、
「特定の臓器ではなく、まず身体全体のがんリスクを広く調べたい」
という人には分かりやすいサービスです。
利用者が多く、知名度を重視する人にも選びやすいでしょう。
費用を抑えて定期的に検査したい人
尿がん検査くん
が候補になります。
約1万3,000~1万5,000円程度から利用できるため、3サービスの中でも比較的負担が小さくなっています。
がんリスク検査は1回受ければ一生安心というものではありません。
その意味では、
検査を無理なく継続できる価格
も重要なポイントでしょう。
私ならどう選ぶ?
個人的には、この3つを次のように考えると非常に分かりやすいと思います。
詳しく知りたいならマイシグナル・スキャン。
広くチェックしたいならN-NOSE。
価格を抑えて続けたいなら尿がん検査くん。
特にマイシグナル・スキャンと残り2つでは、「結果の細かさ」がかなり違います。
N-NOSEや尿がん検査くんで高リスクという結果が出ても、基本的にはどの臓器なのかまでは分かりません。
そのため、その後にどの検査を受けるべきか迷う可能性があります。
一方、マイシグナル・スキャンでは対象となるがんを個別に評価するため、その後の医療機関での相談につなげやすいというメリットがあります。
ただし、約8万円という価格差はかなり大きいため、誰にでもマイシグナル・スキャンがおすすめというわけでもありません。
尿がん検査だけで「がん検診は不要」になる?
ここは最も注意したいところです。
マイシグナル・スキャン、N-NOSE、尿がん検査くんはいずれも、
「がんがある」「がんがない」と確定診断する検査ではありません。
あくまで、がんのリスクを評価するための検査です。
そのため、
「N-NOSEで低リスクだったから、大腸がん検診は受けなくていい」
「マイシグナルで問題なかったから、乳がん検診は必要ない」
と考えるのはおすすめできません。
国が推奨している、
- 胃がん検診
- 肺がん検診
- 大腸がん検診
- 乳がん検診
- 子宮頸がん検診
などは、死亡率を下げる効果などを含めた科学的根拠をもとに行われています。
尿によるがんリスク検査は、それらを置き換えるものというより、
通常のがん検診にプラスする検査
と考えた方がよいでしょう。
また、
- 血便が出る
- 血尿がある
- 急激に体重が減った
- 長期間咳が続いている
- 身体にしこりを感じる
- 原因不明の強い痛みがある
などの症状がある場合は、尿検査キットで様子を見るのではなく、医療機関を受診することが優先です。
まとめ|マイシグナル、N-NOSE、尿がん検査くんは目的で選ぼう
マイシグナル・スキャン、N-NOSE、尿がん検査くんは、いずれも尿を使ってがんリスクを調べられるサービスですが、その仕組みや目的には大きな違いがあります。
マイシグナル・スキャン
尿中のマイクロRNAをAIで解析し、最大10種類のがんを個別に評価します。
価格は高いものの、「どのがんのリスクが高いのか」まで知りたい人に向いています。
N-NOSE
線虫の嗅覚を利用し、23種類という幅広いがんを対象にリスクを評価します。
約2万円で広くチェックできますが、通常検査ではどのがんなのかまでは分かりません。
尿がん検査くん
尿中のがん関連代謝物DiAcSpmを測定します。
1万円台前半から利用でき、価格を抑えて定期的に検査したい人には魅力があります。
つまり、
詳しさ重視ならマイシグナル・スキャン
対象範囲の広さならN-NOSE
価格と継続性なら尿がん検査くん
という選び方が分かりやすいでしょう。
そして最も大切なのは、こうした検査を「がんではないことを保証してくれるもの」と考えないことです。
通常の健康診断や国が推奨するがん検診を基本とし、そのうえで、
「もう一つ安心材料を増やしたい」
という目的で利用する。
尿によるがんリスク検査は、そのような位置づけで活用するのが現実的なのではないでしょうか。
FAQ|よくある質問5選
Q1.マイシグナル・スキャンとN-NOSEは何が違いますか?
最も大きな違いは、検査方法と結果の出し方です。
マイシグナル・スキャンは尿中のマイクロRNAを解析し、対象となるがんについて種類別にリスクを評価します。
一方、N-NOSEは線虫の嗅覚反応を利用して、23種類のがんを対象に全身的ながんリスクを評価します。
通常のN-NOSEでは「肺がん」「すい臓がん」など、がんの部位までは分かりません。
Q2.3つの中で一番おすすめなのはどれですか?
何を重視するかによって変わります。
「どのがんに注意すべきかまで詳しく知りたい」ならマイシグナル・スキャン、「幅広い種類のがんをまとめて調べたい」ならN-NOSE、「価格を抑えて定期的に検査したい」なら尿がん検査くんが候補になります。
単純に「どれが一番優秀」と決めるより、目的で選ぶことが重要です。
Q3.尿検査だけで本当にがんが分かるのでしょうか?
3つはいずれも、尿からがんに関連する特徴を調べる検査ですが、がんを確定診断するものではありません。
「がんリスクが高い・低い」という情報を得るための検査と考えるのが適切です。
高リスクという結果が出た場合は、医療機関で画像検査や内視鏡検査など必要な検査を受けることになります。
Q4.低リスクなら、がん検診を受けなくても大丈夫ですか?
低リスクという結果でも、がんがないことを保証するものではありません。
胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がんなど、国が推奨しているがん検診の代わりにするのではなく、通常の検診に追加する検査として考えるのがおすすめです。
Q5.がんが心配な症状がある場合にも利用できますか?
血便、血尿、しこり、長く続く咳、急激な体重減少など気になる症状がある場合は、尿検査キットの結果を待つより医療機関を受診することが優先です。
これらのサービスは、症状がある人の診断を目的とした検査ではありません。
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