2026年8月29日放送の日本テレビ系『24時間テレビ49』で、スペシャルドラマ**『幸せはある』**が放送されます。
主人公は、シャ乱Qのボーカル、そして「モーニング娘。」などを生み出してきた音楽プロデューサー・つんく♂さん本人ではありません。
主人公として描かれるのは、妻の加奈子さんです。
加奈子さんを北川景子さん、つんく♂さんを高橋光臣さんが演じます。脚本は『ひよっこ』『最後から二番目の恋』などで知られる岡田惠和さん。8月29日午後9時30分すぎから放送予定です。(日本テレビ)


ドラマの題材となるのは、2014年につんく♂さんを襲った喉頭がんと、「歌手の声」を失うことになった大きな決断、そしてその後10年以上にわたって続いてきた家族の物語です。
では、実際につんく♂さんと妻・加奈子さんには、何が起きていたのでしょうか。
つんく♂と妻・加奈子さんの出会い
つんく♂さんと加奈子さんが出会ったのは2005年。翌2006年に結婚しました。
過去のテレビ番組で加奈子さんは、2人が交際するきっかけは「お見合い」だったことも明かしています。その後、2008年に男女の双子、2011年には次女が誕生し、3人の子どもに恵まれました。(フジテレビ)
当時のつんく♂さんは、まさに音楽界の第一線を走り続けていました。
シャ乱Qの活動だけでなく、「モーニング娘。」をはじめとしたハロー!プロジェクトの楽曲制作やプロデュースなど、仕事中心の日々。
今回のドラマでも、妻の加奈子さんが多忙すぎる夫の体を心配する姿が描かれます。日本テレビが公表したストーリーでは、2013年のシャ乱Q結成25周年のころには、つんく♂さんの喉の状態がかなり悪化していたとされています。(日本テレビ)
実は何年も前から喉に違和感があった
つんく♂さん自身が2014年3月に公表した内容によれば、声帯の左側には7~8年ほど前から違和感があったといいます。
さらに2013年10月ごろから声がハスキーになり、声が出しにくい状態が続くようになりました。
そして2014年2月、全身麻酔による検査を受けた結果、喉頭声帯にがんが見つかります。
早期がんと診断され、つんく♂さんは放射線治療と分子標的薬による治療を受けました。(アメーバブログ(アメブロ))
歌手にとって「喉」は、単なる体の一部ではありません。
しかもつんく♂さんの場合、自分がステージで歌うだけではなく、作曲した曲を歌手に伝えるための「仮歌」も自分自身で歌っていました。
つまり声は、歌手としてだけでなく、音楽プロデューサーとして仕事をするうえでも重要な道具だったのです。後につんく♂さん自身、声を失ったことで仕事までなくなってしまうのではないかという恐怖を感じたと振り返っています。(スポニチ)
一度は「完全寛解」と発表された
治療開始から約半年後の2014年9月25日。
つんく♂さんは自身のブログで、医師から「完全寛解」と告げられたことを公表しました。
当然、本人も家族も「治った」と考えたことでしょう。
しかし、つんく♂さん自身は喉の腫れや痛み、息苦しさ、声のかすれが続いていることを気にしていました。
そこで念のため、もう一度声帯の組織を採取する生検を受けます。(アメーバブログ(アメブロ))
この判断が、その後の人生を大きく変えることになります。
ニューヨークで届いた「がんが見つかった」という知らせ
生検を受けた後、つんく♂さんは家族とともにニューヨークへ向かいました。
目的の一つは、2014年10月に行われたモーニング娘。’14のニューヨーク公演に立ち会うことでした。
一度は寛解と診断されていたこともあり、公演後は家族とゆっくり過ごす予定だったといいます。
ところがニューヨークに到着したつんく♂さんのもとに、日本から連絡が入ります。
生検の結果、再びがんが確認されたのです。
つんく♂さんは当時、自身のブログで、その知らせを受けた時の衝撃について記しています。
家族は予定を切り上げて急きょ帰国。帰国後すぐに検査、入院、そして手術へと進みました。(アメーバブログ(アメブロ))
なお、この経緯について単純に「がんが再発した」と表現されることもありますが、日本テレビのドラマでは**「がんは消えていなかった」**と説明されています。本人の当時の発表も「癌が見つかりました」という表現であり、この書き方の方が事実関係として慎重でしょう。(日本テレビ)
「声を残す」か「生きる」か――声帯全摘出という決断
ここで、つんく♂さんと家族は極めて重い決断を迫られます。
がんを取り除くためには、声帯をすべて摘出する必要があると医師から告げられたのです。
歌手だったつんく♂さんにとって、それは声を失うことを意味します。
今回のドラマでは、医師から全摘出を提案された際、妻の加奈子さんが「部分切除ではだめなのか」と食い下がり、何とか夫の声を残す方法を探ろうとする場面も描かれます。
一方のつんく♂さんは、生きるために全摘出することを決断します。(日本テレビ)
実際につんく♂さんが手術を受けたのは2014年10月半ば。10月末には退院し、体調を見ながら仕事にも復帰していきました。(オリコンニュース(ORICON NEWS))
音楽を仕事にし、何万人もの観客の前で歌ってきた人が、自分自身の声を失う。
その決断の重さは、簡単には想像できません。
声を失ったことを半年近く公表しなかった
興味深いのは、つんく♂さんが声帯を摘出したことを、手術直後には公表していなかったことです。
多くの人がその事実を知ったのは、翌2015年4月4日でした。
母校である近畿大学の入学式。
つんく♂さんはステージに登場しますが、祝辞を自分の声で読むことはありませんでした。
大型スクリーンに文字を映し、喉頭がん治療のため声帯を摘出したことを初めて公表したのです。近畿大学も、2015年の入学式でつんく♂さんが声帯摘出を明らかにしたことを公式に記録しています。(近大大学)
日本中に大きな衝撃を与えた出来事でした。
「シャ乱Qのつんく♂が、もう歌えない」。
当時そのニュースを見て驚いた方も多いのではないでしょうか。
妻・加奈子さんは何をしてつんく♂を支えたのか
今回のドラマで重要なのは、病気そのものよりも、その後の家族です。
実際、つんく♂さんは声帯摘出後、食道発声を習得するための訓練にも取り組みました。
喉頭摘出者を支援する公益社団法人「銀鈴会」のインタビューでは、手術が決まった後、病院で行われた食道発声の講習を妻が受講し、その内容をつんく♂さんに伝えていたことも本人が明かしています。
どの発声方法に挑戦するかについても、夫婦で相談して決めていました。(公益社団法人 銀鈴会)
声が出なくなった後のコミュニケーションも変わりました。
テレビ出演時にはパソコンを使った筆談などで会話し、それでも音楽制作を続けています。(オリコンニュース(ORICON NEWS))
そして、つんく♂さんが闘病後にたどり着いた考えは非常に印象的です。
成功や仕事など、それまで自分が抱えていたものが崩れていった時、最後に残ったのが妻と3人の子どもたちだったと振り返っています。(スポニチ)
この部分こそ、今回妻の加奈子さんを主人公にした理由なのかもしれません。
なぜ今回は「つんく♂本人」ではなく妻が主人公なのか
『幸せはある』の企画段階で、つんく♂さんから制作側に一つの要望があったといいます。
それは、「がん発覚→声帯全摘出→近畿大学での公表」だけを描く作品にはしてほしくないということでした。
つんく♂さんが本当にドラマで伝えたかったのは、その後に続いた約10年間だったのです。
そのため制作陣は、つんく♂さんだけでなく妻・加奈子さんからも詳しく話を聞き、病気を経験した家族が、その後どのように暮らしてきたのかをドラマの中心に据えています。(オリコンニュース(ORICON NEWS))
主人公を妻にしたことで、
「病気になった本人がどう感じたのか」
だけではなく、
「その隣にいる家族は何を感じていたのか」
という、これまであまり語られてこなかった部分が見えてくるわけです。
声帯摘出から12年、今も「完全に終わった話」ではない
声帯摘出から12年となる2026年。
つんく♂さん一家は現在、ハワイを生活の拠点としています。
しかし、病気が遠い過去になったわけではありません。
日本テレビが公表したストーリーでは、2026年4月、つんく♂さんが東京で検査を受け、その結果をハワイで待つ加奈子さんと3人の子どもたちの姿から物語が始まります。
10年以上が経過した現在も、家族には「再発したらどうしよう」という不安があることが描かれています。(日本テレビ)
「健康だったら」。
旅行や予定を考える時でさえ、この言葉が前提になる。
一見すると普通に暮らしている家族の中にも、病気を経験した人たちにしか分からない不安が残り続けているのでしょう。
ドラマの会話すべてが「実際にあった」とは限らない
ここは記事を書くうえで区別しておきたいポイントです。
『幸せはある』は、日本テレビが「実話をもとにしたホームドラマ」と説明している作品です。さらに、つんく♂さんの著書『だから、生きる。』も企画協力としてクレジットされています。(日本テレビ)
そのため、
- 2014年の喉頭がん
- 治療後に再びがんが確認されたこと
- ニューヨークから急きょ帰国したこと
- 2014年10月の手術
- 声帯を失ったこと
- 2015年の近畿大学入学式での公表
- 妻と3人の子どもたちに支えられてきたこと
といった大きな出来事は実際の経緯に基づいています。
一方で、ドラマに登場する個々の会話や場面については、映像作品として再構成・脚色されている可能性があります。
ドラマのセリフをそのまま「本人たちが実際に交わした言葉」と考えるのは避けた方がよいでしょう。
「幸せはある」というタイトルが意味するもの
つんく♂さんの人生だけを見ると、「声を失った」という出来事はあまりにも大きく感じられます。
シャ乱Qで「シングルベッド」「ズルい女」「いいわけ」などを歌い、日本を代表するボーカリストの一人となった人物です。
その人が、自分の声を失ったのです。
しかし、そこで人生が終わったわけではありません。
作詞・作曲・プロデュースを続け、家族と暮らし、子どもたちの成長を見守ってきました。
つんく♂さん自身、声を失ったことでさまざまなものが崩れていった時、最終的には「家族がいてくれれば」という思いにたどり着いたことを明かしています。(スポニチ)
だからこそ、このドラマは単純な「がん闘病ドラマ」ではないのでしょう。
大切なものを失った後にも、別の形の幸せはある。
タイトルの『幸せはある』には、そんな意味が込められているように感じます。
まとめ
2026年の『24時間テレビ』スペシャルドラマ『幸せはある』は、喉頭がんによって声帯を摘出したつんく♂さんと、その最も近くにいた妻・加奈子さん、3人の子どもたちの実話をもとにした作品です。
2014年、一度は「完全寛解」と告げられながら、再検査でがんが確認され、つんく♂さんは生きるために声帯を摘出しました。
しかし、本当の物語は手術で終わりません。
声を失った夫。
その夫を支え続けた妻。
父親の声を聞くことができなくなった3人の子どもたち。
そして12年後も、病気への不安を抱えながら普通の日常を大切に生きる家族。
これまで私たちがニュースで見てきたのは、「つんく♂が声を失った」という出来事のほんの一部分だったのかもしれません。
今回初めて妻・加奈子さんの視点から描かれることで、あの決断の裏側で家族が何を経験し、その後どのように人生を立て直していったのかが明らかになります。
『幸せはある』は、8月29日午後9時30分すぎから日本テレビ系で放送予定です。(日本テレビ)
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