大方の予想を覆して兵庫県知事に返り咲き当選した、斎藤元彦氏。
兵庫県の広告会社「merchu(メルチュ)」の折田楓代表が兵庫県知事選挙における戦略的広報と題してnoteをアップしたことから、公職選挙法違法ではないかとSNSで疑惑が持ち上がりました。
メディアでも取り上げられる事態となっています。
折田楓さんの会社meruchuの実績や選挙活動について検証、考察してみました。
発端のX投稿
兵庫県のPR会社merchu(メルチュ)の折田楓代表が、noteに斎藤元彦元知事の選挙における広報を担当したと投稿したことが発端です。
merchu(メルチュ)とは
株式会社merchuは、兵庫県西宮市にある2017年10月5日設立の広告代理店。代表は折田 楓 (おれだ かえで)
Instagramに代表されるSNSなどを通じて、自治体の企画のプロモーションやマーケティング事業やホームページ制作なども行っています。
『広報・PRコンサルティング事業』『ブランディング事業』『自社メディアブランド事業』
デジタルマーケティング支援/セミナー/イベント企画・運営/写真・動画撮影/デザイン制作/HP制作/商品開発・販売など
テレワーク先駆者百選
令和元年(2019年)に総務省の「テレワーク先駆者百選」に選ばれています。(5ページ)
2017年に創業して2年で選ばれているのですね。
広島市SNS活用プロモーション業務
広島県SNS運用支援業務
以上のように、創業7年で兵庫県だけでなく、広島県など自治体の仕事も受注して業績を伸ばしています。
総務省「テレワーク先駆者百選」
Meta Business Partner(Meta社公認ビジネスパートナー)
公益財団法人ひょうご産業活性化センター「チャレンジ企業」「兵庫県成長期待企業」
ひょうご仕事と生活センター「ひょうご仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)推進企業」
ひょうご産業SDGs推進宣言事業 / ひょうご産業SDGs認証企業
ひょうご・こうべ女性活躍推進企業(ミモザ企業)
大したものだと思います。
折田楓さんのプロフィールを見ると、現在32歳なので25歳で起業していますね。
- 名前:折田楓(おりた かえで)
- 生年月日:1991年11月28日
- 年齢:32歳
- 出身:兵庫県西宮市
- 血液型:A型
なので派手な私生活だとかで彼女自身を叩くのは違うと思う。
派手なIT企業の社長なんてザラにいるじゃない。
ただ、畑違いの選挙プランナーをやってしまったのが今回の事態を招いたということですね。
素人選挙プランナー
市や県の仕事で1千万の仕事を請け負っていたから、70数万で請け負うはずがないというのは憶測に過ぎないですね。
公と個人の差があるので、契約金も当然違ってくるでしょう。たとえ、ほとんど黒に近いグレーであったとしても。
彼女は選挙活動を喜々として行っていたように見えます。
楽しかったんだろうと思います。フォロワー数が目に見えて増えていく。眼の前にどんどん人が増えていく。
ネットでは味わえない現実の高揚感!!
選挙って期間ありきの競争ですから、面白いんですよね。
選挙は素人と知っていながら、なぜ斉藤陣営が止めなかったのか?
選挙カーに乗って動画配信するのを、誰も止める人などいなかったようですね。
しかも、こんな投稿まであれば、、森けんと西宮市議会議員が「インフルエンサーやYouTuberはみんな自主的なボランティアだけど、陣営としてSNSをお願いしていたのは折田楓さんお一人です!!」と堂々と宣言しています。
こんな事言われて気を良くしてnoteをアップしちゃったんでしょうねぇ。
選挙プランナー・当選請負人
いろいろメディアで取り上げられている情報を元に素人ながら考えてみました。
公職選挙法で選挙期間中の選挙運動を有償で行った場合は買収になるとのことですね。
選挙プランナーだと当選請負人だとか、当然いるんだろうと思います。
こちらは当時、最年少選挙プランナーとして取材を受けた松田馨氏の記事(2012年)
現職、新人にかかわらず依頼を受け、選挙区の情勢分析や当選に必要な票数を予想したうえで、選挙戦略の立案とスケジュールや予算などをアドバイスする。松田氏のデータ解析は定評がある。国勢調査を基に、党派別、地域別、男女別、年代別などのデータを独自に調査、PCには過去12年分のデータが入っている。
中略
「私の場合は、基本的に時間給計算です。今までの契約で一番安いケースでは月5万~10万円で、1か月張り付くようなケースなら100万円くらいになります」
当選しても落選しても報酬は同じ。当選しても、“バンザイ”の輪の中には入らないという。
「この仕事は客観的に眺めないとできない。あくまでも部外者としての立場を貫くのが私のポリシーです」
NEWSデイポストより
こちらは平成16年に衆議院議員平岡秀夫氏による「選挙当選請負人」と公職選挙法との関係に関する質問とそれに対する答弁書です。
いわゆる「選挙当選請負人」と公職選挙法との関係に関する質問主意書
我が国の公職選挙法では、第二二一条において買収及び利害誘導罪、第二二二条において多数人買収及び多数人利害誘導罪などが規定されている。選挙違反は民主主義の根幹に係る問題であり、その中でも悪質なものは、罰則を付すことによって、その摘発をし、あるいはその発生を防止することとしていると解する。従って、どのような行為が公職選挙法で禁じられる行為であるのかを明確にすることは、候補者、有権者等にとっても重要なことであると考える。その観点から、以下質問する。
一 いわゆる「選挙当選請負人」に対し、候補者等が、次のような条件で、選挙の当選を目指した運動を依頼することは、公職選挙法違反(買収罪、利害誘導罪など)になると考えるが、政府としては、どのような理由でどのように判断するのか、その見解を問う。
① 選挙の当選を目指した運動及びその運動を企画・立案する活動に要した費用については、実費を支払う。
② 選挙に当選した時は、その成功報酬として数百万円を支払う。
二 右記一の条件で依頼を受けた「選挙当選請負人」が、その依頼を受けた候補者の当選を目指し、選挙期間中、当該「選挙当選請負人」の経営する会社が雇用する社員又は時給による報酬の支払いを約して雇ったアルバイトに、当該候補者への投票を依頼する電話をかけさせることは、公職選挙法違反(買収罪、利害誘導罪など)になると考えるが、政府としては、どのような理由でどのように判断するのか、その見解を問う。
右質問する。
上記の質問書は平成16年、2004年で20年前になります。なので当時はSNSではなく電話での投票依頼を対象としています。
現在ではインターネットでの選挙活動も認められています。
「選挙プランナー」だとか「選挙コンサルタント」とかで検索すると、たくさんサイトが出てきますね。
つまりは選挙戦を戦うにおいては状況分析やイメージ戦略などは欠かせない。ただし、グレーな部分が多いだけにプロはしっかり公職選挙法に詳しい専門家がついているということです。
今までもSNSでの勝手連のような選挙活動は一般的に行われてきましたが、今後、ますますSNS戦略の需要は増すと思われますね。法律に明るい専門家のしっかりとしたフォローが必要ということです。
折田楓は公職選挙法違反か?
素人目から見ても、かなりのブラックだと思われます。
今は削除されていますが、魚拓撮られてました。
SNS運用フェーズとして「種まき」「育成」「収穫」という言い方が有権者の心証を害するかもしれません。とにかく、絶対に表に出してはいけない文章ですね。
前出の「選挙当選請負人」の公職選挙法との関連についての答弁書によると、選挙の当選を目指した運動及びその運動を企画・立案する活動に要した費用については、実費を支払った場合、候補者等が当該「選挙の当選を目指した運動」を御指摘の条件(実費で支払う)で依頼することは、同条第一項第一号又は第三項に規定する買収罪に該当するものと考える。
ですが、当該「選挙の当選を目指した運動」が選挙運動に該当するかどうかは、具体の事実に即して判断されるべきものである。とあります。
グレーってことですかね。
つまりは斎藤元彦氏は「そんな事知らないよ」「勝手にやったんでしょ」と言い張るしかないということですよね。
17日の兵庫県知事選挙で再選を果たした斎藤元彦知事の代理人弁護士が、27日午後4時半から記者会見を開き、斎藤知事陣営のSNSを駆使した選挙戦をめぐり、PR会社の代表がネット上で「私が監修者として戦略運用立案を行った」などと投稿したことについて、「SNSの運用や広報全般を依頼したのは事実ではない」と説明しました。
もし違反に問われたら、知事は失職、逮捕もあり得るということです。
また折田楓氏も同様に罪に問われることになりますね。
3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金に処する。
「候補者本人」「選挙運動を総括主宰した者」などが行った場合にはさらに罰則は重くなり、4年以下の懲役または禁錮または100万円以下の罰金に処する。
なので、折田楓氏本人はまだ表に出てきていませんが、「斎藤さんのために無償でボランティアで勝手にやったことです。盛りすぎました、お騒がせして申し訳ありません」と言うしかないと思います。
だけど、これだけメディアで取り上げられたら、会社としての信用はガタ落ちですね。
それとも蜂の一刺し?
なんてね。
折田楓のSNS戦略で当選したのか?
選挙におけるSNS戦略は今後、必要になるでしょう。
公共の自治体がSNS戦略に多額の予算を投入していることからも需要は高まっているようです。
しかし、今回の兵庫県知事選挙の場合、折田楓氏の戦略は特別変わったものではないと思われます。
では、なぜ大方の下馬評を覆しての大逆転勝利になったのか?
NHKから国民を守る党の立花孝志氏の行動が大きいと私は思っています。
「自身の当選を目的としない立候補」など、今まで想定されていない法の抜け道を熟知した戦略は是か非か?
立花氏が「バカな人たちをどうやって上手く利用するか。犬とか猫と一緒なん。バカに(票を)入れてもらう方法を考えるのが、本当に賢い人かな」と言っていますが、あなたはどうですか?
インターネットにおける選挙運動の規定には、以下のような規定もあります。
候補者に関し虚偽の事項を公開してはいけません!
当選させない目的をもって候補者に関し虚偽の事項を公にし、又は事実をゆがめて公にした者は処罰されます(公職選挙法第235条第2項)。
悪質な誹謗中傷行為をしてはいけません!
公然と事実を明らかにし、人の名誉を毀損した者は処罰されます(刑法第230条第1項)。事実を明らかにせずとも、公然と人を侮辱した者は侮辱罪により処罰されます(刑法第231条)。
たとえば、暴露系YouTuberなどは候補者から依頼(金銭の授受)がなくてもバズれば収入になるわけですから、悪意を持って投稿することだって考えられますね。
ネットリテラシーなんて言葉がありますが、普段ネットを利用しない人ほど陰謀論に陥りやすいとも言います。
まとめ
折田楓氏のnote投稿から斎藤元彦氏に公職選挙法違反の疑いが浮上していることについて考察しました。
PRのプロも選挙のプロではなかったということで、知らぬ存ぜぬで押し通すしかないかと思われます。
かなりのブラックであるとしても。
選挙における規定ってなかなか素人では判断できないことが多いようです。
でも、有権者であるわたしたちは選挙活動にどんどん参加すべきだと思います。もちろんボランティアですが。
私自身も選挙活動に参加した経験があります。候補者の人となりを知り、政策を知り、共に当選を目指すことは良い経験であり、政治に関心を持つことができました。
昔は候補者同士が一同に介して演説会や討論会を開いていたと聞いたのですが、今はネットでもできるのだから、動画サイトで討論会を行えば、聞きたいときにいつでも聞くことが出来ます。質問だって、リアルタイムで書き込んで回答がもらえる時代です。
そんなふうにネットを利用してほしいと思います。
でも一番重要なのはネットの情報だけでなく、自分の目と耳でしっかりと見極めることですね。難しいですけど・・・。
ふわふわ原爆ドーム
Xで「原爆ドーム」がトレンドになっていると思ったら、折田楓氏広島PRの一環の写真が問題になっているようです。
原爆ドームの前でインスタ映え写真は不謹慎だという意見や、観光地だからいいじゃないかという意見など様々です。
私としては、笑顔で写真を撮るのは構わないと思う。個人的ならね。
ただし、「じゃけえ、広島に恋しとる♪」のロゴと原爆ドームはダメでしょ!!
せめて❤ではなく🕊️(鳩)にするとか。
広島観光としてのPRならば、原爆ドームにどのような意味があるかを書かなきゃ、ただの観光スポットにしか見えない扱いです。
しかし、広島市がこれをOKしたのだから、彼女だけを責められないですね。
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