Snow Man起用で若年層の新規顧客を広げ、黒字化にも貢献したとされる不二家。
2023年の“降板ドミノ”でも関係を継続した両者に、なぜ「今年で最後」の声が出ているのでしょうか。
これまでの実績、クリスマスケーキ即完売の裏側、そして“円満な卒業”の理由をまとめます。
はじめに
Snow Manと不二家の関係性とは?
Snow Manと不二家の関係が始まったのは、彼らがデビューした2020年。当時まだ新人だった彼らを、不二家はブランドキャラクターとして起用しました。
CMや広告に登場した9人の明るく爽やかな笑顔は、「ミルキー」や「ケーキ」などの定番商品に新しい魅力を与え、幅広い世代に親しまれるきっかけとなりました。
特に、テレビCMで披露された「Smile Switch」のフレーズや、ファンが一斉に予約したコラボスイーツなどは、今も多くの人の記憶に残っています。
不二家にとってSnow Manは単なる広告塔ではなく、“ブランドの象徴”としての存在感を確立してきたのです。
コラボ開始から5年、なぜ今注目されているのか
2020年から続くSnow Manと不二家のコラボは、今年で5年目を迎えます。これまでに数々の限定スイーツやキャンペーンを成功させ、不二家の売上にも大きく貢献してきました。
しかし、最近「今年のクリスマスキャンペーンをもって契約が終了するのでは」という報道が流れ、ファンの間で大きな話題となっています。
背景には、Snow Manの人気が国内外で急上昇し、複数の大手ブランドからオファーが殺到している現状があります。
これまでの感謝を込めた“卒業的コラボ”なのか、それとも新たな展開への布石なのか――。
この5年間の歩みを振り返ることで、Snow Manと不二家が築いてきた“信頼の物語”がより深く見えてきます。
1.Snow Man×不二家、5年の歴史が終わりを迎える?
デビュー直後から続くブランドキャラクター起用
Snow Manが不二家のブランドキャラクターに起用されたのは、2020年9月。デビューからわずか数か月後というスピード抜擢でした。
まだ知名度が十分でなかった彼らにとって、不二家とのCM出演はまさに全国に名前を広める大きなチャンス。
不二家もまた、若年層へのアプローチを強化したい時期であり、Snow Manの爽やかで親しみやすい雰囲気が企業のイメージとぴったり合致していました。
初登場となった「ミルキー」や「ケーキ」シリーズのテレビCMでは、メンバーが笑顔で「Smile Switch!」と呼びかける姿が話題を呼び、SNSでも「かわいすぎる」「ペコちゃんと並んでも違和感がない」と大きな反響を呼びました。
この時期から、ファンの間では「不二家=Snow Man」のイメージが定着し始めたのです。
ラジオ番組『素のまんま』に見る長年の絆
不二家との関係を象徴する存在が、文化放送で放送されているラジオ番組『不二家 presents Snow Manの素のまんま』です。
この番組は、デビュー当初から続く冠番組であり、ファンにとっては“Snow Manの素顔に触れられる時間”として親しまれてきました。
番組内では、不二家のお菓子を話題にしたり、メンバー同士で商品を食べながらトークを展開することもあり、自然体なやりとりが魅力の一つとなっています。
特に印象的だったのは、2021年のクリスマス放送回。不二家のケーキを囲んで「5年目のありがとう」を語り合う姿は、まるで家族のような温かさにあふれていました。
このラジオを通じて、不二家とSnow Manは単なる企業と広告タレントという関係を超え、長く続く“信頼のパートナーシップ”を築いてきたのです。
コラボスイーツで築かれたファンとのつながり
Snow Man×不二家のコラボといえば、やはり毎年恒例のクリスマスケーキ企画が欠かせません。
特に2023年の「Smile Switchクリスマスケーキ」は、Snow Manのメンバーをペコちゃん風に描いた限定プレート付きという豪華仕様で、予約開始からわずか6日で完売。不二家の公式サイトにはアクセスが殺到し、一部店舗では長蛇の列ができたほどです。
さらに、Snow Manが5周年を迎えた2025年には、向井康二さん主演映画とのコラボで「運命のWクリームパフ(マンゴー&ミルキー)」が発売され、話題を集めました。
これらのコラボ商品は、単なるスイーツ販売にとどまらず、「ファンが不二家の商品を買ってSnow Manを応援する」という新しい応援スタイルを生み出したのです。
こうして築かれた“ファンと企業とアーティスト”の三者の絆は、他のコラボにはない温かさを感じさせるものでした。
2.爆発的人気で不二家の業績を押し上げたSnow Man
若年層女性ファンを中心に新規顧客を開拓
Snow Manの起用によって、不二家の顧客層は大きく広がりました。
もともと不二家は長年にわたり家族層や中高年層に親しまれてきたブランドでしたが、Snow Manの明るくスタイリッシュなイメージが加わったことで、10代から30代の若い女性たちが新たに店舗へ足を運ぶようになったのです。
SNS上では「推しと同じケーキを食べたい」「Snow Manコラボのスイーツを買うのが毎年の楽しみ」といった声が多数投稿され、ファンが積極的に購入・拡散する“応援消費”が広がりました。
特に、店舗限定で販売された「ミルキーロール」や「ペコちゃんミルキープリン」などは、Snow Manのメンバーがパッケージに登場したことで即完売。コラボ商品の発売日には、開店前から行列ができる店舗も珍しくありませんでした。
こうした“ファンによる経済効果”は、単なる売上アップにとどまらず、不二家という老舗ブランドが若年層に再び愛されるきっかけを作ったとも言えます。
2021年の黒字化とその後の業績向上
Snow ManのCM効果は、数字としてもはっきり表れています。不二家は2021年に単体で黒字化を達成。前年までの経営難を脱し、業界内でも“V字回復”の好例として注目を集めました。
売上高は前年同期比で6.6%増、営業利益は10.5%増と、どの指標を見ても堅調な伸びを記録。背景には、Snow Manが出演するテレビCMやSNSでの発信が、購買意欲を高める大きな要因となったことがあります。
また、同年以降もSnow Manの勢いは止まらず、キャンペーンごとにSNSのトレンド入りが恒例化。
不二家の公式アカウントが投稿するコラボ告知には数万件の“いいね”がつき、リプライ欄には「不二家さん、いつもありがとう」「今年も絶対買います!」といった感謝のコメントが並びました。
こうしたファンの反応は、企業にとって単なる売上以上の価値を生み出し、ブランドロイヤリティを高める結果となったのです。
「Smile Switchクリスマス」即完売の影響

2023年の「Smile Switchクリスマスケーキ」は、その象徴ともいえる出来事でした。
Snow Manをペコちゃん風に描いた限定デザインのプレート付きケーキが登場すると、予約開始からわずか6日で完売。多くの店舗で予約受付が早期終了となり、「予約できなかった」というファンの声がSNSにあふれました。
この異例の売れ行きは、単にSnow Manの人気の高さを示すだけでなく、ファンが“不二家を支えたい”という気持ちで購入していることを裏付ける結果でもありました。
さらに、予約終了の翌日には「Snow Manケーキ完売」がニュースとして報じられ、不二家の名前が各メディアで取り上げられるなど、宣伝効果も絶大でした。
不二家の経営陣も「想定を上回る反響をいただいた」とコメントしており、Snow Manのブランド力がいかに企業業績に直結しているかを物語っています。
この現象は、単なる人気アイドルとのコラボを超え、企業とファンが“共に作り上げる成功モデル”として注目されるきっかけとなりました。
3.“降板ドミノ”の中で貫かれた信頼関係
旧ジャニーズ問題時の企業対応と他社との差
2023年、旧ジャニーズ事務所の問題が公になった際、多くの企業が広告起用の見直しに踏み切りました。CMの放送を一時停止したり、新規の契約更新を差し控えたりと、世の中の動きを受けた判断が相次いだのです。
そんな中でも不二家は、拙速な決断を避け、発表の文面でも「動向を注視しつつ、しかるべき対応を検討する」と明記。
テレビCMの差し替えやラジオ提供の在り方など、できる範囲で配慮しながらも、Snow Manとの取り組み自体は止めませんでした。
結果として、“一律に距離を置く”のではなく、“状況を見極めながら続ける”という方針が、不二家の誠実さとしてファンに伝わっていきました。
不二家が取引を継続した理由
不二家が取引を続けられた背景には、これまで積み重ねてきたコラボの成果と、Snow Manへの信頼があります。
店頭施策では、メンバーのビジュアルを使ったPOPやミニポスターが「つい手に取りたくなる売り場」を作り、ラジオでは“商品を前に9人がワイワイ語る空気感”がそのままブランドの親しみやすさに。
こうした具体的な成功体験は、単なる広告出稿の枠を超え、双方が「一緒にブランドを育てている」という実感につながっていました。
だからこそ不二家は、世論を無視せず向き合いながらも、短期間で成果だけを追うのではなく、長年の関係性を尊重する判断を下せた――この点が、他社との大きな違いだったと言えます。
ファンからの感謝と企業イメージへの好影響
不二家が関係を継続したことは、ファンの行動にも目に見える変化を生みました。
たとえば、コラボ情報の解禁日にはSNSで「不二家さん、ありがとう」「今年も買うね」の投稿が自然発生し、発売初日は店舗に行列ができる――そんな光景が各地で見られました。
“買って応援する”という分かりやすいアクションは、売上に直結するだけでなく、「応援してくれる企業を、私たちも応援する」という温かい循環をつくります。
結果として、不二家は“困難なときも推しとファンに寄り添う企業”という好イメージを獲得。
Snow Manが出演していない通常商品の購入やギフト需要にも良い影響が波及し、ブランド全体の好感度を底上げすることにつながりました。
4.契約終了報道と“降板”の可能性

関係者が語る「今回で最後になるかも」の声
2025年秋、不二家とSnow Manのコラボが「今回のクリスマスキャンペーンで一区切りを迎えるのでは」との報道が相次ぎました。
広告代理店関係者の話として、「今回を最後にSnow Manとの契約が終了になると聞いている」という声も伝えられています。
この情報が出るやいなや、SNSでは「降板って本当?」「寂しいけど“卒業”なら納得」などのコメントがあふれ、X(旧Twitter)でも関連ワードがトレンド入りするほどの反響を呼びました。
不二家の公式コメントと報道の温度差
一方で、不二家の広報担当者はメディアの取材に対し、
「個別の契約内容につきましてはお答えを差し控えさせていただきます。株式会社STARTO ENTERTAINMENTおよびSnow Manとは、これまで通り良好な関係を築いてまいります」
とコメント。
この発言からは「契約終了を否定はしていない」ものの、「関係悪化ではない」というニュアンスが感じられます。つまり、いわゆる“降板”ではなく、“円満な卒業”の可能性が高いとも言えそうです。
ファンが受け止めた“終わりではない”関係
ファンの間では、「不二家さんは最後まで信頼を貫いた」「この関係は形を変えて続く気がする」といった前向きな声も多く見られます。
実際、不二家の公式コメントにも「これまで通り良好な関係を築いてまいります」との言葉があり、今後も何らかの形で関わりが続く可能性は残されています。
Snow ManがSTARTO ENTERTAINMENTの中心的存在となった今、今後はグループ全体だけでなくメンバー個人としての起用も考えられるでしょう。
もしそれが実現すれば、“不二家×Snow Man”の関係は終わりではなく、新たなステージに進むのかもしれません。
5.不二家の公式コメントと今後の展望
公式声明に見る慎重な姿勢
今回の報道を受けて、不二家の公式コメントは非常に丁寧で慎重なものでした。
「個別の契約内容についてはお答えを差し控えます」としながらも、「STARTO ENTERTAINMENTおよびSnow Manとは、これまで通り良好な関係を築いてまいります」と明言。
この一文からは、企業としての誠実さと、長年築いてきた信頼関係への敬意がにじみ出ています。
世間では“降板”という言葉が広まっているものの、不二家自身は「切り離す」のではなく「見守る」という立場をとっているように感じます。
“良好な関係継続”の意味とは
この「良好な関係」という表現は、とても意味深いものです。
単に「もう終わりです」というニュアンスではなく、「今後も関係は続く」という含みを残しています。
たとえば、Snow Manがグループとしての契約を終えても、メンバー個人での広告起用やコラボ商品の監修、特別イベントなどの形で関わる可能性も十分にありえます。
不二家にとってSnow Manは、ただの広告キャラクターではなく、ブランドイメージを共に作ってきた“家族のような存在”といえるでしょう。
今後のコラボ再開や個人起用の可能性
実際、これまでにも人気グループが一度契約を終えたあと、数年後に新プロジェクトとして再コラボを果たすケースは少なくありません。
Snow Manが所属するSTARTO ENTERTAINMENTは新体制下で多くの企業と再スタートを切っており、不二家のような長年のパートナー企業との連携は、今後も続くと考えるのが自然です。
さらに、グループとしての活動だけでなく、向井康二さんや佐久間大介さんなど、個々のタレント性を活かしたタイアップも期待されています。
ファンとしても、“終わり”ではなく“形を変えた継続”として見守る気持ちが大切なのかもしれませんね。
まとめ:信頼でつながれた5年間、そして未来へ
不二家とSnow Manの5年間は、単なる「企業とタレント」の関係を超えた“信頼と愛情”の歴史でした。
Snow Manの笑顔がブランドを輝かせ、ファンの支えが企業の売上を押し上げ、そして企業の誠実な姿勢がファンをさらに惹きつける――そんな理想的な循環が生まれていました。
たとえCMやキャンペーンの形が変わっても、その“信頼の絆”が消えることはありません。
「Smile Switch」という言葉が教えてくれたように、笑顔は次のステージへとつながっていくのです。
コメント