有権者のひとりとして、最近の政治の動きがとても気になっています。
とくに「2025年夏の参議院選挙」は、ニュースでも「政権の命運を握る選挙」なんて言われていますよね。
今回の東京都議会議員選挙で自民党が思わぬ敗北を喫したことで、与党にも緊張感が走っています。
この記事では、「都議選の結果が何を意味するのか」「与野党の駆け引きはどう変わったのか」など、私なりに感じたことをまとめてみました。
はじめに

自民党「想定外の敗北」に揺れる都議選の余波
2025年夏に控えた参議院選挙を前に、注目を集めたのが東京都議会議員選挙でした。各党が「前哨戦」と位置づけたこの選挙で、自民党は予想をはるかに下回る結果に終わりました。
野党だけでなく、党内からも「想定外」という声があがるほどの大敗で、政権への不安感が一気に広がっています。
都議選では、都市部を中心に無党派層の支持が自民党から離れ、立憲民主党や維新の会に流れたとみられます。加えて、石破総理の存在感が国政ではまだ十分に定着しておらず、各候補の後押しも力不足だったとの指摘があります。
これを受け、今後の国政選挙においても「石破体制」に不安を抱える空気が強まっているのが実情です。
参議院選挙が意味する“政権の命運”
参議院選挙は、与野党の勢力図だけでなく、総理大臣の命運までも左右する極めて重要な戦いです。
石破総理は、与党で過半数を維持することを「最低限の勝利ライン」としていますが、現在の少数与党の状況では、それすらも簡単ではありません。
仮にこの50議席を下回れば、国会運営はさらに困難となり、法案の成立には野党との協力が必須になります。
一部の自民党議員からは「もう不信任案を出してもらったほうがマシだった」という声もあり、党内からの突き上げが強まることは避けられません。
反対に目標を上回ったとしても、それで安泰というわけではありません。
少数与党のままでは、補正予算や重要法案を通すたびに、野党の顔色をうかがう必要が出てきます。特に今後想定される臨時国会では、予算案が可決されなければ、石破総理は「解散総選挙」を選ぶ可能性すら示唆しています。
つまり、この参院選は、単なる議席数の争いではなく、「次の政権の形」を決める節目となるのです。与党も野党も、この夏を“運命の分岐点”として捉えていることは間違いありません。
1.参院選がもたらす政局の激変

石破総理が掲げる「50議席」の勝敗ライン
石破総理が設定した「50議席」という目標は、一見すると控えめに見える数字かもしれません。
しかし、これは単なる数字ではなく、政権の存続と与党の信頼をかけた「最低ライン」です。現在の参議院の改選対象は66議席。このうち与党が半数以上を確保するには、かなりの調整と戦略が求められます。
石破総理は、あえて高すぎる目標を避けることで、敗北の印象を最小限に抑えたいという意図があるとも言われています。
しかし、自民党内では「この目標はむしろ低すぎるのではないか」「国民に消極的な印象を与えてしまう」といった声も出ており、党内の温度差も浮き彫りになっています。
実際、これまでの国政選挙では「勝敗ライン」が曖昧だったことで、敗北を敗北と認めないようなケースも見られました。
今回は明確に「50議席」というラインが示されたことで、逆にその結果が与えるインパクトは非常に大きなものになると考えられます。
与党で過半数割れした場合の深刻なリスク
仮にこの50議席を割り込んでしまった場合、政権に与える打撃は計り知れません。
与党が参議院でも衆議院でも少数派となることで、法案を通すためには野党との合意が必須になります。
それは、ひとつの法案を巡って毎回綱渡りの交渉を続けなければならないことを意味します。
たとえば今回の通常国会では、提出された法案の約2割が修正されました。これは野党の意見を取り入れざるを得なかった結果であり、今後この傾向がさらに強まると予想されます。
さらに、法案審議が難航すれば、予算案の成立にも支障をきたし、最悪の場合「政権運営不能」に陥る可能性すらあります。
また、石破総理への責任追及も避けられません。党内から「総理の顔を替えるべきだ」という声が強まれば、再び総裁選が行われる事態となり、政権の軸がぶれることになります。
自民党内では「もし総裁が交代しても、今の少数与党の状態では新総理が自動的に誕生するとは限らない」といった危機感も広がっています。
与党が目標達成しても続く“不安定政権”の予兆
一方で、「50議席」をクリアしたからといって、政権が安泰になるわけではありません。
むしろ、問題はそこから始まります。与党がわずかに目標を上回っただけの“現状維持”にとどまれば、引き続き参議院での少数与党体制が続くことになります。
今後の臨時国会では、補正予算案の審議が予定されていますが、ここでも野党の協力が不可欠です。
石破総理は「もし予算が通らなければ、解散総選挙も視野に入れる」と明言しており、この発言は政界に緊張感をもたらしました。
実際に解散となれば、与党はさらに議席を減らすリスクもあります。つまり、参院選に勝っても負けても、「政局の不安定さ」は解消されない可能性が高いのです。
今後も、政治の主導権が与党にあるとは限らない時代が続くことになるでしょう。
2.少数与党の現実と国会運営の変化
“官邸主導”から“国会重視”への構造転換
これまでの日本政治では、「官邸主導」という言葉が象徴するように、総理大臣の意向が強く反映される形で政策が決定されてきました。
たとえば安倍元総理時代には、首相官邸が経済政策や外交方針をリードし、与党がそれを下支えするスタイルが一般的でした。
しかし、今回の国会ではその構図が大きく変化しました。少数与党という立場により、石破総理が何かを決めても、それを実行に移すためには国会での合意形成が欠かせなくなったのです。
つまり、官邸の一存では物事が進まない「国会重視」の政治へと、舞台が移ったのです。
たとえば、与党単独では審議を前に進めることができないため、立憲民主党や維新の会など野党と事前に話し合い、法案内容の調整を行う場面が増えました。
これは見方を変えれば、政策決定においてより多くの声が反映される仕組みにもなっています。
法案通過における野党との協議の重み
少数与党である自民党にとって、野党との協議は「避けて通れない道」となっています。
今国会で提出された法案のうち、約2割が野党の提案や修正を受け入れて成立しました。これまでは与党が数の力で押し切っていた部分でも、今回は丁寧な説明と協力が不可欠になったのです。
とくに目立ったのが、子育て支援関連法案です。当初、政府案では保育所の拡充が柱でしたが、野党側から「現場の声をもっと反映すべき」との修正案が出され、最終的には自治体との連携を強化する条項が盛り込まれました。このように、与党内だけで完結する立法プロセスではなくなってきているのが実情です。
この動きに対しては、政界内でも賛否が分かれます。「政策の質が高まる」と歓迎する声がある一方、「スピード感が失われる」「政権の一体感が薄れる」といった批判もあります。
ただ、国民から見れば、こうした熟議の積み重ねが信頼につながる可能性もあります。
「むしろ不信任案を出してほしかった」本音の裏側
今回の国会では、立憲民主党が内閣不信任案を出すのではないかと一時話題になりました。
最終的には提出されませんでしたが、驚くべきことに一部の自民党議員からは「むしろ出してほしかった」という声まで上がっていたといいます。
これは、少数与党としての立場に疲弊し、早く現状を打開したいという本音の表れです。
不信任案が可決されれば、内閣は退陣か衆議院の解散を迫られます。つまり、一度リセットすることで、新たな体制を築きやすくなると考えたのです。
実際に、閣僚経験のあるベテラン議員からも「このままズルズル行くのは政党にも政権にも悪影響」といった意見が出ており、少数与党のストレスが想像以上に高まっていることが伺えます。
このように、いまの国会は一見安定しているように見えて、内部では大きなプレッシャーと葛藤が渦巻いています。表には出ない「本音」が政治の裏側で今も蠢いているのです。
3.参院選をにらんだ野党の連携と駆け引き
ガソリン減税法案と戦後初の委員長解任劇
今国会の終盤で、大きな注目を集めたのが「ガソリン減税法案」をめぐる野党の動きです。
燃料価格の高騰が家計を直撃する中、野党7党は協力して、ガソリン税の一部である暫定税率の廃止を柱とする法案を提出しました。これは、家計を少しでも助けようという生活密着型の政策として、多くの国民の関心を集めました。
しかし、与党側はこの法案の審議入りに消極的で、審議に応じない姿勢をとりました。
これに対して野党側は強く反発。ついに衆議院の財務金融委員長に対する解任決議案を提出し、野党の賛成多数で可決されました。これは戦後初めての出来事で、文字通り「歴史的な瞬間」となりました。
この一連の流れは、単に法案をめぐる攻防にとどまりません。参議院選挙を前に「野党が結束して与党と対決する姿勢」を明確に示すという政治的な意味合いも込められていました。
野党側としては、バラバラな印象を持たれがちな中で「一致団結して戦える」ということを国民にアピールしたい意図があったのです。
野党が一丸となった“自民党対決姿勢”の演出
今回の委員長解任劇を含む一連の動きは、野党にとっては貴重な“見せ場”となりました。
与党との明確な対立軸を作ることで、これまで見えにくかった野党の存在感を浮き彫りにする効果がありました。
たとえば、立憲民主党や日本維新の会、共産党など、本来は政策や理念が大きく異なる野党が、一つの法案で足並みを揃えたことは異例です。
これには、各党ともに「参院選に向けて目に見える成果を出したい」という計算がありました。政党支持率が伸び悩む中で、少しでも有権者の印象に残る動きを見せたいという意図です。
テレビ報道やネットニュースでは、この連携が「数の力に頼らない政治の可能性」として紹介されました。
SNSでも「野党もやればできるじゃないか」「こういう連携をもっと見たい」といった好意的な反応が多く見られ、野党にとっては追い風となりました。
野党乱立の中での新連立の可能性と限界
しかし、参議院選挙後に本当に新たな連立政権が生まれるかというと、それは簡単な話ではありません。
90年代には、社会党が自民党と連立を組んだことで党勢が急落したという苦い経験があります。
今の野党各党の中でも、「政権を取ることよりも、存在感を保つこと」が優先されているようにも見えます。
加えて、現在の野党は政策面でも戦略面でもバラバラな部分が多く、ひとつのまとまりとして動くには相当な時間と努力が必要です。
たとえば、消費税の扱いや安全保障政策では、立憲民主党と共産党の間でも大きな溝があります。
仮に与党が参院選で敗れ、政権を維持できない事態になったとしても、野党間での連立協議がすぐに進むとは考えにくいのが現実です。
「政権交代」は多くの有権者が期待するテーマですが、その実現には、単なる数合わせではなく、「共通の理念」と「現実的な連携」が求められます。
今後、参院選の結果によっては野党にとって大きなチャンスが訪れるかもしれませんが、それを活かせるかどうかは、選挙後の一手にかかっていると言えるでしょう。
まとめ
今回の東京都議会議員選挙は、7月の参議院選挙に向けた“前哨戦”として、与野党それぞれの立場を大きく揺さぶる結果となりました。
自民党にとっては「想定外の敗北」が現実となり、石破総理の掲げる「与党過半数」へのハードルは一段と高くなりました。
国会では、官邸主導から国会主導への転換が鮮明となり、少数与党としての運営は一層の困難を極めています。野党との丁寧な協議や妥協が求められる場面が増え、与党内には疲弊の声も出始めています。
一方の野党側は、ガソリン減税法案をめぐって史上初の委員長解任に踏み切るなど、結束を見せつける場面もありました。とはいえ、政策や立場の違いが大きい野党間で、新たな連立を築くには多くの課題が残されています。
7月の参議院選挙は、単なる議席争いにとどまらず、「次の政権の姿」や「政治の方向性」を占う極めて重要な分岐点となります。
与党も野党も、試されるのは数の力だけでなく、「信頼される政治」をどれだけ国民に示せるか。選挙のその先にある、真の政権選択の季節が、いよいよ本格的に始まろうとしています。
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